量子スタートアップ ソフトウェアの巻[*0]
Ⅰ 全体整理
以下、各国・地域において量子コンピューター向けソフトウェアを開発しているスタートアップ等についてまとめた。基本的な情報ソースは、各社のWebサイトである。ハードウェア同様、イジングマシン・量子アニーラ等を対象としたスタートアップは(基本的に)含めない。
ハードウェアと異なりソフトウェアのスタートアップは、本社所在地が新興国やイスラエルにあるなど、地理的多様性が見られる。また、(単純に)社数が多い。俯瞰で言うと、「目の付け所が面白いイスラエル」と「尖った英国」。日本にとって大いに参考になる。
ほとんどの量子ソフトウェア企業(アプリケーション分野)は、hardware agnosticをアピールしている。量子アニーリング方式を含めて、全方式対応という意味である。その一方、基盤ソフトウェアでは、物理シミュレーション・化学シミュレーション分野が最初に立ち上がると考えて、中性原子方式・イオントラップ方式を最初のターゲットと考えるスタートアップもある。
Ⅱ 個別整理
1⃣ OSの制御部分
日本発でグローバルに使われているソフトウェアは、ほぼない。ビジネス分野(ERP、CRM、SFA、BIなどにおけるプロダクトを指している)、管理分野(アトラシアンのJIRAなどを指している)、解析分野(応用:NASTRAN、ANSYS🐾2、FLUENTなど。汎用:MATLAB、Mathematica、Mapleなど)、統計分野(SPSS、SAS、S-PLUSなど。加えて、R言語)等、幅広で眺めても、ほぼない。
数少ない例外は、RUBY(言語)と組み込み系OSのトロン(ITRON)であろう。こういった事実は、示唆に富む。加えて、スパコンにおける日本の絶対的な強みである、低消費電力技術。この2つを鑑みると、量子ソフトウェアにおいて日本が担当すべき箇所は、OSの制御部分(の知的財産)であろう。例えば、「低レイテンシ&低オーバーヘッドで、古典コンピューターと量子コンピューターのリソースを最適ハンドリングして、十分なパフォーマンスを発揮させる制御技術」を提供することが、ターゲットになると推量する。FTQC時代になっても「計算タスク」、は古典コンピューターとの協同作業である。👉 KDDIを含む国内10機関🐾3は、NEDO委託事業として、㊀計算資源を最適に割り当てるミドルウエア技術、及び㊁量子コンピューターの運用技術、を共同開発することを発表(25年8月1日@KDDIサイト[*121])。㊀は、上記の"推量通り"であるが、着手が2年遅い。
ちなみに、東北大学&東工大(現、東京科学大学)の大関真之教授は、「どんなに画期的な技術でも日本人が提案すると”ああ、そうですか”で終わることが多い」という、極めて含蓄のある発言をされている[*62]。❚以下、量子S/Wとは無関係(古典S/W)➡ ロボット制御用ソフトウェアを開発しているMujinは、日本発のソフトウェアで、初の世界展開が期待されている。個人的には、RICOS(科学計算総合研究所)に頑張って欲しい。
🐾2 米IonQ(モダリティはトラップイオン)とのパートナーシップ締結を発表(24年11月6日)[*82]。
🐾3 KDDI以外の9機関は以下の通り:株式会社セック(リアルタイム技術専門のソフトウェア会社)、KDDI総合研究所、Jij、QunaSys、産総研、早大、慶大、阪大、芝浦工大
2⃣ ベンチマーク
ベンチマークとして、(英国からフィンランドに本社を移転した)QuantrolOxが上げられる(ただし、当社は、量子モダリティとして超伝導を推しているわけではない。むしろ逆)。QuantrolOxは、(蘭QuTechのスピンオフで)量子ビット制御機器を開発しているQblox†との提携を発表(23年8月)するとともに、Blueforsとも密に連携している。Blueforsは、フィンランドの極低温製品ベンダーで、日本の同業者ロックゲート社を買収している(23年5月)。23年3月には、米国の同業者Cryomechを買収。25年1月、産総研と次世代希釈冷凍機技術開発に向けたMOUを締結している。戦略的打ち手を着実に積み上げている印象。
† シリーズAでUS$26milを調達したと発表(24年6月20日)[*53]。
╏為参考╏ 25年4月に登場した、256量子ビット超伝導方式量子コンピューター(理研×富士通)の量子制御システムは、米Keysight Technologies🐾4が提供した(リリース発表25年5月15日)[*109]。日本企業に提供して欲しいところである☞❚補遺2❚|1|
🐾4 量子エンジニア向けのEDAソリューション「Quantum System Analysis」のリリースを発表(25年10月29日)[*140]。高額な極低温試験への依存度を低減し、超伝導量子システムの検証を加速する、と謳う。なお、スピン量子ビットなどの他のモダリティにも拡張可能とする。
・・・・・・・・・・・・・
❚補遺1❚
1‖QubiCSV(Qubit Control Storage and Visualization)
米ローレンス・バークレー国立研究所他🐾1の研究者は、「量子コンピューティング分野の研究者にとって有用な」オープンソースツールQubiCSVを紹介した論文[*75]を公開した(24年9月18日@arXiv)。QubiCSVは、「量子ビット制御システムにおける、キャリブレーションデータと特性データの効率的なデータ管理を促進」し、「(GitHubのような)データストレージのデータバージョン管理機能」及び「直感的な視覚化機能」を提供する。
🐾1 マサチューセッツ州立大学アマースト校、テキサス州立大学アーリントン校、カリフォリニア州立大学
2‖Tranqu(トランク)
大阪大学とTISは、トランスパイラ・プラットフォームTranquを開発した、と発表(25年2月4日)[*97]。
3‖その他
情報通信研究機構・理研・東京理科大・東大は、「量子ビット数が大きくても、忠実度1の量子回路を探索可能な確率的手法」を実証したと発表(24年5月9日)[*50]。詳しくは、こちら。
❚補遺2❚ 大阪大学量子情報・量子生命研究センターQIQB
|1| (ほぼ)全てが日本製である「純国産」超伝導量子コンピューターが開発され、大阪大学量子情報・量子生命研究センター(QIQB)にて稼働を開始した(25年7月28日)[*120]。制御システムは、キュエルが開発・提供した。キュエルは、北川勝浩QIQBセンター長が、創業者。
|2| ㈱フィックスターズと共同で、大規模GPUクラスタ向け量子化学用量子回路シミュレータ「chemqulacs-gpu」を開発した、と発表(26年3月12日)[*181]。量子アルゴリズム・プリミティブとしては、反復的量子位相推定法が、シミュレータに実装された。問題サイズ(42スピン軌道系)・量子回路サイズ(41量子ビット回路)ともに、世界最大のシミュレーション実行に成功した(と主張)。計算資源として、NVIDIA H100 GPU 1,024台を使用した。
|3| 異なるユーザの量子プログラム(ジョブ)を『(手動ではなく)自動的に』並列実行する機能を開発&提供を開始した、と発表(26年6月9日)[*210]。量子ビット・チップへのジョブの割り当ては、数理最適化される。
❚補遺3❚
加OTI Lumionicsは、100物理量子ビット以上が必要と推定される量子化学計算を古典H/Wで実行したことを発表(26年3月9日@arXiv[*183])。具体的には、ルテニウム触媒の基底状態を計算した。(NVIDIAの)GPUを使った場合、量子位相推定法よりも10~100倍速い(‼)、とする。また水素分子であれば、完全配置間相互作用法(FCI)の結果を化学的精度内で再現した、とする。
量子化学計算における量子優位性は約50物理量子ビットを超える領域で出現すると考えられてきたが、潜在的には200量子ビットを超える領域にある可能性が示唆される。
(2) QunaSys
0⃣ 量子アルゴリズムを開発できる人材は世界で103オーダーだろう。日本に限れば、101オーダーだろう。その多くがQunaSysに在職しているのかもしれない(と勝手に想像)。
1⃣ 大阪大学発スタートアップのQunaSysは、(見かけ上、少なくとも当初は)量子化学計算を主戦場としており、出口としては、革新的な材料開発を掲げている。Qamuyというクラウドサービスでの利用が可能である。2022年3月、シリーズBで12.4億円(ざっくりUS$10mil)を調達している。23年5月には、IBM Venturesから資金調達したことを発表(調達額は非開示?)。シリーズB2で17億円を調達したと発表(24年11月1日)[*81]。
2⃣ カナダXanadu(光方式)、日本のNanofiber Quantum Technologiesとのパートナーシップ締結を発表(24年6月27日)[*57]。「量子誤り訂正やオープンソース・ソフトウェア開発などを押し進める」。
3⃣ FULL-MAP🐾1プロジェクトへの参加を発表(25年2月17日)[*99]。FULL-MAPプロジェクト[*100]は、欧州における蓄電池技術を革新する取り組みで、€19.95milの予算が投入される。プロジェクト期間は4年。化学に依存しない材料を使用すること及び、AIや高スループット実験等を活用することで開発期間を大幅に短縮すること、を目指している。QunaSysは”量子機械学習”の専門知識を活用して「電解質、正極、負極」向けの新材料を、より効率的かつデータ主導で発見できるように支援する。
🐾1 Furthering the Development of a Materials Acceleration Platform for Sustainable Batteries:持続可能な蓄電池のための材料加速プラットフォーム開発の促進。
4⃣ デンマークの政府系基金であるデンマーク・イノベーション基金から、1,900万デンマーク・クローネ(約4億円)の支援を受けることが決まったと発表(25年3月3日)[*101]。期間は4年で、量子化学計算を対象に、3つの課題に取り組む:①アルゴリズムの改良、②光方式による新型量子コンピュータとの統合が可能なソフトウェアを開発、③誤り耐性量子コンピューターに向けた量子化学計算アプリケーションの開発。①は、量子コンピューターへのTensor HyperContraction(THC)の実装(?)🐾2と、qubitizationを活用した量子位相推定法(QPE)の改良🐾3。②は、共同プロジェクト・メンバーである、ノボノルディスク財団量子コンピューティングプログラム(NQCP)のH/Wに合わせて調整するという意味らしい。
👉 QuEnAIS(Quantum-Enhanced AI Synthesizer for Drug Discovery)というプロジェクトらしい。デンマーク・イノベーション基金と独連邦教育研究省が資金提供し、2025年8月〜2027年7月に渡って行われる[*154]。
🐾2 DFT計算において、コストの高い計算に電子反発積分(ERI)がある。これは4重積分である。THCを使うと、ERIを、5つの2重積分で近似できるらしい。THCを量子コンピューターに効率的に実装して効率的に計算する方法を開発するのだという(勝手な)理解。
🐾3 Qubitization(量子ビット化)はいくつかの文脈で異なった意味で用いられている(と理解している)。ここでは、少ないリソースで、ハミルトニアンをQPE適用可能な形式に変換する手法、を指している。QPEの改良に合わせて、qubitizationも改良させるのだという(勝手な)理解。
👉 (少なくとも)ここでは、Qubitization(量子ビット化)=ハミルトニアンの固有値をウォーク演算子の位相として埋め込みこと。ウォーク演算子に対して量子位相推定を適用し、ハミルトニアンの固有値を取得する。
5⃣ ソフトバンクと共同で、「産業応用のための量子計算要件に関するホワイトペーパー」を発表(26年2月9日)[*171]。量子化学計算とCAE(ナヴィエ・ストークス方程式は残念ながら対象外)に絞り、現状と現場要求とのギャップを示すのみならず、ギャップを埋める提案も行っている。加えて、優れた教科書(導入書?)としても使用できる。特にCAE量子コンピューティングに関しては、貴重と思われる。
6⃣ 量子技術と高性能計算分野における日欧連携プロジェクトQ-Neko🐾4に参画することを発表(26年2月13日)[*172]。
🐾4 The Nippon-Europe quantum Koraborēshon 😼
(3) 富士通
1⃣ Quantum Simulator Challenge
❶ 24年1月25日「富士通$100,000量子シミュレータ・チャレンジ」コンテストの優勝4チームを発表した(@蘭デルフト)[*28]。同コンテストは、同社の39量子ビット・量子シミュレータを使って、各チームが個々の課題を解く。最優秀賞は、フィンランドのQuanscient Oyであった(EUの項を参照)。次点は、英国のRiverlane、(同率)3位(の一つ)はインドの新興企業であった(こちら参照)。
❷ 2回目の同チャレンジ・コンテストの優勝3チームが発表された(25年3月28日)[*152]。1位は、蘭デルフト工科大学(工場における作業時間配分の最適化)、2位は独イルメナウ工科大学(相互相関分析)、3位は日本のQunaSys(電子状態のシミュレーション)。
❸ 3回目の開催を発表(25年12月17日)[*153]。
2⃣ 量子コンピューターの基本ソフトウェアを開発し、オープンソースとして公開した、と発表(25年3月24日)[*103]。大阪大学(藤井啓祐教授・猿渡俊介准教授)、株式会社セック、TIS株式会社と協働した。
3⃣ 英スタンダードチャータード銀行のベンチャー投資及びインキュベーション部門SC Venturesと、新会社設立に向けて提携することに合意した、と発表(25年9月25日)[*135]。量子及び量子インスパイアード技術を活用したアプリケーションの迅速な開発を支援する。まずは、金融分野(のアプリケーション)から始める。
👉 Qubitra Technologiesという企業名で活動すること及び、今後の製品ロードマップと創業時のリーダーシップチームを発表した(26年1月16日)[*160]。製品は2つ:(金融分野の)量子対応アプリケーションと、テスト・ベッド。テスト・ベッドは、ユーザーが「量子スタック全体にわたるソリューションを実験、テスト、展開できる」ように構築される。
(4) その他
0⃣ Jij
❶ 英国子会社であるJIJ Europe🌸0が、SparQプログラム🌸1に基づいて、英ORCA Computing🌸2、BP🌸3、英国立量子コンピューティング・センターとの共同プロジェクトを開始した、と発表(26年2月13日)[*180]。発電機起動停止計画問題(Unit Commitment Problem:UCP)に対する量子古典ハイブリッド最適化ワークフローを検証することがプロジェクトの目的。当該ワークフローはまず、混合整数線形計画法(MILP)のためにJijが開発したハイブリッド分解手法を使って、大規模な最適化問題を小さな部分問題に分割する。次に、部分問題は量子回路に変換され、ORCAの量子コンピューターで実行される。
UCPはNP完全であり(つまり、めっちゃムズイ)、従来の解法として『動的計画法、分枝限定法、ラグランジュ緩和法、メタヒューリスティックス』などが適用されてきた。再生可能エネルギー源の系統接続が進むにつれ、従来手法では効率的なスケーリングが困難になっているとされ、(EU圏では特に)人気テーマとなっている。
🌸0 25年3月に、英国子会社を設立している。
🌸1 SparQは、英国立量子コンピューティング・センターが提供するプログラム。アプリケーション発見に関する知識と専門性を構築し、英国の量子コンピューティング・ユーザー・コミュニティを育成することで、量子コンピューティングへの準備を支援することを目的としている。
🌸2 量子コンピューター開発スタートアップ。モダリティは離散量光で、測定型量子コンピューターを開発している。24年12月2日に、Jijと戦略的パートナーシップ連携の覚書を締結している。Jijの役割は、最適化問題向けの量子古典ハイブリット・アルゴリズムを開発すること。
🌸3 かつてのThe British Petroleum Company plc(つまりは、石油会社)。シナリオ分析のパイオニアとして知られている。近年は「BP OR NOT BP?」としても知られている?
❷ 神戸製鋼所と、量子コンピューティング技術の活用に向けた基本契約を締結した(26年7月2日)[*218]。
❸ 約8.4億円の資金を調達したと発表(26年8月4日)[*232]。
1⃣ 株式会社クオンマティク
シリーズAで、5.3億円の資金を調達した(24年9月30日リリース)[*80]。該社は、当面、量子アニーラ向けアルゴリズムのチューニングをビジネスとしていくようである。
2⃣ 三井物産
米Quantum Simulation Technologies(QSimulate⤵米国の表を参照:創業者の一人は日本人)、米クオンティニュアムと共同で、量子化学計算向け量子・古典ハイブリッドプラットフォームQIDO(キド:Quantum-Integrated Discovery Orchestrator)を、25年8月19日から提供すると発表[*122]。キドは、QSimulateの化学反応解析ソフトウェアQSP Reactionとクオンティニュアムの量子化学計算ソフトウェアInQuantoを統合している。
住商が空飛ぶ車の経路最適化計算に量子コンピューターを使うと夢を語る一方で、物産は着実な手を打っている。
3⃣ JHPC-quantum
量子コンピューターとスパコン(HPC)との連携に向けた、ソフトウェアスタックの開発を行う。理化学研究所、ソフトバンク、東京大学、大阪大学が協業する。
4⃣ 出力問題への対応
╏サマリーもどき╏ NISQ目線ではなくFTQC目線。オブザーバブル全ての期待値が欲しいという状況🐾0。
東大・阪大・慶応義塾大学は、フェルミオン系のサイズNに関して、(適応型🐾1及び従来型の)量子勾配推定アルゴリズム(QGE)に比べて「2次加速を実現する」量子アルゴリズムを開発した(査読付き論文@Physical Review Letters[*174]発表は、26年2月24日)。量子振幅推定アルゴリズム(QAE)対比であれば、4次加速を実現する。測定精度🐾2については、[*174]で開発アルゴリズムは、ハイゼンベルク限界🐾3を達成する。QGEは適応型であれば、ハイゼンベルク限界を達成する。QAEもハイゼンベルク限界を達成する。
ザックリ言えば、開発された量子アルゴリズムは、改良QGEである。問題サイズNに関して2次加速を達成できた理由は、対象系に存在する対称性を利用したためである。量子アルゴリズム・プリミティブで言えば、量子特異値変換(QSVT)が適用される。(なんらかの物理的)対称性の存在は、多くの量子多体系に共通する性質であり、特殊な場合を想定しているわけではない。対称性を考慮したQSVTを適用することで、2次加速が得られる(と理解)。
実用問題への具体的な成果として、以下があげられている:フェルミオン2-RDM🐾4を推定する問題🐾5において、FeMoco🐾6の場合はクエリ数が1/100に、100サイトのフェルミ-ハバード模型🐾7の場合は1/500になった。
🐾0 「オブザーバブル全ての期待値が欲しいという状況」=「量子振幅推定で、特定オブザーバブルの期待値のみを計算するわけではない、という状況」。つまり、量子状態トモグラフィーが要求される状況。もちろん現実的には(量子状態トモグラフィーは指数的コストを要するので)、シャドウ・トモグラフィーが要求される状況(FTQC目線だから古典的シャドウは考えなくて良いだろう)。シャドウ・トモグラフィーと比べると、高精度が要求される場合に、[*174]で開発アルゴリズムに優位性が発生すると述べている。定量的に言うと、k-RDM(☞🐾4)行列要素の推定において、精度ε∈ o(N−k/6)で優位性が現れるらしい。
🐾1 ただし適応型量子勾配推定アルゴリズムの場合、部分空間限定演算子のブロック埋め込みが与えられる場合、2次加速が実現できるらしい。
🐾2 ここで言う精度とは、量子状態の測定結果における統計的不確実性(測定誤差)が小さいこと、を意味している。
🐾3 測定誤差が、1/Nに比例して減少することを意味している。これに対して、標準量子限界では、1/√Nに比例する(ので、ハイゼンベルク限界は2次加速を実現する)。
🐾4 RDM=縮約密度行列。2次の縮約密度行列(2-RDM)は、2体の相互作用のみを表現する密度行列(密度演算子)である(今の場合フェルミオン系であるから、2-RDMは、2体電子系を表現する)。算術的に雑に言うと、2-RDMとは、作用させる生成消滅演算子の数が(それぞれ)2であるRDM。量子化学シミュレーションは、2体相互作用まで考慮すれば十分と考えられているから、2-RDMで十分ということになる。量子物理シミュレーションにおいては、2-RDMで十分というわけでは必ずしもないだろうが、ミニマムモデルとして重要である。
🐾5 2-RDMの各要素に推定における平均自乗誤差(MSE)を、10−3とした場合。
🐾6 真正細菌・古細菌が持つ窒素固定酵素「ニトロゲナーゼ」の活性中心に含まれる「鉄とモリブデンを含む補助因子」。土壌生態圏における生物窒素固定系で中心的な役割を果たす。マイクロソフトとスイス連邦工科大学チューリッヒ校が、「古典コンピューターでは難しいが量子コンピューターでは解ける」と主張(2017年)したため、有名(ベンチマーク)になった。
🐾7 量子物質における電子的・磁気的挙動の本質を捉えたフェルミオン模型の一つと評価されている。「電子が固体中を量子力学的に運動できるという効果と、電子間に非線型な反発力の相互作用が働いている効果だけをギリギリ取り入れた、いわば極小モデル」でありながら、超流動・超伝導、量子磁性など、さまざまな特徴を示す。極小モデルでありながら、2次元以上で、厳密解は得られていない。
(0) 国立研究所・大企業
0⃣ 国立研究所
❶ ローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)
LLNLは、米国エネルギー省先端研究計画局エネルギー部門(ARPA-E)からUS$4.1milの資金提供を受けるプロジェクトを主導する機関として選定された(26年4月20日)[*198]。当該プロジェクトは、「量子コンピューティングによる計算化学(QC3)プログラム」の一環。QC3は、量子アルゴリズムを開発・応用することで、化学および材料科学のシミュレーションを高速化し、幅広い商業エネルギー応用を推進することを目指している。具体的には、超強力かつ軽量な磁石の発見に応用可能な量子古典ハイブリッド・アルゴリズムを開発する。ハードウェアは、中性原子コンピューティング分野のリーダー企業から提供されるプロトタイプを約1年後に使い始める予定。
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1⃣ SandboxAQ(グーグルの親会社アルファベットからスピンオフした、量子技術開発企業)及びグーグル
❶ バイオファーマ分子シミュレーション部門AQBioSimが、ステルスから脱したと発表(23年6月)。カリフォルニア大学サンフランシスコ校「神経変性疾患研究所」との協業成果を基に(神経変性疾患を主対象として)、AIと量子技術を活用したインシリコ創薬を目指す。タンパク質ーリガンド結合親和性予測に有効である「自由エネルギー摂動法」を使って、ヒット化合物を探索する。計算コストが高い手法であるが、グーグルは独自の演算処理プロセッサTPUを使ったDMRG(密度行列繰り込み群法、≒テンソルネットワーク)やDFT(密度汎関数法)の高速化に知見・経験を有する。
❷ 創薬、二次電池設計、グリーンエネルギー等の化学反応を予測するため、NVIDIAとの協業を発表(23年11月)[*24]。NVIDIA量子プラットフォーム上で、テンソルネットワークを使用して、量子力学アルゴリズムを実行する。cuTENSOR、cuTensorNet等を使用する。
❸ グーグル・リサーチは、量子コンピューティングにおける喫緊の課題2点の解決に向け、大学の研究者を対象とした助成プログラムを開始した(発表は26年6月26日)[*222]。課題2点の1/2は、「比較的少数の論理量子ビットを利用して古典的に困難な問題を解決する」という課題[*223]。2/2は、「古典コンピュータと量子コンピュータの境界を標的とした実用的な攻撃への対応が不十分」という課題(☛こちらを参照)。後者は、ほぼ認識されていないと思われる。
2⃣ マイクロソフトは、AI・量子技術を融合させて、化学や材料分野の研究を加速させるAzure Quantum Elementsを発表(23年6月)。特定分野の化学シミュレーションを 50 万倍高速化するなどと謳う。
3⃣ IBM
❶ Qiskit
より使い易くして、ユーザー体験を向上させるために、Qiskit関数カタログと呼ばれる新機能を導入した(24年9月16日)[*69]。ユーザー(開発者)は、カタログを参照して、量子S/Wスタートアップが構築したQiskit関数にアクセスできる。スタート時点で利用可能な関数(ソフトウェア、アルゴリズム)は、以下の通り:
㊀ 豪Q-CTRLのFire Opal。Fire Opalはパルス制御等を通じて、量子プロセッサのハードウェア・ノイズやデコヒーレンスを極小化することで、量子誤りを"抑制"する。量子誤り抑制に機能を特出しすると当該機能は、「Performance Management」と呼ばれる。
㊁ フィンランドAlgorithmiqのTensor Network Error Mitigation(TEM)法。これは、該社の量子誤り緩和アルゴリズムである。
㊂ イスラエルQedmaのQESEM(Quantum Error Suppression and Error Mitigation←そのまんま)。QESEMは、量子誤り抑制・量子誤り緩和アルゴリズムである。
㊃ 日本QunaSysのQuri Chemistry。Quri Chemistryは、量子化学計算用ソフトウェア。
╏update╏関数が追加された:※当社が事前に、"アルゴリズムとしての重要性を目利きしている"ことが理解できるだろう。
㊄ 24年11月13日[*83]:スペインのマルチバース・コンピューティングのSingularity Machine Learning(ML)。Singularity MLは、量子機械学習用ソフトウェア。
㊅ 25年2月19日[*98]:独Kipu QuantumのBF-DCQO(Bias Field DCQO)が、「Iskay Quantum Optimizer」という名称で追加された。BF-DCQOは、(雑に言えば)最適化アルゴリズム。Kipuによると、BF-DCQOは、高次制約なし二値最適化(HUBO)問題を高精度で解ける。詳細は、こちらを参照。
㊆ 25年3月26日[*113]:韓国QunovaのHI-VQEが追加されている。HI-VQEは、サンプリング効率が高いQSCI法である。こちらを参照。
㊇ 25年6月5日[*114]:仏ColibriTDの「量子・古典ハイブリッド偏微分方程式ソルバー(H-DES)」が、QUICK-PDEという名称で追加されている。H-DESについては、こちらを参照。
㊈ 25年6月5日[*116]:西Global Quantum DataのQuantum Portfolio Optimizerが追加。Quantum Portfolio Optimizerは、(金融資産)ポートフォリオ最適化ツールである。アルゴリズムとしては、VQEを使っている。
㊉ 26年7月23日[*230]:米Quantum ElementsのOrbitが追加。Orbitは、量子誤り抑制ツール。Orbitのウリは、「動的回路のワークフローに、動的デカップリングを適用できる」ことらしい。
❷ IBM Ventures
日本のQunaSysへも投資している(23年5月)。
㊀ 米SQK(シアトル)へ投資した。SQKは、医療画像に特化した量子・古典ハイブリッド・アルゴリズムを開発している。腫瘍学、心血管疾患、神経科学などの分野における診断精度並びに画像診断速度の向上を目指している。
㊁ 米QodeX Quantum(シカゴ)へ投資した。QodeXは、量子ネイティブAIモデルと、それらを大規模に学習およびデプロイ(=運用)するためのプラットフォームを提供する。ほぼステルス状態。
実証実験では、(NISQ実機を念頭に)変分量子アルゴリズムを生成させた。具体的には、変分量子アルゴリズムのスケルトンで構成される非常に基本的な初期コードから、新たな変分量子アルゴリズムを自動生成させた。Hive-ADAPTと呼ばれる当該変分量子アルゴリズムは、一連の量子演算子として回路を構築し、そのパラメーターを最適化するヒューリスティック関数を進化させた。その結果Hive-ADAPTは、ADAPT-VQEに似た構造に収束した。
Hive-ADAPTを評価するために、分子の基底状態エネルギーを求めるというタスクを、NVIDIA CUDA-Qを使用して(古典的に)シミュレートした。その結果、Hive-ADAPTはADAPT-VQEよりも「長い結合長に対して」化学的精度を達成しながら、量子リソースが1~2桁削減した。
AIによる高性能な量子ヒューリスティクスの生成は、誤り耐性量子計算機においても有効に機能すると、クオンティニュアムは期待している。
🐾1 英グーグル・ディープマインドと英ケンブリッジ大学の研究者が、2024年に設立した英スタートアップ。事業内容は、「アルゴリズムを自動生成するAIエンジンを構築する」こと。AlphaTensor、FunSearch、(ノーベル化学賞を受賞した)AlphaFoldを共同開発した、とする。25年9月には、US$5milを調達している。
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全体傾向で言えば、ビジネスモデルとしてプラットフォーマー指向が強い。いわゆるプラットフォーム=H/W+S/W(言語・開発環境・ライブラリ)は、いくつかのH/Wベンダーが提供している。具体的には、IBM、Google、Rigetti、Xanaduである。マイクロソフト(アジュール・クアンタム)とアマゾン・ブラケットは、それら4つのプラットフォームよりも、Strangeworks Ecosystemに近いだろう。
(1) Strangeworks
0⃣ 該社のCEOは、経験豊富な連続起業家らしい(出典:藤井(2025))。
1⃣ 該社アプローチで面白いところは、Strangeworks QCの協業者に、Qurecaや Stack Overflowが含まれているところ。H/WではAtom Computing、Cold QuantaやBleximoがカバーされていて面白い(メジャー処ではIonQ、Rigetti、Xanadu、IBM、Quantinuum、D-Wave)。S/Wでは、シンガポールの2社(Entropica LabsとHorizon Quantum Computing)がカバーされていて面白い。
2⃣ 独Quantagoniaの買収を発表(25年8月20日)[*123]。Quantagoniaの主要製品は2つ:HybridSolverとDecisionAIである。HybridSolverは、混合整数計画問題(MIP)、線形計画問題(LP)、2次制約無し2値最適化問題(QUBO)を対象に、ハードウェア・リソースを自動スケーリングして割り当て、"最適"に解決するソルバー。23年9月から、Strangeworksのクラウド経由で提供されている。AI意思決定支援ツールDecisionAIは大規模言語モデルを活用しており、HybridSolverに対して「直感的かつ自然言語的なインターフェースを提供」することもできる。
(2) Quantum Computing(QCi)
1⃣ Qamplifyは、プラグマティズムの国、米国らしいアプローチ。QCiは、Entropy Quantum Computing(EQC)を利用して、自動運転車のBMWセンサー最適化問題を6分以内に解決した、と発表した(22年7月)。QCIは、「EQCは、計算結果に環境自体を考慮に入れることによって機能する。QPU自体の外部にあるすべての変数を制御する必要がないため、時間とコストが節約される」と主張している。EQCは、確率論的コンピュータと、同じアプローチを採用しているのかもしれない。あるいは量子散逸計算であろうか。
2⃣ リザバーコンピュータ(及び量子乱数生成器)を開発したと発表(23年10月)。該社リザバーコンピュータの消費電力は、従来のコンピュータ比で、80%~95%少ないと主張。24年には、量子リザバーコンピュータをリリース予定。
3⃣ ロスアラモス国立研究所との共同研究開発契約の延長を発表(24年9月30日)[*74]。この契約は、QCiの量子最適化マシン「Dirac-3が、量子シミュレーション、ソーシャル ネットワーク、タンパク質構造予測、および通信に関連する非常に複雑な(組み合わせ)最適化問題を、迅速かつ効率的に解決する」機能に焦点を当てている。
4⃣ 米NuCryptをUS$5milで買収した(26年3月5日)[*176]。2003年に設立されたNuCryptの主力製品は光子計測機器である。量子もつれ光子を生成、配送、測定できる唯一の包括的な量子光学計測機器ラインを販売していると主張する。
(3) QC Ware は、医薬品・化学品および材料の発見を(劇的に)加速するよう設計された、SaaS型量子化学プラットフォームPromethium のリリースを発表(23年4月、AWS Marketplaceにてプライベートベータ版が一般公開)。Promethiumのコア技術は、NVIDIAのGPU パワーを活用するため特別に設計された量子化学ツールセットであり、「他の商用プラットフォームで、数日~数週間かかる約 2,000 原子のシミュレーションを、数時間で提供できる」と主張している。
👉 Promethiumを使うと、インシリコ創薬向け深層学習モデルの「学習データ」を30倍高速に生成できると主張。また、Promethiumは高速なので(結果的に)、大きな分子の学習データを生成することができると主張(24年3月18日)[*40]。まとめると、Promethium(QCWare)は、インシリコ創薬に大きく貢献する、と主張。
(4) その他
1⃣ Zapata Computing
❶ ニューヨーク証券取引所にSPAC上場すると発表した(23年9月6日)。"買収企業"Andretti Acquisition Corp.のオーナーは、オートレーサーのマリオ・アンドレッティ(1978年F1ワールドチャンピオン)と息子のマイケル・アンドレッティ(91年CARTチャンピオン、93年F1参戦)。評価額は、US$200mil。"相場観"把握のために例をあげると、Quantinuum(当時はHoneywell)は、ケンブリッジ・クォンタム・コンピューティングをUS$300milで買収している(21年6月)。
❷ 24年10月7日付けで、米SECにForm 8-K[*79]を提出し、事業を停止したと報告した。
❸ Zapata Quantumとして再出発すると報道(25年9月3日、例えば[*128])。再出発=財務リストラℱ1完了(→清算回避)+知財継承。事業領域は、AIから量子に戻すらしい。
ℱ1 US$3milの新株予約権付社債型ブリッジファイナンス完了。US$10mil以上の債務の株式転換(デッド・エクイティ・スワップ)完了。加えて、850万株のストック・オプション発行。行使価格$0.01、行使期間4年。
➍ 形式的検証に基づいた量子プログラミングに関して、米メリーランド大学と共同研究することを発表(26年1月12日)[*158]。形式的検証とは、アルゴリズムが意図したとおりに間違いなく実行されることを数学的に証明するプロセスである。こちらを参照。
❺ QIR(Quantum Intermediate Representation:量子中間表現)ℱ2に関する特許が、米国での先行取得に加え、カナダ、欧州、イスラエル、オーストラリアでも承認されたことを発表した(26年2月3日)[*167]。ここでも、ジャパン・パッシング?(ジャパン・ナッシング?) QIRはQIRアライアンスℱ3が策定した。
ℱ2 QIRは、オープンソースで公開されている古典的なLLVM(Low Level Virtual Machine)中間言語をベースにした、量子コンピューティング固有の中間表現。古典コンピューティングの文脈で「中間」を説明すると、プログラム(ソース・コード)から機械語への中間、という意味になる。QIRは、異なるH/WやS/W間で量子アプリケーションの相互運用性を可能にする肝とされる。こちらも参照。
ℱ3 メンバーは、米マイクロソフト、米NVIDIA、米オークリッジ国立研究所、米クオンティニュアム、米Quantum Circuits(加D-Waveが26年1月に買収)、米リゲッティ・コンピューティング。
❻ US$15milの資金調達を完了したことを発表した(26年4月23日)[*193]。併せて、リストラクチャリング(事業清算からの組織再構築)完了を宣言。
❼ 量子アルゴリズム開発を加速するためのエージェントAIワークフローを、米NVIDIAと協力して開発する、と発表(26年6月23日)[*215]。
2⃣ POLARISqbは、DARPAと研究契約を結んだと発表(23年10月)。タンパク質間相互作用を阻害する小分子を特定する、新しい変分量子アルゴリズムを作成することが、ミッション。対象疾患は、感染症から癌まで幅広い。
3⃣ BlueQubit
❶ 米BlueQubitとQuantum Art(イスラエル)は、BIRD財団から、量子機械学習アルゴリズムと量子プロセッサ構成方法の開発と最適化のための助成金を獲得した(2024年8月12日)[*67]。金額はUS$2.2mil、期間は2年。BlueQubitは、量子アルゴリズムを任意のH/Wに実装できるようにするQuantum Software as a Service(QSaaS)プラットフォームを提供している。アクセス可能なH/Wには、IBM(超伝導)、QuEra(中性原子)、Quantinuum(トラップイオン)のQPUに加え、NVIDIA GPU エミュレーターが含まれる。該社ソリューションには、リスク分析用のQuantum Monte Carlo、画像処理と創薬用の Quantum AI などがある。
BlueQubitは、米スタンフォード大発のスタートアップ。元々、金融業界向けの量子ソフトウェアを構築していた。共同創設者であるHayk TepanyanとHrant Gharibyanは、以前はGoogleに在籍。量子論とコンピューティングの幅広いバックグラウンドを持っているらしい。Quantum Artは、トラップイオン方式の量子コンピューターを開発しているスタートアップ。BIRD(イスラエル・米国二国間産業研究開発)財団は、さまざまな技術分野で米国とイスラエルの企業間の共同製品開発を推進している(出所:https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/02/637c8a0775ff4719.html)。
❷ US$10milのシード資金を調達したと発表(24年12月11日)[*90]。
❸ 「ピーク回路」を用いたヒューリスティックな量子優位性を実証した、と主張する論文[*165]をarXivに発表した(25年10月29日)。米クオンティニュアムのSystem Model H2量子プロセッサ上で量子アルゴリズムを実行し、2時間以内に目標のピーク・ビット列を直接生成できる、と主張。エクサ級スパコン上で、信念伝播を用いたテンソルネットワークなどの古典ヒューリスティクスを実行した場合、数年かかると推定している(~指数加速の期待)。
➍ Quantum Advantage Challenge[*166]を開始した(25年12月10日)。チャレンジの内容は、❸のピーク回路を解く=特定のピーク・ビット列を見つける、こと。目的は、古典コンピューター上で実行される如何なる古典アルゴリズムよりも、❸の量子ヒューリスティクスが優れている(高速である)ことの証明。0.25ビットコイン≒US$20Kの賞金付き。
4⃣ qBraid
米国国立科学財団(NSF)のPathways to Enable Open-Source Ecosystems(POSE)プログラムからUS$0.3milの助成金を獲得した、と発表(25年9月11日)[*134]。プロプライエタリなスタックやベンダー固有のツールによって断片化されている量子ソフトウェアに対して、相互運用性を導入・促進することが、助成に対象。
5⃣ Quantum Elements
❶ 米加州ロサンゼルスを拠点とする量子ソフトウェア・スタートアップQuantum Elementsは25年10月22日、ステルス運用を終了し、AIネイティブな量子開発プラットフォームのリリースを発表した(らしい→報道サイト[*138])。該社Constellationプラットフォームは、エージェントAI、自然言語プロンプト、及び独自のシミュレーション・バックエンドを活用し、「機械学習モデルの開発、量子計算用コード(=量子回路)の生成、量子アプリケーションのデバッグと実行」を可能にする、と主張。
❷ 米AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)他とともに行った、量子誤り訂正(QEC)の高度化に繋がる取り組みについては、こちらを参照。
❸ 米Rigetti Computingと共同研究を行い、超伝導量子ハードウェアにおけるAIネイティブなデジタルツイン・シミュレーションの活用を評価することを発表(26年4月23日)[*201]。1量子ビット・ゲート、2量子ビット・ゲート、読み出し、リセット操作を”ハードウェアに忠実な”仮想環境でシミュレーションすることで、デジタルツイン・ワークフローが従来のベンチマークや性能評価をどのように補完できるかを明らかにすることを目指す。
➍ 伊Planckian🍕1との開発契約を発表した(26年7月14日)[*226]。Planckianの超伝導アーキテクチャ固有のノイズモデル及び、ノイズモデルを評価するためのデジタル・ツイン環境を開発する。Planckian独自のプロセッサに対するQECスキームの性能評価を目的としている。
🍕1 2023年に設立された、伊ピサ大学とピサ高等師範学校(Scuola Normale Superiore)の共同スピンオフ。量子技術の商業化を行っている。
❺ 米IBMのQiskit Functions Catalogに、該社の量子誤り抑制ツールOrbitが追加された(26年7月23日)[*230]。
6⃣ QubitSolve
米国国立科学財団(NSF)から約US$1.2milのSBIRフェーズII助成金を受賞したことを発表(25年12月18日)[*150]。該社は、量子古典ハイブリッドCFD(数値流体力学)アルゴリズムを開発している。お馴染みの、格子ボルツマン方程式が対象である。
7⃣ EdenCode
量子コンピューティング向けAIを開発しているS/WスタートアップEdenCodeが、プレシード・ラウンドでUS$1.3milを調達したらしい[*164]。日付は不明だが26年1月と思われる。具体的には(最初の商品として?)、量子誤り訂正における機械学習ベース(正確には、グラフ・ニューラルネットワーク・ベース)の復号器を開発している。該社は、米ハーバード大学と米カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究者によって設立された。
(0) EUプロジェクト及び多国間プロジェクト
1⃣ QCDC(Quantum Computers for DataCentres)プロジェクト
掲題プロジェクトが成功裏に終了した、と発表(25年8月29日)[*127]。同プロジェクトは、欧州イノベーション会議(EIC)が資金提供していた。量子モダリティはトラップイオンで、墺Alpine Quantum Technologies(AQT)製の量子H/Wが使用された。具体的成果例として、AQTと米QC Ware🥀1、独Covestro🥀2、独ベーリンガー・インゲルハイム🥀3が共同で、VQEアルゴリズムを用いて、窒素循環🥀4における中間状態の相互作用エネルギーを計算した事例が示されている。
🥀1 量子S/Wスタートアップ。量子化学シミュレーションと量子機械学習が2本柱。
🥀2 独化学大手バイエルの素材科学事業が別会社として分離、2015年に設立された。
🥀3 念の為:製薬会社。
🥀4 地球生態系における窒素の循環を意味する。光合成や窒素固定といったプロセスが含まれる、その大半を生物が行っている。
2⃣ QUICHE(QUantum Integrated CHEmistry)プロジェクト
QUICHEプロジェクトは、「化学システムを量子コンピュータで実行可能なアルゴリズムに変換する」という技術課題の解決を目指している[*168]。Innovate UKと独ZIMプログラム🦉1の支援を受ける該プロジェクトには、英独3つの組織から専門家が集結する:英Quantum Motion🦉2のシリコンスピンCMOSハードウェアおよびアルゴリズム開発者。独FACCTs🦉3のORCA量子化学ソフトウェアパッケージ🦉4開発者。英Riverlane🦉5の量子誤り訂正専門家。
QUICHEは、太陽電池やバッテリーに使用可能な新規材料の電子構造計算に焦点を当て、量子回路への効率的なマッピングプロセスの自動化を目指す。最先端の分解・コンパイル技術を用いて、高レベルの化学問題をハードウェア互換のゲート・シーケンスに分割し、不要な演算を削減して回路の深さを最小限に抑える。
🦉1 ZIM(Zentrales Innovationsprogramm Mittelstand):独連邦経済・気候保護省(BMWK)が提供する、中小企業向けの中央イノベーションプログラム。
🦉2 量子H/Wスタートアップ。モダリティは、シリコンスピン。
🦉3 基礎研究の分野でドイツを代表する研究機関の1つであるマックス・プランク協会のスピンオフ企業。20年の歴史を持ち、6万人以上のユーザーを擁し、年間25%の成長率を誇っているらしい。主力製品がORCA(⤵🦉4)。
🦉4 量子化学計算プログラム。頻繁にアップデートされているらしい。ポスト・ハートリーフォック法(多体摂動法、結合クラスター法、多参照法)及び、半経験的分子軌道法など、幅広くサポートしている。分子動力学法によるシミュレーションも可能。
🦉5 量子誤り訂正における復号アルゴリズムの専門企業。
❚独り言❚ 米国にも存在しない金融機関に特化した企業が、相当数存在する。個別企業ではBeit(ポーランド)とJos QUANTUM(独)、Qruise(独)に加えてKIPU Quantum(独)が面白い。
(1) スペイン
❶ マルチバース・コンピューティングは盛んに、量子"ユニバース"全体の実務的・商業的アピールを行っている[*1]並びに[*9]。
㊀ 英オックスフォード・クォンタム・サーキッツ、米ムーディーズ・アナリティクスと共に、量子古典ハイブリッドPINNを使った、洪水予測モデルを開発すると発表した(23年10月31日)[*22]。洪水リスク評価と管理を、より正確かつ効率的にするために量子コンピューティングを利用する。計算対象は、2次元浅水流方程式。3社は、イノベートUKが支援するQuantum Catalyst Fundコンペティション第1フェーズへの参加権を獲得した。第1フェーズでは、£0.1milの資金提供を受けた。第2フェーズに移行すれば、予算は£1.2mil。
㊁ デジタル・ツインと量子インスパイアード・アルゴリズムを使用して、グリーン水素生産の効率を高めた、と発表(23年11月29日)[*26]。パートナーは、再生可能プロジェクトとデジタルツインを専門とするエンジニアリング会社IDEA Ingeniería(と、スペインのデジタル産業協会AMETIC)。デジタル・ツインは、プラントの動作パラメータを入力として使用して、グリーン水素製造プラントを数値的にシミュレートする。量子インスパイアード・アルゴリズム(→テンソルネットワーク)を使用して、グリーン水素生成に使用される電気分解プロセスを最適化することにより、水素生成とそれに伴う収益の5%増加を達成した。
㊂ 米ムーディーズ・アナリティクスと共に、(量子インスパイアード・アルゴリズムを含む)量子アルゴリズムを、開発並びに検証できるプラットフォームQFStudio™を立ち上げた、と発表(23年12月6日)。古典アルゴリズムとの比較機能が備わっておリ、量子>古典であれば、QFStudio™を通じて、量子アルゴリズムを実行できる。
㊃ 行列積状態(MPS)ベースのクラスタリング・アルゴリズムが、脅威インテリジェンスにおいて、優れた性能を発揮するという論文[*42]を発表した(24年1月5日@arXiv)。量子インスパイアード機械学習を適用した結果である。つまり、古典データを量子データで表現し直し(「量子特徴量を使用する」と述べた方が通りが良い?)、MPSを使って(量子特徴量から)情報を縮約した上で、(量子)機械学習モデルを構築する。"優れた"の意味は、「異常イベントの高識別率と、低誤検知率の両立」†1及び「高い説明可能性」である。高い説明可能性の根源は、⓵MPSベース・モデルは(量子特徴量を経由するので)特徴量に、確率が自然に紐付く、⓶(量子特徴量から、密度演算子を構築することで)エンタングルメント・エントロピー(EE)を算出できる、ことに求めることができる(EEを使うことで、特徴量の相互依存性を簡単に明示できる。またEEから相互情報量を、簡単に計算できる)。
まとめると、「MPSベースの学習モデルは、学習モデル出力の根拠を提示し易い」。その理由は、追加のツールを使わず簡単に、特徴量から確率や相互情報量などを計算できるから。
†1 インシデント・レポート・イベントの平均83.5%が異常として正しく識別され、すべての攻撃タイプが検出された。平均誤検知率は1.39%であった。
㊄ 「AI-BOOSTによる大規模AIグランド・チャレンジにおいて、スパコンを使用する時間80万時間を獲得した」と発表した(24年6月27日)[*56]。マルチバースによる「テンソルネットワークを使ってLLMのサイズを大幅に削減できた」という研究成果を活用して、最低300億個のパラメータを持つ大規模LLMを開発する。
㊅ 量子アルゴリズム及び量子インスパイアード・アルゴリズムを用いて(H/Wは量子アニーラ)、グリッド・ネットワーク(電力網)上のバッテリーの数、タイプ、および場所を最適化するプロジェクトを成功裏に実施した、と発表(24年7月11日)[*59]。成功とは、古典H/Wを使った結果より優れていた、という意味。スペインの電力大手イベルドローラとの協業。
㊆ 欧州防衛基金プロジェクトの一つ、EPIIC(Enhanced Pilot Interfaces & Interactions for fighter Cockpit)における「航空宇宙制御のための量子ジェスチャー認識」プロジェクトを勝ち取った、と発表(24年10月10日)[*78]。プロジェクトは今月(24年10月に)開始され、2025年9月に終了する。エアバス防衛宇宙部門と協力して、"量子コンピューティングの原理に着想を得た"戦闘機用の新しいジェスチャーベース制御システムを構築する。
㊇ 独Bundesdruckerei†2との共同プロジェクト×2の完了を発表(24年12月19日)[*89]。一つは、合成データ†3生成。量子インスパイアード・アルゴリズムと敵対的生成ネットワークとを比較し、前者の精度が15%高かった。2つ目は、ブロックチェーン・ネットワーク内での不正なトランザクション検出。量子インスパイアード・アルゴリズムと古典的手法とを比較し、学習時間が11%、推論時間が27%短縮された。
†2 「IDと承認管理、行政のデジタル化、データ分析、人工知能、政府の支払い方法と価値移転システムの分野で技術開発を推進」する、独連邦政府のテクノロジー企業。
†3 統計的性質は保持しているものの、実際のデータとは異なる、人工的に生成されたデータ。合成データから、実際のデータを推定できないように作成する必要がある。
㊈ 該社独自の圧縮技術CompactifAIを使って、中国DeepSeekのLLM、DeepSeek R1のパラメータをおよそ1/2にした†4、と発表[*143]。該社はこの圧縮版をDeepSeek R1 Slimと呼んでいる。なお、DeepSeek R1における政治的にデリケートなトピックに関する検閲を削除した、と主張。
†4 マルチバースは、随分、つまらない会社になった(=量子技術本丸の開発を行っていない)という印象。量子技術開発からAIに軸足を移し(SPAC上場したが)、結局破綻した米ザパタの二の舞にならないかと、心配している(ザパタは原点回帰し、再スタートした)。なおマルチバースは、24年(5月頃)から、CompactifAI(技術プリミティブは、テンソルネットワーク)を使ってLLMの圧縮を行っている。こちらを参照。
㊉ CompactifAIの日本展開に向けた覚書を丸紅と締結し、日本における市場調査を進めることを発表(26年4月24日)[*195]。→総合商社の打ち手として、面白みに欠けるし、遅い(センスがない)。
(2) オーストリア
❶ Parity Quantum Computing(ParityQC)
面白い→当面は、量子アニーラを対象として、適宜、拡張するのであろう。
① 量子アニーラで要求されるQUBOの軛から逃れて、組み合わせ最適化問題以外の最適化問題にも適用範囲を広げることに成功したようである。NECとパートナーシップを結んでいる。
② 墺インスブルック大学の研究者は、元々、量子アニーリング用に設計されたLechner-Hauke-Zoller(LHZ)アーキテクチャに基づく、新しい万能量子計算手法を提案した(22年10月27日)。詳しくは、Appendix Cを参照。ParityQC≒インスブルック大学なので、同社サイトにも記事が掲載されている[*4]。
LHZアーキテクチャに基づく量子誤り緩和技術を近似的量子最適化アルゴリズム(QAOA)に適用し、大幅に誤差を軽減できたと論文[*21]で発表した(23年1月12日@arXiv)。ParityQCとインスブルック大学の共同研究。
③ インスブルック大学は、23年6月、仏Pasqal、米QuEra(ともにモダリティは中性原子)との提携を発表。QuEraとは、大規模な最適化問題に取り組むことを目的としている。これは、「中性原子方式(の最適化マシン)は、量子ビットの幾何学的配置を利用することで、(他モダリティの)ゲートベース(の万能量子計算機)で実装するのが、非現実な多くの制約を符号化できる」という判断である。こちらを参照。
④ ドイツ航空宇宙センター(DLR)から、QuantiCoM Q2Hプロジェクトを受注した(23年11月)。QuantiCoM Q2Hは、QuantiCoM(Quantum Computing for Materials Science and Engineering)のサブプロジェクト。QuantiCoMは、量子コンピューティングを利用した材料科学と材料工学における高度なシミュレーション手法の開発を目指しており、QuantiCoM Q2Hは、対象を「水と水素」に限定している。プロジェクト期間は26年までの3年間。
⑤ 独ハンブルク大学とともに、QuADro(Quantum Algorithms for Drug Repurposing)プロジェクトに携わっていることを発表(25年1月21日)[*92]。ハンブルク政策投資・振興銀行(IFBHH)🐾1から資金提供を受け、2025年1月から2027年6月まで実施される。当面の目的は、医薬品開発とドラッグ・リパーパシング(DR)🐾2に対する個別化アプローチを可能にするアルゴリズムと新しい量子コンピューティング・フレームワークを開発することである。量子機械学習における知見が適用・活用される、と思われる。最終目標は、創薬における量子コンピューティングの基本的な市場性を実証し、量子コンピューティングの恩恵を受ける可能性のある主要分野を明らかにすることである。
🐾1 ハンブルク住宅建設金融機構が、2013 年の改革によって公法上の金融機関となった、地域政策支援銀行である。根拠法によると同行の事業内容は、州内の地方政府など公的機関への融資に加えて、政策金融の主要6分野で幅広く公的役割を果たすことが期待されている。同行の事業規模は、地域政策支援銀行としてもさほど大きくはなく、実際には、住宅・地域開発分野への融資業務が主軸に据えられているようである[*93]。
🐾2 ドラッグ・リポジショニングとも呼ばれる(こちらのほうが、知名度は高いと思われる)。ヒトでの安全性やプロファイルが把握できている医薬品(に加えて開発品、及び開発中断品など)について新しい薬効を発見し、「新しい疾患向けの」医薬品として開発する創薬方法。
⑥ 量子ゲート数と量子回路の深さを最適化(削減する方向での最適化)して量子アルゴリズムを実装する方法「Parity Twine」を開発した、と発表(25年1月28日)[*95]。5つの異なるプラットフォームで、Parity Twineの有効性を実証した、とする。ここでいうプラットフォームとは、量子ビットを配置して接続する形状(トポロジー)を指している。具体的には、線形最近傍(接続)、全結合、正方格子、六角ナット(ヘビー・ヘキサゴン)、ラダーである。Parity Twineは、QAOA(近似的量子最適化アルゴリズム)とQFT(量子フーリエ変換)の実装に非常に効果的である、と主張している。
⑦ 独の量子H/W開発スタートアップQUDORA(モダリティ:トラップイオン)と戦略的パートナーシップを締結したことを発表(26年2月25日)[*173]。該社のParity Twineを適用して、QUDORAハードウェア・プラットフォーム向けにアルゴリズムをカスタマイズおよび最適化する。
⑧ ブロッホ球のYZ平面における測定のみによって、測定型汎用量子計算が可能であることを実証した(26年3月31日@arXiv[*199])。この意味するところ(訴求点)は、「元々測定型量子計算は意識していなかったParityQCアーキテクチャが、測定型量子計算にも自然に適合する」という点。つまり、マーケティング的アピールである。かなり端折っているが、XY平面における測定のみでも、XZ平面における測定のみでも、測定型汎用量子計算は可能であったが、今回(未解決であった)YZ平面のみでも可能であることが示された(→未解決問題の解決なので、学術的にはインパクトあり)。その過程で(たまたま)、「ParityQCアーキテクチャが、測定型量子計算にも自然に適合する」ことを発見した(→偶然(言い過ぎ?)だけど、ビジネス的にはインパクトあり)、という流れ。
⑨ 誤り耐性量子計算に必要な量子リソース(物理量子ビット数)を大幅に削減できる、パリティ展開(unfolded)蒸留アーキテクチャを提案した(@arXiv[*203]、26年4月16日)。量子フーリエ変換(QFT)や量子位相推定等の(誤り耐性量子コンピューターで実行される)多くの量子アルゴリズムでは例えば√Tゲートのような、Tゲートより回転角度が小さな連続(1量子ビット)回転ゲート(本サイトでは、簡便のため、サブTゲートと呼ぶ)が自然に使われる。従来は、サブTゲート等をTゲートで近似する、というアプローチが想定されていた。パリティ展開蒸留アーキテクチャでは、そうではなく、√Tゲート(π/8回転)は、Tゲートとは異なる魔法状態蒸留を実行する。π/128回転(1/128=(1/2)(2+k),k=5)までは、パリティ展開蒸留の方が、物理量子ビット数は少ない、という結論である🐾3。蒸留には、量子リード・ミュラー(QRM)符号、QRM(1,2+k)を使う。Tゲートにはk=2、√Tゲートにはk=3が適用される。
QRM符号は、非クリフォード・ゲートを横断的(トランスバーサル)に実装できるが、スタビライザーが平面グリッドに適合しない長距離相互作用を伴うことが多いため、2次元(平面)での実装が非常に困難である。パリティ展開アプローチでは、この困難を、「バイアス・ノイズの特性を利用することで、片方のスタビライザーのみを、2次元平面上の最近傍接続で実装する」ことで克服している。位相反転誤り(パウリZ誤り)とビット反転誤り(パウリX誤り)とでは、そもそも発生割合が異なる(位相反転誤りが多い)が、バイアス・ノイズの特性とは、猫量子ビットなどのノイズバイアスのある量子ビットを使用することで、片方の量子誤り(具体的にはビット反転誤り)の発生を指数的に抑制できることを指している。QRM符号を2次元で実装することは難しいが、それはX型スタビライザー及びZ型スタビライザーの両方を2次元に実装することが難しいと言っているのであって、片方だけであれば、そうではない。パリティ展開アプローチでは、ノイズバイアスのある量子ビットを使うことで、「Z型スタビライザーのみの実装で十分である」という状況を作り出す。そうすることで、QRM符号の2次元実装を(実質的に)実現している。
Tゲートを使い回すのではなく、サブTゲート専用に魔法状態蒸留を行うことで、量子リソースを削減するという新しいアプローチである。定量的に示すと、クリフォード+Tゲートに比べて、クリフォード+Tゲート+√Tゲートは、リソースが26%削減された、とする。加えて、論理誤り率も49%削減できる、とする。
🐾3 物理誤り率を0.1%とした場合、しきい値が6.61となるので、7(=2+5)までは、パリティ展開アプローチが有利となる。もっとも物理誤り率を0.001%としても、しきい値は7.48にしかならない。
(3) ドイツ
1⃣ スタータップ(企業)
❶ Kipu Quantum
該社は、断熱ショートカットに関するフロントランナーである。商業的量子優位性時代が始まった、と主張している(こちらを参照)。
㊀ 22年12月27日、断熱ショートカットをタンパク質畳み込み問題に適用し、QAOAをアウトパフォームしたと発表(論文[*8]をarXivに投稿)した。こちらを参照。
㊁ 23年11月21日、航空宇宙センター(DLR)のプロジェクト「BASIQ」に参加した、と発表した[*25]。BASIQの目標は、ゲート方式量子コンピューター(現実的には、NISQマシン)用の電池材料シミュレーションを開発することである。同プロジェクトクトは、3年間継続され、独連邦経済・気候保護省から資金援助を受ける。
㊂ CINFO†1と協力して、スペイン・ガリシア州の通信ネットワーク事業者Rに対して、光ファイバー通信ネットワークにおけるサイバー攻撃からの回復力を向上させる量子アルゴリズムを開発した(24年1月23日)[*29]。「回復力を向上させる」ためには、まず、ネットワークに、切断または故障が発生した場合に、サービスに最も大きな影響を与える可能性のある最も機密性の高いノードを特定する。その情報からサイバー攻撃を予測することで、ネットワークの可用性とサービスの卓越性の最大の指標を達成することが可能になる(らしい)。量子アルゴリズムは、2フェーズで実行された。第1フェースはD-Waveのアニーリングマシンで、第2フェーズはQuEraの(中性原子方式)NISQマシンで実行された。
†1 次のように説明されている:電気通信ネットワークおよびビデオと人工知能の交差点における高性能システムを専門とするガリシアのテクノロジー企業。
㊃ 24年7月11日、PlanQKプラットフォームを買収すると発表(金額は非公表?)[*60]。PlanQKは、量子アプリケーションのためのオープンプラットフォームで、ソフトウェア・ハウスAnaqor AG(旧StoneOne)が開発。また、独連邦経済・気候保護省から€36milの資金提供を受けている。
㊄ PlanQKプラットフォームを通じて、米QuEraの中性原子方式量子プロセッサーAquila(256量子ビット)にアクセスできるようになった(24年10月8日発表[*76])。
㊅ デジタル・アナログ量子コンピューティングにより、量子優位性の実現が速まると主張するブログを投稿(25年4月10日)[*106]。アナログとは、解析対象となる問題を、量子回路に物理的に実装することを指している。[*106]では一例として、「超伝導回路では、量子ビットと共振器の自然な結合を利用して、ハバード・ホルスタイン模型†2のようなフェルミオン-ボソン模型をネイティブに符号化することができる」例が上げられている†3。デジタルとは、通常のゲート方式の量子コンピューターを指している。量子の恩恵を2重に被れば、量子優位性が、より強く見えてくるという(ある意味、当然な)主張である。業界は必死に、量子冬の時代orNISQ時代を乗り越えようと努力している。
†2 電子-格子(フォノン)相互作用を記述する典型的な模型の一つとされる。
†3 別の例をあげると、「最大独立集合問題の対象となるグラフは、中性原子の配列を使用するとネイティブに符号化できる」。
㊆ 独ベルリン州量子イニシアチブの支援を受け、KIPUが主催した「ベルリン量子ハッカソン 2026」で、米メイヨー・クリニックが優勝した。授賞式は、26年3月5日に行われた(プレスリリース[*179]は3月11日)。脳波信号から人の移動の意図を検出するハイブリッド量子 AI モデルを開発した。
㊇ 該社公式ブログ[*205](26年4月29日付け)及びホワイトペーパー[*206](@arXiv、26年5月19日付け)において、量子特徴量代理モデルを提案した。同代理モデルは、古典情報「から量子特徴量を抽出して、この量子特徴量を使った」古典特徴量を出力する、量子古典ハイブリッド・モデルに対する”古典代理モデル”である。つまり、データセット={入力=古典情報|出力=(量子特徴量抽出器†4経由の)古典特徴量}で学習された古典機械学習モデル†5である。いい意味で所詮、古典から古典なので、古典機械学習モデルで学習できるはず、という発想である。
KIPUは、100量子ビットを超えるNISQデバイスが入手可能な今の時代に、NISQデバイスが収益をもたらす最も直接的な方法の一つとして、「量子特徴量抽出」を上げる。しかし、全ての古典情報を量子特徴量抽出器に入力することは、コストが高いとして、古典代理モデルを提案した。様々な現実的な問題†6を対象に、古典ベースライン†7と比べて絶対精度が一貫して2~3%向上†8する、と主張する。量子特徴量抽出器に入力する、元の学習データからの削減量の具体例として、1/5を上げている†9。
この枠組みを機能させるには、元の学習データから、適当な部分データ(部分標本)を選択することが最も重要である。技術的には、ラベルの層別抽出法(層化サンプリング)と入力空間での k-medoidクラスタリング†10を組み合わせている。層化サンプリングは少数クラスを保護し、k-medoidクラスタリングはデータが実際に存在する領域を medoidがカバーすることを保証する。
†4 特定方式に限定されないが、[*206]には、ハミルトニアン時間発展を使った特徴量抽出器と「最も自然に組み合わせられる」と書かれている。(KIPUの十八番である)断熱ハミルトニアンによって駆動され、回路を浅く保ちながら、非断熱遷移を抑制して時間発展させる。適度に非断熱的であれば、非線形性が増して、より良い量子特徴量が抽出される可能性がある。
†5 シンプルな、リッジ回帰モデルが想定されている。ただし、量子特徴量抽出器が生成した非線形表現の幾何構造が複雑な場合、カーネル・リッジ回帰などに適宜変更される。
†6 具体的には、以下が上げられている:衛星及びドローン画像の分類、「コンタクトセンターでの顧客意図のルーティング、詐欺とリスクのトリアージ、トランザクションの分類など」、分子毒性予測や医療画像診断、「保険詐欺の検出と解約モデリング、銀行の信用リスク・スコアリング、予知保全、エネルギー需要予測とエネルギー・グリッドの異常検出」。
†7 具体的には、ResNet-18やResNet-50が上げられている。
†8 2~3%は僅かと思えるが、[*206]では、次のように述べられている:不正行為検出、解約予測、医療画像分類などのコンテキストでは、2~3%ポイントの精度向上は通常、年間数百万ユーロの節約につながる。
†9 具体的には、以下のタスクにおいて、1/5と示されている:Sentinel-1 SAR、Sentinel-2 マルチスペクトルおよび高解像度航空画像を組み合わせた、TreeSatAI ベンチマークに基づいて構築されたマルチクラス樹木属・分類タスク。
†10 パーティショニング型クラスタリング手法の一つで、k平均法の改良版。
❷ ParTecは、イスラエルQuantum Machinesと協力してQBridgeを開発した。QBridgeは、スパコンと量子コンピューターのシームレスな統合を可能にするソフトウェア・ソリューション。さらに、量子コンピューターをモジュール式スパコンと統合する際のギャップを埋めることを目的とした、ソフトウェアParastation Modulo 2.0も開発している。
❸ Qruiseは、イスラエルのQuantumMachines(プロセッサベースの量子コントローラーの大手プロバイダー)との戦略的パートナーシップ締結を発表(24年9月10日)[*71]。Quantum MachinesのH/Wで最適化されたQruiseのソフトウェアは、量子デバイスの詳細な特性評価を迅速に実行し、量子システムの高精度なデジタル・ツインを生成する。このデジタル・ツインを活用することで、「ユーザーは量子デバイスのパフォーマンスを制限するノイズや歪みの原因を、素早く・正確に特定して、対処できる」。
➍ QC Design ←お引越し
㊀ 2021年に設立されたQC Designというスタートアップが23年6月6日にステルスモードを解除した。該社は、「論理量子ビットのスケールアップに必要なテクノロジーをライセンス供与」することを生業とする⇒量子設計自動化ソフトウェアPlaquetteを開発している。Plaquetteは半導体設計におけるCADツールのような役割を果たす。具体的には、「誤り耐性量子コンピューター向けに、最も効率的な論理量子ビットとアーキテクチャを開発するのに役立つ」とする。22年、投資家(独Vsquared Ventures、仏Quantonation、独Salvia(独語サイトしかない!))からプレシード資金を調達した、ようである。👉欧州イノベーション会議(EIC)によるEICアクセラレータ・プログラムから、助成金€2.5mil、シードラウンドにおける投資資金として€1.5milを受け取った(24年7月16日)[*188]。
㊁ イスラエルの量子H/WスタートアップQuantum Source(モダリティ:光)とのパイロット契約を発表(25年1月23日)[*189]。
㊂ PlaquetteとNVIDIA cuQuantum SDKを統合した、と発表(25年3月20日)[*190]。その結果Plaquetteは、cuTensorNetライブラリを活用して、誤り耐性量子回路シミュレーションを実行できるようになった。定量的に表現すると、20GBのメモリを搭載したNVIDIA RTX™4000 Ada世代GPU単体で、400超の量子ビットをモデル化できる。現時点で最強のモンテカルロ・シミュレーターが、120GB RAM搭載ハイエンドCPUで約60量子ビットであることを鑑みると、大幅に改善されている(らしい)。
㊃ Plaquetteの拡張機能であるGaugeを発表(26年4月22日)[*191]。Gaugeは、特定の量子誤り訂正符号とノイズモデルに対して、あらゆる復号戦略(復号器)における、達成可能な最良の「量子誤り訂正しきい値」を決定するツール。超高速なマルコフ連鎖モンテカルロ・エンジンを搭載しているらしい。
㊄ 誤り耐性アーキテクチャの論理性能を算出する理論的フレームワークおよびソフトウェアスイートとして、Plaquetteを再定義したらしい。arXiv[*224]に論文を発表(26年7月9日)。実は、当たり前のことを、改めて注意喚起している:スタビライザー形式の量子誤り訂正では不十分🥔1である。そしてPlaquetteは、「非パウリ誤りに対応できる」と主張している。
🥔1 パウリ誤りのみを仮定した場合の論理誤り率が、非パウリ誤り(リーケージ誤り)を含めると「1.7%から23.9%」に跳ね上がる、というシミュレーション結果を示している。
2⃣ 公的機関(が支援しているプロジェクト)
⓪ DLR(独航空宇宙センター)が資金提供するプロジェクトBASIQにKIPUが参加している(↑❶㊁参照)。
① DLRが資金提供する「量子機械学習を活用して気候モデルを改善するプロジェクト」を、planqc及びd-fine[*31]が受託(23年9月)。
② DLRはplanqcとd-fineとの新たなプロジェクトを発表(24年1月)[*32]。プロジェクトの目標は、量子アルゴリズムとその実行を管理するための統合プラットフォームを確立すること。
③ DLRは、超伝導ナノワイヤー単一光子検出器(SNSPD)を改善するプロジェクトに対して、スペインMultiverse Computing及びSingle Quantumと契約した(24年1月)[*33]。量子シミュレーションを使用して、超伝導薄膜の屈折率を計算する。
④ DLR量子コンピューティング・イニシアチブ(DLR QCI)
㊀ QuantiCoMプロジェクト🐾1における「材料シミュレーション用の量子埋め込み🐾2アルゴリズム」の開発企業として、フィンランドIQM Quantum Computersを選択した(24年9月30日)[*85]。
🐾1 目的は、材料科学、材料工学、産業向けに量子コンピュータを使用した高度な手法を開発し、将来的に材料を迅速に開発し、開発時間を大幅に短縮すること。
🐾2 関心部分(材料に亀裂や欠陥がある部分)のみを抽出することで問題のサイズを削減して、関心部分を詳細にシミュレートすることを意味している。
㊁ DLR交通システム研究所が主導するQCMobility | Rail Transportプロジェクトを、planqcとd-fineが受託することを発表(25年8月19日)[*126]。このプロジェクトの目標は、現実世界の鉄道の課題を、量子ベースの最適化を用いて解決することである。
㊂ 墺ParityQCと共同で、量子コンピューティングの力を交通・モビリティ分野に活用することを目指すプロジェクト「QCMobility – Integration of Quantum-based Methods(以下、便宜上QCM-IQMとする)」の開始を発表(25年12月3日)[*146]。QCM-IQMは(文字通り)、QCMobilityプロジェクトの一環として実施される。QCM-IQMの射程は『航空輸送の戦略的・戦術的計画、道路・鉄道輸送の最適化、海上・複合一貫物流の改善』が含まれる。潜在的射程は『ライン=ネッカー大都市圏リージョン🐾3における公共オンデマンド輸送サービスの最適化から、ヴェーゼル=ダッテルン運河🐾4の閘門スケジュールの効率化、航空会社の乗務員スケジュールの最適化』まで多岐にわたる。
🐾3 独には、大都市圏リージョンとして指定されている地域が存在する。大都市圏リージョンが存在する背景には、独に(歴史上の様々な理由から)、「NY、ロンドン、あるいは東京」のような世界都市が存在しない、という事情がある。世界都市に対抗する手段として、大都市圏リージョンが誕生した。ライン=ネッカーは、大都市圏リージョンの中でも小規模である。ライン川とネッカー川が合流する地点に位置するマンハイム市(バーデン=ヴュルテンベルク州、人口30万人程度)・ハイデルベルク市(バーデン=ヴュルテンベルク州、人口15万人程度)・ルードヴィッヒスハーフェン(ラインラント=プファルツ州、人口15万人程度)の3都市を中心に構成される。
🐾4 ミッテルラント運河とライン川経由で接続している。
㊃ 独Tensor AI Solutions🐾6は、DLR QCIのQCMineral🐾7|QUADRANT🐾8プロジェクトを、DLRから委託された(26年1月15日)[*161]。フラウンホーファー労働経済・組織研究所(IAO)と生産技術・オートメーション研究所(IPA)と共同で実施する。DFT計算では、酸化還元酸化物などの相関材料に必要な化学的精度を達成できないとして、代わりに、量子古典ハイブリッド・シミュレーション手法を開発する。
🐾6 説明可能なAIに重点を置くハイテクAI企業。テンソルネットワーク・ベースの量子シミュレーションに関する知識を有する、とされる。防衛、ロボット工学、製造業など、安全性が極めて重要なアプリケーション向けに、クロス・ハードウェア・ソリューションを開発している。テンソルネットワークをベースとして開発されたAI技術は、ブラックボックスのない、透明性、制御性、エネルギー効率に優れたAIシステムを実現する、と主張。
🐾7 鉱物材料のための量子コンピューティング。量子コンピューターを用いた、エネルギー貯蔵のための(ペロブスカイト)酸化還元材料、革新的なガラス等の開発を行う。
🐾8 QUantum ADvantage for Redoxmaterial Application through Novel Technologies.
⑤ 独連邦研究・技術・宇宙省(BMFTR)
㊀ FullStaQD
FullStaQDプロジェクト(独向けフルスタック量子コンピューティング)に資金を提供している[*151]。該プロジェクトはソフトウェア・ベースの量子コンピューティング・インフラストラクチャの目標開発を推進している。主体は、フラウンホーファー労働経済・組織研究所(IAO)🐾5であり、科学技術と産業界の9つのパートナーと協力している。
🐾5 和名は、https://www.fraunhofer.jp/ja/institutes-establishments.htmlから取得。
㊁ QPolyDeg
2026年4月1日に開始されたQPolyDeg(紫外線誘起ポリマー劣化シミュレーションのための量子コンピューティング)プロジェクトに対して、3年間にわたり€2.9milの資金を提供する[*]。フラウンホーファー応用固体物理研究所(←🐾5)、キャップ・ジェミニ(独)🐾10、独HQS Quantumシミュレーションズ(⤵下表参照)、独フラウンホーファー材料メカニズム研究所(←🐾5)に加え、エアバス及び蘭アクゾノーベル🐾11がプロジェクトに参加する。プロジェクトの目的は、ポリマー分解をシミュレートするための新しい量子アルゴリズムの開発。
🐾10 一言で言うとコンサルティング・ファームであるが、コンサル・ファームは全体が複雑なので一言で言い表すのが難しい(ITサービス企業と言った方が、実態には近いかもしれない)。本社はフランス・パリ。
🐾11 化学メーカーであるが、塗料で有名。
㊂ TruQuaC
TruQuaCは、分散量子ノードを運用できる「安全で堅牢なプラットフォームを開発する」ことを目的とするプロジェクト。26年6月8日に開始された[*221]。当初は古典通信ネットワークの一部として運用する。独XeedQ🐾12が主導する。独ドレスデン工科大学、独フランクフルト・ゲーテ大学、英Qoro Quantum🐾13がメンバー。期間は3年で、BMFTRが€2.46milを提供する(全体予算は€3.06mil)。
🐾12 人工ダイヤモンドのNVセンターを量子ビットとする量子プロセッサーを開発しているスタートアップ。
🐾13 量子コンピューティング・システムと古典コンピューティング・システムの統合を簡素化するソフトウェア層を開発しているスタートアップ。
⑥ QIAPO(Quanteninformierte approximative Optimierung auf NISQ und partiell fehlertoleranten Quantencomputern🐾9)
独ザールラント大学、独planqc(モダリティ:中性原子)、独BMW、独インフィニオン・テクノロジーズは、新しい最適化アルゴリズムを開発するプロジェクトQIAPOを開始した(26年3月19日)[*185]。独連邦研究・技術・宇宙省(BMFTR)から3年間で€2.3milの資金援助を受ける。量子アルゴリズムで問題サイズを小さくして、小さい問題を古典アルゴリズムで解く。古典アルゴリズム単体に比べて、より効率的・より高精度な結果を得ることを目指す。
🐾9 NISQ及び部分的誤り耐性量子コンピューター上で実行される量子情報を利用した近似最適化。
3⃣ 特出し:QUASIMプロジェクト
QUASIMプロジェクトは、独連邦経済・気候保護省(BMWK)が資金提供している。
❶ 量子古典ハイブリッド機械学習モデルが、実アプリケーションにおいて、古典モデルよりも優れた性能を示したと(学会[*43]@24年1月3日~6日のプロシーディングにおける論文[*44]として)発表した ⇒ ❚結果❚に示す通り、量子機械学習の実用性は、未だ見えない!
❚概要❚
モデル・アーキテクチャは、グラフ・ニューラルネットワーク[*46]。"量子特徴量"を使って、グラフに入力データを埋め込む。この部分(入力データの符号化)だけが、量子的であり他は古典モデル。実アプリケーションとは、レーザーを使った金属加工(切断)における熱シミュレーションの代理モデル構築である。
❚データセット❚
データセットは、数値シミュレーションにより生成(グランドトルゥースも、シミュレーション出力)。
❚結果❚
①優→ 入力データ埋め込みに、(ノード埋め込み器として)多層パーセプトロン(MLP)を使ったモデルと比較し、優れた結果を示した。比較した計量指標は、MSE(平均自乗誤差)。つまりMSEが、より小さかった。
②劣→ 学習に要したトータル時間は、量子モデルが桁違いに長い(5万倍~6万倍)。従って、現時点での実用性は乏しいだろう(数値シミュレーションの方が速いのでは?)[*45]。
❚優れている理由❚
「量子特徴量」埋め込みが優れている理由は、以下のように主張されている:㈠「量子特徴量」埋め込みを実行する量子回路のユニタリ行列が、フルランク(階数最大)†1、㈡該ユニタリ行列による写像が全単射†2。
†1 MLPを使用する場合、フルランクでない「重み行列」が生成される(該ユニタリ行列の古典対応が、重み行列である)。フルランクでない=埋め込む特徴量に冗長性がある。従って、特徴量を埋め込む場合、重み行列は低ランクでないことが望ましい。
†2 全単射=入力特徴量に対して、埋め込みが一意。つまり、特徴量の情報損失や歪みが防止されて、忠実度の高い埋め込みが実現できる。
‖補 遺‖
量子特徴量を使った機械学習は、注目を浴びている量子機械学習の3大トレンドの一つとして、解説記事[*47]に上げられている:3大トレンド→㊀量子生成モデル、㊁量子特徴量を用いた機械学習、㊂量子データに対する量子機械学習。㊁の実例として、スペイン・マルチバースのサイバーセキュリティ事例(参照:上記(1)❶㊃)。
(4) スイス(EUではなく、欧州として・・・)
❶ Terra Quantumが八面六臂の活躍を見せている(量子暗号分野は、ここでは触れない)(下表にTerra Quantumはない→通信を参照)。量子ソフトウェアの分野では、もはや英ケンブリッジ・クォンタム・コンピューティングと双璧だろう(マルチバースやザパタを超えた感じ・・・)。
👉 26年5月26日、米NASDAQにSPAC上場することを発表。評価額はUS$3.5bil。
⓪ NVIDIAとの協業を発表(23年11月14日)[*23]。Terraが開発している量子・古典ハイブリッド・アルゴリズムをNVIDIAのプラットフォーム(GPU+CUDA Quantum)で実行できるようにする。
㊀ HSBCとの提携を発表した(23年9月7日)[*18]。銀行業務における様々な最適化問題において、量子古典ハイブリッドアルゴリズムが古典アルゴリズムを凌駕する問題を探索する。候補の一つは、「担保の最適化」。
㊁ 英金融ブティックCirdan Capitalと協業して、マルチアセット(つまり高次元)のオートコーラブルを、"ベンチマークに比べて"75%速く(10分が2分になった!)プライシングできた、と発表した(23年7月6日)[*19]。
㊂ 独Honda Research Institute Europeと協業し、地震時における自動車の緊急避難計画最適化問題において、量子古典ハイブリッドアルゴリズムが古典アルゴリズムよりも7%高精度であると論文[*20]で発表した(23年7月28日@arXiv)。実は、ややこしい内容である。こちらを参照。
㊃ 英蘭ユニリーバと協業すると発表(24年9月26日)[*73]。量子機械学習を活用して、皮膚マイクロバイオームデータを分析する。スキンケア製品の開発につなげる。
❷ トラップイオン方式量子コンピューター用制御システムを開発しているQendraが、Venture KickからCHF0.15milを調達した[*211]。該社は、スイス連邦工科大学チューリッヒ校発スタートアップ。Venture Kickは「スイスにおける大学発スタートアップを倍増させ、市場投入までの時間を短縮し、プロの投資家にとってより魅力的なものにするというビジョンを掲げ、2007年に設立された」。
(5) フィンランド
1⃣ Quanscient
富士通が実施した「富士通10万ドル量子シミュレータ・チャレンジ」でQuanscient(下表参照)が『流体力学の量子アルゴリズム』で最優秀賞を獲得[*28]。具体的内容は、「量子技術を流体力学の分野に応用することによる複雑な流体シミュレーションの実行」、「車両/船舶/航空機の製造や生物医学で使用できる量子アルゴリズムの開発、および計算パフォーマンスの測定と評価」。
2⃣ QMill
❶ シードラウンドで、€4milを調達したと発表(24年9月17日)[*70]。QMillの目的は、近い将来に量子優位性が実現される可能性のある問題領域を特定し、これらの課題に合わせた特殊な量子アルゴリズムを開発すること。ミッションは、さまざまな業界にわたる複雑な最適化の課題に対処すること。注力分野は、金融、通信、不動産、エネルギー、サプライ・チェーン・ロジスティクスなど。
❷ 量子回路を圧縮する新しい方法を開発したと発表(25年10月15日)[*137]。先端の回路オプティマイザーQuarlよりも優れたパフォーマンスを発揮した。
❸ 上記❷の結果はIBMのゲートセットに対する成果であった。Quarlに対してゲート数を約50%削減した(50→24)。25年11月16日、該社ブログで他社のゲートセットに対する成果を公表した[*142]。米リゲッティ(モダリティ:超伝導)のゲートセットに対しては、4,213→1,597(62.1%削減)。米IonQ(モダリティ:トラップイオン)のゲートセットに対しては、2,494→1,099(55.9%削減)。
英Qinaraは競合であろう。IBMのゲートセットに対しては、同程度の成果を上げている(25年11月14日←[*141])。
➍ 量子アルゴリズムが、(2量子ビット論理ゲートが?)99.94%の忠実度で動作する48物理量子ビット量子コンピューターで、量子優位性を発揮できる可能性を示す新たなシミュレーション結果を発表した(26年1月22日)[*163]。以前の推定値は、忠実度99.99%と物理量子ビット数200であった。論文発表されるまで、よく分からない。
❺ ESL Shipping♨1と協力して、海運業務における量子コンピューティングを含む高度な最適化手法を探求する「スマート・フリート最適化」プロジェクトを開始した(26年5月21日)[*204]。Business Finland♨2から一部資金提供を受けている該プロジェクトは、実際の海運データを用いて、船隊計画、排出量管理、および運用上の意思決定の改善に重点を置いている。
♨1 フィンランドに本社を置く北欧バルト海地域最大のドライバルク海運会社。同国のコングロマリットであるAspo Groupの完全子会社。
♨2 フィンランドでのイノベーション活動へのファンディング、在フィンランド企業の輸出促進、日本企業を含む海外企業によるフィンランドへの投資促進、海外からフィンランドへの観光促進を担う、フィンランド政府傘下の組織。本社はヘルシンキで国内外に600人の従業員を有する。出典:https://ils.tokyo/event_2021/sponsor/finland.php
3⃣ Algorithmiq
誤り耐性量子ハードウェア向けに設計された量子化学アルゴリズムの開発を加速するため、米マイクロソフトとの協業を発表した(25年12月11日)[*147]。該社のアルゴリズムをマイクロソフトのQDK(Quantum Development Kit)に統合する。なお、両社の協業は既に「測定オーバーヘッドを削減する高度な技術と組み合わせた、高忠実度の基底状態を準備する方法」を実証した、とする。
4⃣ QuantrolOx
❶ (蘭QuTechのスピンオフで)量子ビット制御機器を開発しているQbloxとの提携を発表(23年8月)。両社は、蘭QuantwareのQPU(超伝導方式)を使用して、「完全に自動化されたQPUの特性評価と調整」を実現し『25分未満でCZゲートを作成した』と発表(25年1月22日)[*94]。
❷ AQSolotl♌1と戦略的パートナーシップを締結したことを発表(26年6月24日)[*217]。AQSolotlの制御システムChronos-Qと該社プラットフォームQuantum EDGEを組み合わせ、手動キャリブレーションの削減とシステム安定性の向上を実現する統合スタックを構築する。チューニング・サイクルが大幅に短縮され、より安定した量子ビット性能の実現が可能になる、とする。
♌1 量子コンピューティングのインフラ開発を生業とするシンガポールのスタートアップで、設立は2024年。南洋理工大学、シンガポール国立大学(NUS)及びシンガポール量子技術センター(≒NUS)からのスピンオフ。
❸ 量子コンピューティングの産業化に向けた、一貫した協力体制を構築するため、米カリフォルニア大学バークレー校(UCB)と基本合意書(MOU)を締結したことを発表(26年7月27日)[*233]。期間は26年7月7日から、5年間。MOUなので(期間を含めて)、法的拘束力はない。UCBの超伝導量子研究に関する知見と、QuantrolOxが持つ専門技術を融合させる。当該専門技術=ハードウェアに依存しない、「量子ビットの特性評価・キャリブレーション並びに制御を自動化する」機械学習を活用したソフトウェア技術。
(6) フランス
1⃣ AQADOC
WelinqとEDFが主導するパリ地域資金プロジェクトAQADOCは、分散量子アルゴリズムと量子ネットワーキングソリューションを開発して、エネルギーセクターの量子優位性を実現することを目指しているらしい[*52]。Pasqal(中性原子方式H/W)、Quendela(量子光方式H/W)、Le Lab Quantique†1とTeratec†2と協力している。
†1 グローバルな量子エコシステムの出現を支援するために設立されたフランスの非営利団体。
†2 よくわからない。
2⃣ Qubit Pharmaceuticals
❶ 量子化学計算に必要な量子ビット数を大幅に削減できたと発表(24年7月10日)[*58]。具体的には、「32個の論理量子ビットで、”窒素、フッ化水素、水素化リチウム、水”の物理化学的特性を予測することに成功」した。ただし、仏ソルボンヌ大学と共同で開発した量子エミュレータHyperion-1(※)を使った結果である(ので、実機=NISQマシンを使ったらどうなるか?は、わからない)。量子計算が必要でない箇所を最大限切り出し、古典的に処理することで、量子ビット数を減らした(アイデアとしては従来から知られている)。
※ Hyperion-1に関しては、40個の論理量子ビットに対する正確な古典シミュレーションを成功させた、と発表している(23年12月)。今回の結果を受け、Hyperion-1のさらなる開発のために€8milの資金を獲得した。
❷ 創薬用量子アルゴリズムの開発と活用を目指し、シンガポールの量子技術センター(CQT)と戦略的な研究提携を発表(26年4月30日)[*196]。期間は2年間。分子シミュレーションにおいて、量子アルゴリズムが、古典手法と比較して2乗加速あるいは指数加速する可能性を探る。H/Wは、米クオンティニュアム(モダリティ:トラップイオン)の量子デバイスを使う。Qubit Pharmaceuticals・仏ソルボンヌ大学・CQTは、量子マルコフ連鎖モンテカルロ法(qMCMC)をNISQ実機で実装した、唯一のチームとされる(研究成果は、[*197]@arXiv、26年3月9日(ただしver1))。FTQCでなければ無理だと認識されていた。qMCMCを使って状態準備を行い、量子振幅推定を行うことで、期待値計算を(エンド・ツー・エンドで)2次加速できる可能性がある。
3⃣ QPerfect
仏の中性原子方式量子コンピューティング・プラットフォーム「aQCess」†3を支援するため、仏ストラスブール大学と共同研究契約を締結したと発表した(26年7月22日)[*228]。該社のMIMIQ™を活用し、aQCess量子プロセッサのハードウェア特性を忠実に再現したデジタルツインを構築する。
2023年に設立されたQPerfectは、ストラスブール大とCNRS(仏国立科学 研究センター)のスピンオフ。「テンソルネットワークを含む量子多体系シミュレーション並びに、量子誤り訂正のシミュレーションに関する専門知識」を有するとされている。主要商品として、量子アルゴリズムを開発および実行できる大規模量子回路シミュレーター(仮想量子コンピュータ)MIMIQを開発・提供している。
なお、加BTQテクノロジーズにより買収されている(26年7月8日、取引完了)。
†3 aQCess=atomic Quantum Computing as a Service・・・うまく収まっていない。ストラスブール大学とCNRSの共同研究所であるISIS(超分子科学工学研究所)傘下のCESQ(欧州量子科学センター)において開発が進められている。400量子ビット以上を目指す該プラットフォームは、研究者や産業界が最先端の中性原子方式ハードウェアをオープンに利用できる(一般利用が可能になる)ように設計されている。
(7) デンマーク
1⃣ ODAQSプロジェクト
(デンマークの政府系基金である)デンマーク・イノベーション基金▀1は、高性能量子ソフトウェア・スタック(ODAQS)プロジェクトに、3年間で1,740万デンマーク・クローネを拠出する(26年2月23日)[*177]。このプロジェクトは、Kvantify(デンマークの量子S/Wスタートアップ、下表を参照)、オーフス大学▀2、オールボー大学▀3が協力し、量子ハードウェアの利用を簡素化するソフトウェア・スタックの開発を目指す。具体的には、強化学習を活用し、ソフトウェアが効率的なプログラム構成を自律的に特定できるようにすることで、量子ハードウェアの有用性を最大限に高めることを目指す。当該ソフトウェア・スタックの主用途は、創薬パイプラインにおける量子化学。ユースケース的に述べると、計算効率を向上させることで、医薬品候補物質の初期スクリーニングにかかる時間とコストの削減を目指す。
▀1 ちなみに、日本のQunaSysも同基金が助成するプロジェクトを参画している。量子化学における量子位相推定アルゴリズムの強化を目指すHyperTenQというプロジェクトで、4年間に1,900万デンマーク・クローネが拠出される。
▀2 デンマークで3本の指に入る大学らしい(コペンハーゲン大学、オーフス大学、デンマーク工科大学)。
▀3 国立大学。1974年設立。
2⃣ EarlyBIRDDプロジェクト
Kvantify、米Atom Computing(モダリティ:中性原子)、オーフス大学(⤴▀2)の研究者は、デンマーク・イノベーション基金(⤴▀1)から3,000万デンマーク・クローネの資金援助を受け、EarlyBIRDDプロジェクトを立ち上げた(26年3月12日)[*182]。このプロジェクトは、薬剤とタンパク質の結合親和性の予測精度向上に重点を置く。
(8) スウェーデン
1⃣ FirstQFM
❶ 量子コンピューティングの商用利用における重要なマイルストーンを達成した、と発表(26年6月22日)[*216]。具体的には、量子リザバー・コンピューティング(QRC)を使った時系列予測で、古典モデルを上回った。該社のアプローチは、QRCを使って量子特徴量を生成→測定することで古典特徴量に変換して、古典機械学習モデルで時系列予測する、というアプローチ。それ自体は、特に目新しくはない。
新味は、基盤モデル・ベースのリザバーを適用するという点である(特許出願中らしい)。その意味合いは、リザバーを、「タスクの特性及び量子ハードウェアの特性」に対応させる、という意味である。タスクの特性に対応させるとは、例えば、タスクが時系列予測の場合、予測構造を考慮する、という意味である。ここで言う予測構造とは、「少数の先行指標に影響される、多くの弱い共変量に影響される、断続的なイベントに影響される」といった性質を指している。量子デバイスの特性に対応させるとは、量子ハードウェアの特性が経時的に変化しても、量子特徴量を安定的に生成させる、という意味である。
古典モデルとの比較は、こちらを参照。
⓪ プレ・シードラウンドで、€1.2milを調達している(25年10月)[*217]。中核となる技術の開発と検証を行うインキュベーション期間を経て、2025年に設立。創業チームのビジョンは、量子コンピューティングからビジネスおよび科学的価値を引き出すために不可欠な、スケーリングと性能向上を実現すること。
(9) オランダ
蘭デルフト工科大学発スタートアップMagiQwareが、プレシード・ラウンドで€575Kを調達したと発表(26年7月6日、該社CEOのリンクトインへの投稿[*219])。ただし、€500Kは26年5月28日時点で調達済み[*220]。該社は、(非クリフォード・ゲートの実行に不可欠な)魔法状態蒸留に必要な物理量子ビットの数を削減するAI主導のソフトウェアを開発している。
ハードウェアでは尖った印象は無いが、ソフトウェアでは、ARMやディープマインドのような綺羅星が存在するように思われる。PhasecraftとRiverlaneが、異彩を放っている。
(0) 大規模プロジェクト
1⃣ SparQプログラム
NQCC(英国立量子コンピューティング・センター)は、STFC(英国・科学技術施設会議)♌1とUKRI(英国・研究技術革新機構)と共同で、2024年7月にSparQ Proof of Concept Callを立ち上げた。「ヘルスケア、エネルギー、ロジスティクス」における量子ソリューションに焦点を当てた企業主導のプロジェクトに最大£75Kを提供する。2024/25年は、以下のプログラムを採択した[*84]。
① 数値流体力学シミュレーションの量子アルゴリズムにおける中間回路測定の役割を理解し、空気力学における量子優位性を実証する➡ オックスフォード・イオニクス(H/W:イオントラップ)、Quanscient(フィンランド、S/W)♌2、エアバス
② 災害対応活動を支援するためのフィールド内センサーネットワークの計画における量子最適化の概念実証➡ Mind Foundry♌3
③ 液体生検にAIを用いることで、がんの早期発見を改善するための量子機械学習➡ Applied Quantum Computing♌4、王立Brompton&Harefield病院、ブルネル大学ロンドン校、Digital Catapult♌5
④ 再生可能エネルギー部門向け量子最適化ソリューション➡ Frazer-Nash Consultancy♌6、ORCA Computing(H/W:光)、The Crown Estate♌7
⑤ 航空宇宙及びエネルギー分野における腐食化学を説明する分子埋め込み手法を開発し、実装する➡ キャップ・ジェミニ(英国)、エアバス、ロンドン大学キングス・カレッジ
⑥ クレジットカード取引における不正検知のための量子機械学習➡ 米ユニシス、Paysafe(英国)♌8
⑦ 量子位相推定アルゴリズムの量子リソース推定(ポリマーの基底エネルギーを求めることを想定)➡ PsiQuantum(米、H/W:光)、QinetiQ♌9
⑧ 宇宙環境に強い量子誤り訂正機能:宇宙放射線が量子ビットに与える影響を理解し、緩和する➡ Quantarverse♌10、Radiation Analysis Services♌11、Quantum Software Lab♌12、エディンバラ大学
⑨ 混乱を最小限に抑える交通網の保守作業を策定する(最適化問題)➡ Aioi R&D Lab♌13、Mind Foundry♌3
⑩ ジョブショップ・スケジューリング問題(最適化問題)➡ LTIマインドツリー♌14(英国)、D-Wave(英国)(加、H/W:量子アニーリング)
⑪ 電池モデルの核磁気共鳴シミュレーションを行うために必要な量子リソース推定➡ クオンティニュアム(英国)(米、H/W:イオントラップ)
⑫ 量子コンピューターが、マルチモーダル・データを使ったがん検査で診断精度を上げられるか➡ ColdQuanta(英国)(米、H/W:中性原子)、Avatrial♌15
♌1 STFCは、リサーチ・カウンシルの一つ。英国には、芸術・人文科学を含む学問分野別に、7つのリサーチ・カウンシルが存在する。研究助成を担う中心組織たるUKRIの傘下組織であるリサーチ・カウンシルは資金配分機関であり、議会に対して責任を負う。それぞれの学問分野の研究を支援し、高等教育機関や研究機関に対して資金配分している。STFCは、世界を先導する国内及び国際的な研究、イノベーションを提供することを使命とし、大型施設に関わる基礎研究(素粒子物理学、天文学、中性子科学、放射光科学、宇宙科学等)に対して研究資金を助成している。2024/25年の予算額は、およそ£921mである。参考資料:https://www.mext.go.jp/content/20200803-mxt_kiban02-000008616_2.pdf及び、https://www.jsps.org/newsletter/JSPSNL_70.pdf
♌2 有限要素法を使って偏微分方程式を解くアルゴリズムの量子版(NISQ版)を開発している。流体力学・構造力学・電磁場解析が注力分野。流体力学といっても、ナヴィエ・ストークス方程式ではなくボルツマン方程式が適する航空宇宙分野がメイン。つまり、格子ボルツマン法の量子アルゴリズムを開発している。
♌3 英オックスフォード大学のスピンアウト企業。AI開発プラットフォームの提供および開発支援コンサルティングを生業とする。あいおいニッセイ同和損害保険と資本業務提携している(20年10月)。出所:https://www.aioinissaydowa.co.jp/corporate/about/news/pdf/2020/news_2020103000762.pdf
♌4 量子コンピューターをビジネスに適用しようとする組織に対して、コンサルティングと技術アドバイザリー・サービスを提供する企業。金融とヘルスケア分野に重点を置く。
♌5 先端技術を応用したビジネスの成長を支援しているコンサルティング企業。
♌6 英国の技術系のコンサルティング会社らしい。
♌7 英国の資産管理会社。脱炭素社会の実現や生物多様性の維持といった、長期に渡る国家的課題の解決に資金を提供することが使命らしい。
♌8 米国の多国籍オンライン決済会社。
♌9 英国の他国籍防衛テクノロジー企業。
♌10 元々、太陽光発電の活用と利用方法に革命を起こすというビジョンを掲げて設立された。今後、宇宙ベースのデータセンターや、持続可能なブロックチェーン・ソリューションといった事業を展開する意向。
♌11 放射線コンサルティング会社。
♌12 エディンバラ大学情報学部の量子ソフトウェア研究所。NQCCと提携して、量子コンピューティングが実証可能なメリットをもたらす実用的な方法を研究している。
♌13 あいおいニッセイ同和損保、Mind Foundry、オックスフォード大学教授がワンチームで運営する先駆的イノベーションラボ(らしい)。
♌14 ラーセン&トゥブロ・インフォテック(LTI)とマインドツリーが22年11月に合併して誕生した、インドのITサービス企業。
♌15 より効果的で個別化されたがん治療の開発を促進することを使命とする英国の新興企業。機械学習ベースのアプローチを採用する。
2⃣ Quantum Technology Access Programme(QTAP)
Digital Catapult(→♌5)は、SparQプログラムと連携して実施するQTAPの第3期プログラムに11の組織を迎え入れた、と発表(26年7月15日)[*227]。技術的トピックスとしては、組み合わせ最適化と量子機械学習が2本柱らしい。ユースケース的には、金融サービスや血液疾患への取り組みが目玉らしい。
① NatWest(ナットウェスト)
大規模な取引ネットワーク全体にわたる不正行為やマネーロンダリングの検知という、増大する計算上の課題に対処する手法を模索する。
② Rail Safety and Standards Board(RSSB:英国鉄道安全標準化委員会)
RSSB♌16は、量子機械学習を活用し、列車が信号に接近する際の挙動の分類精度を高めることを目指す。
③ Health Innovation North West Coast(HINWC)
HINWC♌17は、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)♌18を対象に、「診断、治療プロセス、及び転帰♌19」のモデリングを改善するための量子コンピューティングの適用可能性を評価する。
④ CTA Fintech Solutions♌20
レガシーシステムからクラウドへと移行する金融および産業取引フローのシステム間最適化を模索し、厳格な規制環境下での遅延の低減、コスト効率の向上、及びシステム・レジリエンスの強化を目指す。
⑤ TCS Innovations (TCS-i)♌21
リアルタイム実行エンジンに入力される基盤となるシステム・パラメータを精緻化するために、量子コンピューティングの可能性を模索する。
⑥ Bandarlog.dev♌22
航空宇宙や輸送における重要資産の初期段階での異常検知に、量子機械学習を適用することを目指す。
⑦ Pixon Chemie♌23
既存の分子特性データベースや計算化学の参照データに量子機械学習を適用し、候補となる分子をスクリーニングするための予測モデルを構築する可能性を模索する。
⑧ Dundi Corp♌24
変分量子アルゴリズム(特にQAOA)を用いることで、半導体プロセス制御における多変数フィードバック・ループの遅延を、古典手法で可能な水準よりも低減できるかどうかを検証する。
⑨ Archborn♌25
「需要やリスクが時間とともに変動するノード・ネットワーク全体において、限られたリソースをどのように割り当て、経路を決定するか」という組み合わせ最適化問題に、量子コンピューティングが適用できるかを検討(検証?)する。
⑩ Build Insite♌26
膨大な「解の探索空間」における複雑な、建築物設計上のトレードオフ評価に関して、量子最適化技術を活用する可能性を模索する。
⑪ PontePatros♌27
限られたセンサー・データから、改修の不具合や湿気・カビの再発を早期に予測する上で、量子機械学習が有効かどうかを検証する。加えて、同社のEPC(エネルギー性能証明)データセット全体におけるリスク・スコアリングを、量子機械学習によって強化できるかどうかを検証する。
♌16 RSSBは英国の鉄道における、安全性、基準、及び研究を担う独立機関。
♌17 NHS(英国民保健サービス)のイノベーション部門。
♌18 全身の血管に小さな血栓ができる非常にまれな病気。血栓によって細い血管が詰まり心臓、脳、腎臓などに重い臓器障害をきたす恐れがあるため、できるだけ早く治療を開始することが必要とされる。またTTPは、症状が再発する可能性があり長期にわたる療養が必要な場合もある。日本では、国から医療費助成が受けられる「指定難病」として認められている。英国では、国内に9つの地域専門TTPセンターが設置されており、一般病院でTTPが疑われる患者が発生した場合速やかに、専門センターへ連絡・転院させるルートが義務化されている。専門センターへの連絡から原則4〜8時間以内に、主要な治療法である「血漿交換療法」を開始できる体制が整備されている。出典:https://www.england.nhs.uk/wp-content/uploads/2022/08/1668-Service-Specification-2022.pdf#:~:text=All%20patients%20must%20have%20started%20Plasma%20Exchange,applicable%20and%20defrosting%20of%20plasma%20for%20PEX.
♌19 為念:医学的介入や入院・通院の過程を経て、最終的に患者の症状がどのような状態に至ったかの結果。
♌20 リアルタイム・データ・インフラストラクチャとマルチシステム間の相互運用性を専門とする英国のテクノロジー企業らしい。
♌21 複雑な物流業務を効率化するAPI駆動型の最適化モジュールを提供するディープテック企業らしい。
♌22 重要インフラ向けの「物理的インテリジェンス」を構築する英国のディープテック企業らしい。エッジAI、高度センシング、量子対応の最適化(量子アニーリングあるいはシミュレーテッド・アニーリングを使っているってこと?)を組み合わせた該社ソリューションは、航空宇宙、輸送、産業分野の資産運用者が障害を早期に検知し、計画外のダウンタイムを削減し、運用上のレジリエンスを向上させるのを支援している。
♌23 特殊化学技術企業らしい。農業、鉱業、産業分野向けの高度な化学ソリューションの開発、製造、供給を行っている。
♌24 精密量子センサーの開発・製造を専門とする企業らしい。
♌25 高度な量子対応最適化技術を既存システムに組み込むことで、企業や防衛関連組織の「即応性、レジリエンス、及びコスト・パフォーマンス」の向上を支援する企業らしい。国防がメインなのだろう。
♌26 建設業界における建築設計および性能解析の実施プロセスの改善に取り組んでいる企業らしい。
♌27 英国を拠点とする住宅診断および改修(レトロ・フィット)後の性能モニタリングを行う企業らしい。居住者がいる公営住宅において、湿気・カビ、及び改修後の性能に関するリスクを検知するための、接続方式を問わない室内空気質センサー・プラットフォームを構築している。
(1) Phasecraft
1⃣ 22年10月11日、「フェルミ・ハバード・モデルの実装に成功した、スケーラブルな(NISQを対象とした変分)アルゴリズムを開発した」と発表した[*3]。一般的なフェルミオン系で使用される技術を含めて、様々な誤り抑制技術を使用している。なお、量子スピン液体(カゴメ格子反強磁性体)のシミュレーションを提案するなど、相当先まで観ている。
2⃣ エネルギー・グリッド(送配電網)最適化を検討する£1.2milの契約を獲得したと報道された(24年2月6日)[*35]。資金は、英政府の量子技術促進基金から拠出される。この契約はフェーズ2で、24年1月1日から開始されている。フェーズ1は、エネルギー・グリッドにおける最適化問題を解決するために量子コンピューティングをどのように使用できるかを調査した[*36]。フェーズ2では、エネルギーネットワーク研究コンソーシアムSupergen Energy Networks Hubと協力し、量子ソリューションを使用して、最適化問題に優先順位を付けて対処することを試みる。エネルギー・グリッドの維持管理には、電線1kmあたり最大£1.5milのコストがかかるため、最適化のニーズは大きいという。
3⃣ 量子強化ソフトウェア・プラットフォームMondrianを発表(25年10月1日)[*136]。Mondrianは、古典最適化アルゴリズムを高速化し、複数の業界における難解な最適化問題や制約充足問題に適用できるように設計されている、と主張。Mondrianの高速化は、量子アルゴリズムの出力を用いて古典アルゴリズムを高速化することで、実現される(ので、現在のNISQマシンでも問題ない、とする)。エネルギー・グリッド最適化において、1,000倍の高速化を実証した、とする。
4⃣ DARPAの量子ベンチマーク・イニシアチブ(QBI)に参加した、と発表(26年3月3日)[*175]。Phasecraftに求められたタスクは、2033年を目標に「実用規模」の量子コンピューティングを実現するために必要な”現実的な”リソース要件(論理量子ビット数)を決定すること。対象は、次の2つ:材料・分子モデリング及び、(NP困難に属する)最適化問題。
5⃣ 米エネルギー省エネルギー高等研究計画局(ARPA-E)から、QC3(量子コンピューティングによる計算化学)プログラムに関する助成金獲得を発表(26年6月15日)[*212]。約US$4.5milの契約に基づき、(エネルギー分野で利用可能な)新規触媒のシミュレーションと発見を行うための、高度に最適化された量子アルゴリズムを開発する。英ジョンソン・マッセイ🦁1、米ハーバード大学、米QuEra(モダリティ:中性原子)と連携してプログラムを進める。
🦁1 産業用各種化学触媒の開発・製造・販売、貴金属化合物などの製造・販売、等を行うメーカー。
(2) Riverlane
Riverlaneは、量子コンピューター用OSの開発等を行っている。☛今では、リアルタイム復号化器の開発で有名か。
1❚ アルゴリズム変更によって、量子化学計算に必要なリソースが激減するとの推測を発表した(22年11月10日)。分子軌道と電子がおよそ50の活性空間に対して、量子位相推定を使って基底エネルギーを求める計算を、①鈴木-トロッター公式を使った場合と、②(疎な)キュビタイゼーションを使った場合とで比較。①は千年以上、②は7.6日と推測した。なお、キュビタイゼーション(qubitization)で計算リソースが減少するという報告は他(例えば、[*5])にもあり、VWと加Xanadu(ザナドゥ)Quantum Technologiesによる新電池開発プロジェクトでもqubitizationにおける計算リソースの推定が行われている[*6]。
2❚ リアルタイム復号器(decoder)をASICで製造することを発表した(23年9月13日、該社公式ブログ[*12]に投稿、論文[*13]を9月11日arXivにて公開)。24年にテープアウトされる予定。ASICはFPGAよりも高速・廉価・低消費電力。量子誤り訂正符号の文脈における復号器とは、シンドローム測定の結果から、元の量子情報を推定するデバイスである。復号のアルゴリズムには、Collision Clusteringデコーディング・アルゴリズムを使用。量子誤りのクラスターを成長させ、それらが衝突するかを評価することで機能する(らしい)。誤り訂正符号としては、(各種)表面符号が(当面の?)対象。復号器のIPもリリースする(Verilogが使われている)。なお、"半導体"の文脈におけるIPとは、回路設計データのことを言う。
👉 欧州イノベーション評議会(EIC)から「Transition」スキーム†1の助成金£2.1milを獲得したと発表(24年5月1日)[*48]。蘭Qbloxが提供する量子制御システムと統合される予定。
†1 2021年からEICでは、Pathfinder、Transition、Acceleratorという研究段階に応じた3スキームで公募を実施し、採択プロジェクトへの助成等を進めている。Transitionの対象は、「実環境での技術検証・実証、市場準備」である。出所:https://www.jst.go.jp/crds/pdf/2021/OR/CRDS-FY2021-OR-02.pdf
[為参考1] なお、表面符号の復号器をComputation in memoryに実装し、深層学習(LSTM)で復号を実行するという研究が東大で行われている[*14]。なお、ニューラルネットワークを使った復号器の簡単なレビューとして、例えば[*15]がある。
[為参考2] 強化学習ベースのリアルタイム量子誤り訂正の実現を目指すプロジェクトとして、アルテミス計画(https://quantera.eu/artemis/)がある。
3❚ 英ロールスロイス(及び英国立量子コンピューティング・センター)と提携して、「量子シミュレーションに要する量子ビット数を、大幅に削減する方法論を構築する」と、発表した(23年12月18日)[*27]。ジェットエンジンに使用する材料の新規開発を、当面の対象とする模様。本質的には、材料シミュレーションにおける価値の高いユースケースを特定することが目的。イノベートUKから資金提供を受けている。
4❚ 「富士通10万ドル量子シミュレータ・チャレンジ」にて『量子安定性実験』で優秀賞(第2位)を獲得[*28]。具体的内容は、「リーケージ・エラー†2を伴う現実的なノイズモデルの下での、量子誤り訂正の重要なベンチマークである、量子安定性のシミュレーション」、「量子計算で誤差を引き起こすさまざまな種類のノイズに対する量子安定性の検証と、これまで観察されていない挙動の発見」。
†2 {0}あるいは{1}が、「{0}でも{1}でも(どちらでも)ない状態」に遷移してしまう量子誤りを、リーケージ(leakage)エラー、という。(遷移した状態が分かっている)ビット反転エラーや、位相反転エラーよりも、深刻な量子誤りである。※言わずもがな、「量子ビットは、{0}と{1}の(量子力学的)重ね合わせ状態」という通常セットアップ下での説明。
5❚ マサチューセッツ工科大学プラズマ科学・核融合センターと共同で、プラズマ・ダイナミクス・シミュレーション向けの効率的な量子アルゴリズムの開発に取り組むことを発表(24年1月30日)[*30]。
6❚ 米オークリッジ国立研究所(ORNL)が主導する「量子誤り訂正技術がスパコンに与える影響を調査する」プロジェクトに参加することを発表した(24年2月27日)[*37]。リバーレーンが量子誤り訂正技術を提供し、ORNLのスパコン(IBM製のサミット)とリゲッティ(モダリティは超伝導)の量子ハードウェアを"リモートで"繋いで検証する。具体的には、量子H/W+スパコンのパフォーマンスを測定するベンチマーク・スイートQStoneを構築する。
7❚ 英ロールスロイス、加ザナドゥとの共同チームが、「ジェットエンジンを通過する空気の流れを、量子古典ハイブリッドモデルで計算するアプリケーションの開発を加速させるため、イノベートUKから£0.4mil以上の助成金を獲得した。カナダ国立研究会議産業研究支援プログラムからも、CA$0.5milが提供された」[*39]。
8❚ 米国防高等研究計画局(DARPA)が資金提供する量子ベンチマーク・プログラムのフェーズ 2に選ばれた、と発表(24年4月17日)[*49]。現実的なアプリケーション実行に必要な、量子リソース及び古典リソースの推定を目的とする。現実的とは、「プラズマ物理、流体物理、凝縮系物理、高エネルギー物理」を指しており、必ずしも商業的という意味ではない。南カリフォルニア大学、シドニー大学、ロスアラモス国立研究所等と協力して実施する。"ただし"、リソース推定は、表面符号を前提としている。
9❚ 仏アリス&ボブ(モダリティ:超伝導)が、該社の量子誤り訂正技術を導入する契約を締結したと発表(24年5月29日)[*51]。
10❚ 米Atlantic Quantum(モダリティ:超伝導、フラクソニウム方式)が、該社の量子誤り訂正技術を導入する契約を締結したと発表(24年7月17日)[*61]。
11❚ 仏Pasqal(モダリティ:中性原子)が、該社の量子誤り訂正技術を導入する契約を締結したと発表(24年12月10日)[*87]。
12❚ フィンランドIQM(モダリティ:超伝導)、瑞チューリッヒ・インスツルメンツと共同で、SurgeonQプロジェクトを立ち上げた(25年2月6日)[*96]。同一トポロジーの物理量子ビットに対して、様々な論理量子ビットを、柔軟に構成出来るようにする。言い換えると、同一トポロジーの物理量子ビットに対して、様々な量子誤り訂正実験が行えるようになる。そのために、格子手術(lattice surgery)プラットフォームを構築する。
13❚ 英国量子ミッション・パイロット・プログラム下の量子誤り訂正実験3件を支援していることを発表(25年4月23日)[*107]。3件=米リゲッティ(超伝導)、英オックスフォード・クォンタム・サーキッツ(超伝導)、英オックスフォード・イオニクス(トラップイオン)。
14❚ 米CentreSquareが運営する商用データセンターに、Deltaflow2を導入することを発表した(25年7月22日)[*119]。併せて、英オックスフォード・クオンタム・サーキッツ製のQPU、蘭Qbloxの制御ハードウェアが導入されている。Deltaflow2は、以下の性能を発揮する:最大250個の物理量子ビットに対し、量子誤りが蓄積しない量子演算を1万回実行可能(10KQuOps)。リーケージ誤りにも対応しており、復号精度が向上。商用データセンターへのDeltaflow2導入は、2028年までにMegaQuOpsの達成を目標とする英国の国家量子戦略のミッションに対応している。
15❚ Deltaflow2を、米オークリッジ国立研究所(ORNL)に導入すると発表(25年9月4日)[*131]。2025年9月末までに導入完了予定。量子コンピューターとスパコンのハイブリッド・システムにおいて、リアルタイム量子誤り訂正(復号)が、どのように動作するか実証することが目的。
16❚ リバーレーンは、米クオンティニュアム、英ロールス・ロイス、及び英EPCC†3と、「ガスタービンの設計など、将来の産業ワークフローに求められる量子コンピューティングの能力を検証するための協定を締結した」と発表(26年7月14日)[*225]。
†3 英エディンバラ大学に拠点を置く英国立スーパーコンピューティング・センター。
(3) Cambridge Quantum Computing(米Quantinuumの子会社)
1⃣ 動的電子相関まで考慮して波動関数を求める方法論の一つ、多参照摂動論計算を、新たに開発したハイブリッド量子古典アルゴリズム(QRDM-NEVPT2)で実行することに成功した(arXiv投稿22年10月)[*7]。古典コンピュータで量子状態を表現する量子部分空間展開法を使うNEVPT2に対して、QRDM-NEVPT2は量子デバイス上で縮約密度行列(RDM)を使う。FTQC版への拡張を見据えている。
2⃣ 英国放送協会(BBC)と、過去100年間のテレビとラジオで収集されたコンテンツの発見とアーカイブの検索のために、量子自然言語処理の適用を模索することを目指して、(Quantinuumが)15年間の契約を結んだと発表(22年12月)。ロンドン大学ユニバーシティカレッジと協同する。
3⃣ 独自に開発した量子モンテカルロ積分エンジンの詳細を発表した(ニュースリリース[*16]は23年9月15日、論文[*17]はarXivにて8月11日公開)。このエンジンは以下の4モジュールで構成されている:㊀ローディング・モジュール→確率分布とランダム過程を量子回路としてロードする、㊁計算モジュール、㊂統計量計算モジュール、㊃量子振幅推定モジュール。また87ページ(真水でも71ページ)に及ぶ先の論文[*15]では『金融業界でよく使われる計算方法を量子回路で構築するためのツール”the enhanced P-builder”などが詳述されている』。
(4) Qinara
自社を「量子古典ハイブリッド・ソリューションに特化した初の量子ソフトウェア企業」と位置付けている。設立は24年11月。製品は4つ:Qronos(量子回路最適化システム)、Q-Prism(サイバー・セキュリティー・ソリューション)、Qure(がん領域の創薬用量子古典ハイブリッド・ソリューション)、ISO-Q(詳細不明)。該社はQronosについて、以下のように主張 ╏ 深層強化学習とグラフベースの修正を活用することで、量子アルゴリズムをより高速かつコスト効率よく実行することを可能にする。
GitHubにて、Qronosと「4つの量子回路最適化ツール🌹1」との比較結果を公開(25年11月14日)[*141]。24個の量子回路🌹2に対してQronosを使うことによって、ゲート数を"オリジナル"から53%~89%削減した(平均値79%、中央値81%)。4つの量子回路最適化ツールとの比較では、概ね50%程度の削減を実現している。
競合企業のフィンランドQMillは、IBMのゲートセットで同じような成果を発表(25年10月15日←[*137])。11月16日には、他社(米リゲッティ、米IonQ)のゲートセットに対しても、成果を発表している←[*142]。
🌹1 Qiskit(米IBM)、TKET(米クオンティニュアム)、Quartz(開発元がわからない)、Quarl(開発元がわからない)。有名所では、Qmod(イスラエルClassiq)があるが、採用されていない。
🌹2 最適化の前に、Qiskitを使用して量子回路を IBM-Eagleゲートセット{CX、SX、X、RZ}にコンパイル(トランスパイル)している。
(5) Qoro Quantum
プレシード・ラウンドでUS$0.75milを調達したらしい(26年4月)[・・・ない!]。Qoroは、量子コンピューティング・システムと古典コンピューティング・システムの統合を簡素化するソフトウェア層を開発している。
(6) QMatter
プレシード資金調達ラウンドでUS$1.2milを調達した(26年4月22日)[*187]。該社は、問題サイズを圧縮する技術を開発しているらしい。
(7) Imperagen
純粋に”量子”ではないが、念の為。シード資金として£5milを調達した(26年5月21日)[*207]。マンチェスター大学のスピンアウト・スタートアップで、2021年に設立された該社は、量子物理とAIを活用した酵素工学プラットフォームを開発している。量子物理シミュレーションで合成データを作成して、AIを学習。自動ロボットシステムで実験を行った結果をAIにフィードバックする(継続学習)。ある企業(フォーチュン500に名を連ねるパーソナルケア企業)は該社のプラットフォームを使って、2種類の酵素の生産性がそれぞれ、677倍と572倍向上した、と主張。
カナダで量子ソフトウェアのスタートアップが多い理由は、世界初の'量子'コンピューター・ベンダー、D-Waveシステムズが存在したからだろう。
(0) InfinityQ Technology
シーメンス(Siemens Energy Ventures)は、エネルギー事業における組み合わせ最適化を解決するために、InfinityQと協業することを発表した(24年8月20日)[*66]。InfinityQは、量子インスパイアード古典アルゴリズムを使った最適化問題ソリューションを提供している、カナダのスタートアップ。2020年に設立されたSiemens Energy Venturesは、「エネルギーシステムを変革し、気候変動との戦いに役立つベンチャーへの投資、構築、パイロット事業に重点を置いている」らしい。
(1) 1QBitは、変分量子アルゴリズムによる、電子相関効果を考慮した分子シミュレーションの計算精度を、改善する手法を開発した。研究論文が、Nature Machine Intelligence に掲載された(22年7月20日)[*2]。ニューラルネットワークを使った、量子誤り緩和であり、2つのステップで構成される。〈ステップ1〉:Transformerを生成モデルとして、計算結果から、基底状態を再構成する→パラメータ付きの基底状態が作成される。ニューラルネットワーク量子状態トモグラフィと呼ばれる手法である。〈ステップ2〉:変分モンテカルロ法を使って、ステップ1の基底状態のパラメータを最適化する。
1⃣ 2022年秋にトロントで設立されたHaiquが、プレシード資金として$4milを調達したと発表した(23年6月)†0。Haiquは、英、加、ウクライナ(及び米、独、スイス)に分散したコラボレーション・チームという組織形態を採用している(→米サンフランシスコに本社を置く新興企業、ということになったらしい→米ニューヨークが本社になったらしい。他オフィスは、加ワーテルロー、ウクライナのリヴィウ、英ロンドンにある)。量子コンパイラ(量子回路の最適化コード)の開発、量子機械学習を含む量子アルゴリズムの開発等を行っているもよう。創業者CEOのRichard Givhanは、三菱電機の客員起業家(EIR:Entrepreneur in Residence)だったとの報道あり。また、今回のラウンドには、トヨタ・ベンチャーズ(米カリフォルニア州ロスアルトスを拠点とする投資部門)が参加している。
†0 https://www.haiqu.ai/insights/raise-2
2⃣ オープンソースのツールキットRivetのリリースを発表(24年6月)†4。既存のコンパイラ(量子回路の場合、しばしばトランスパイラと呼ばれる)に対する問題意識をもとに、Rivetは開発された。問題意識とは、既存トランスパイラは、パラメータ付き量子回路(いわゆるアンザッツ)のコンパイル(トランスパイル)を高速に実行できない、というもの。アンザッツは、変分量子アルゴリズムには欠かせない。Rivetは、効率的なトランスパイルも可能にするため、使用する量子ビット(量子ゲート)の量を抑制することができる。それは、デバッグの容易さにもつながる。リリース時点(つまり、24年6月)で、Qiskit†1、BQSKit†2、Pytket†3をサポートしている。
†1 言わずと知れた、IBM製。最もメジャーなツールキット。
†2 米エネルギー省傘下のローレンス・バークレー国立研究所が作製。
†3 これも有名。Quantinuum製。
†4 リリース日時点で、該社サイトに記載なし。
4⃣ 該社公式ブログで、「量子生成・古典特徴量×古典機械学習」(=射影量子カーネル法)×異常検知において、"量子
5⃣ シードラウンドでUS$11milを調達した、と発表(26年1月13日)[*159]。トヨタ・ベンチャーズが引き続き参加している。
6⃣ 量子アプリケーション開発を自動化・最適化するプラットフォーム「HaiquOS」を発表。Haiquは(エッジが効きすぎたスタートアップなので?)自社サイトで十分な情報を開示していない→例えば、メディア・サイト[*202]を参照(26年5月6日付け)。
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古典的な入力データを量子状態に符号化する「状態準備」を実行する量子回路の深さは、指数関数的に増加する可能性がある。つまり、指数関数的な時間を要する可能性がある。このため、一般的な古典データに対して、エンドツーエンドの量子計算で量子優位性を得るためには、量子アルゴリズムは指数加速が必須であるとされる。ただ、特定クラスに属する古典データは、多項式的深さの(つまり浅い)量子回路で状態準備が可能であることが分かっている。
Haiquと英大手商業銀行HSBCは、確率分布を、浅い量子回路で符号化できるかを検討し、可能であると発表した(24年12月6日@arXiv[*86]➡査読済論文としてPhysical Review Researchに26年4月20日付けで公開、[*86]に併記)。具体的には、以下のようなことを行った(ただし現実的には、下記の手法ではなく、テンソルクロス補間❚補遺❚を使った方が良い):
❑まず、x∊[0,1]である確率分布f(x)を、f(0.σ1・・・σN)と表現する。ここでx = 0.σ1・・・σNを、二進数表記する。例えばx=0.376なら、十進数表記だとσ1=3、σ2=7、σ3=6、である。これを二進数表記すると、σ1=0、σ2=1、σ3=1、・・・、σ10=1、・・・となる。つまり1/2-2+1/2-3+1/2-10=0.375977≒0.376、となる。xを二進数表記することで、xの関数f(x)はテンソル化される(テンソルで表現することができる)。
任意のテンソルは、特異値分解を行うことにより、行列積(MPS)状態で表現できる(テンソル→MPSは"厳密に"行える。つまり近似ではない)。そこで、次に、f(0.σ1・・・σN)=ΠAσjℓiℓjと、行列積状態(MPS)Aσjℓiℓjを使って表現する(行列積状態へ分解する†5)。ただし、i=0~N-1、j=1~Nで、ℓ0=ℓN=1とする。N量子ビットの量子状態|f⟩は、エンタングルメントが大きくない場合、O(poly(N))の量子ゲートを使ってMPS表現可能であることが知られている。❑
ここまで(❑~❑)は、既に行われていること及び知られていることで、[*86]のオリジナリティではない。[*86]は、「エンタングルメントが大きくない」†6という仮定が、テンソルで表現した「滑らかな関数」にも当てはまることを示し、確率分布(関数)に適用した。適用された確率分布は、切断正規分布、対数正規分布及び、金融(数学)において重要なレヴィ分布等である。MPSは(正準形式に変換することで)量子回路に容易に埋め込める。つまり、MPS表現すれば、量子回路を作成できる。
いくつかの工夫を凝らし、最終的に[*86]は、O(N)個の量子ゲート数†7で確率ローディングが可能であること示した(と理解)。その上で、実機(IBMのNISQデバイス、量子ビット数25)で確率ローディングを行ってサンプリングした結果は、有意水準5%で、コルモゴロフ・スミルノフ検定(KS検定)に合格した。確率分布は、レヴィ分布、対数正規分布、およびガンマ分布である。ただし、量子ビット数50及び64のデバイスでは、デバイス・ノイズのため、KS検定には合格しなかった。
†5 情報科学の分野では、テンソル・トレイン分解と呼ばれる。
†6 純粋状態のエンタングルメントの大きさは、エンタングルメント・エントロピー(EE)で計量される。EEは、最大ln(2)≒0.693で最小0である。EEが大きいほど、エンタングルメントは大きい。EEは結合次元kに依存するので、添え字kをつけて、Skと表記する。また、Sk=∑iSk,iである。iが小さい方が(つまり、Sk,1やSk,2が)、支配的である。[*86]ではレヴィ分布のSkを、レヴィ分布の尺度母数cに関して2パターン(0.15及び4.00に対して)を例示している。なお、位置母数μ=0である。一番大きなSk,1だと、結合次元4かつc=0.15で、1/4程度になる。そのときの、Sk,2は1/64程度である。従って、EEはおよそ0.266程度と考えられる。これが十分に小さくないのであれば、結合次元kを大きくすれば良い。ただし、結合次元が大きくなれば、それだけ量子リソースも計算コスト(☞下記❚補遺❚参照)も増える。
†7 特定の条件に従う場合、古典データはMPSを使用して、十分に近似できることが既に示されている[*91]。特定の条件とは、「量子状態にマッピングされた後に、十分に急速に減衰するフーリエ・スペクトルを持つ」ことである。この場合、ゲート数は(指数関数的に増加するのではなく)量子ビット数に応じて線形に増加することが示されている。ゲートは、(最近傍)2量子ビットゲートである。
❚補遺❚
上記では、二進数表記を使ったテンソル化した確率分布を、確率ローディングの"入力"としている。テンソルクロス補間(TCI)は、関数値のサンプリングを使用して関数のMPS表現を近似的に構築する手法で、計算コストが削減できる(というメリットがある)。TCIの場合O(Nχ2)である。Nは量子ビット数、χは(テンソルネットワーク、今の場合はMPSの)最大結合次元である。二進数表記を使った場合の計算コストはO(2N)である。
また(別のメリットとして)、TCIの場合は、確率分布をブラックボックスとして扱うことができる。このため、明示的に定義できない確率分布にもTCIを適用できる。
(3) softwareQ(下表も参照)は、分散型量子コンピュータ(=モジュラー・アプローチ)を実現するための「ネットワークの要件を定量化し、それらの要件を満たすシステムの実現可能性を証明することを目的」に英Nu Quantum(こちらを参照)と協業する(24年3月12日[*41])。これは、カナダ国立研究評議会(NRC)と英研究技術革新機構(UKRI)が資金提供するカナダと英国の共同量子技術プロジェクトの一つ。最大で、$0.5milの資金提供を受ける。softwareQは、量子回路のコンパイル(しばしばトランスパイルと呼ばれる)に関する高度な技術を有すると目されている。Nu Quantumは、量子ネットワーキングによって量子コンピュータをスケールアップさせること(分散量子コンピューティング)もミッションとしている。
(4) Quminexは、プレシード資金を調達したことを発表(25年4月14日)[*105]。金額は非開示。Quminexは、「AI、量子コンピューティング、高度なデータ分析技術」を駆使し、「価値の高い鉱床をより効率的に特定する」ことをミッションとするスタートアップ。詳細な技術は、不明。
(5) Kothar†8 Computing
1⃣ Web(ブラウザ)ベースで使用可能な「計算物理学プラットフォームFORGE」のリリースを発表した(25年8月29日)[*124]。まずは、量子多体問題を対象とするが、量子化学、材料科学にも対象が拡張される予定。問題を最大10,000倍高速†9に解けると豪語する。Kotharは、科学計算ツールのサポートにより(科学者による)科学的発見を加速することをミッションとしている。FORGEは、独自のシンボリック代数†10フレームワークを基盤として構築されている。
†8 Kothar(読めない💦→コタールで良いらしい)は、ウガリット神話の「職人技、技術、鍛冶、そして魔法の神」らしい。ウガリット神話は、古代都市ウガリットに保存されていた粘土板文書に記されていた神話らしい。
†9 量子多体問題用解析コードのコーディング作業に、数か月を要するらしい➡例えば、3か月=778万秒とすると、3か月/1万=778秒≒13分。
†10 随分と前から、量子多体問題等に対する最先端の計算手法やプログラムは、手作業だけで開発されることはなかったらしい[*125]。(比較的単純ではあるものの)煩雑で長大な数式計算が必要であり、人的ミスが生じやすい。このため、数式計算(及びコンピュータへの実装)を自動化するシンボリック代数システムの助けを借りて、計算手法やプログラムが構築されていた。FORGEの強みは、使い勝手がより良い&より高速、ということであろう。
2⃣ 加Nanoacademic Technologies†11と協業し、量子EDAソフトウェア・スイートを構築する、と発表(25年10月31日)[*139]。この量子EDAは、「モデリング、最適化及び(数百万量子ビットへの)大規模化を可能にする」シミュレーションおよび設計フレームワークである。対象は、半導体スピン量子ビット及び超伝導量子ビット(ベースの量子チップ)。Nanoacademicは、半導体スピン量子ビット及び超伝導量子ビットの高解像度物理モデルを提供する。Kotharは、量子多体ソルバーを提供する。
†11 2008年設立。所在地は、モントリオール市。高度な原子シミュレーションおよび量子技術モデリング・ソフトウェアの開発とライセンス供与を専門としている。
(1) イスラエル
日本では、Classiq及びQuantum Machinesの知名度大。
1⃣ Quantum Machines
❶ イスラエル量子コンピューティングセンターの設立を主導することが発表された(22年7月18日)。同センターには、H/Wベンダーとして、QuantWare(蘭・超伝導)、ORCA(英・光量子)、ColdQuanta(米・中性原子、現Infleqtion)が参画。S/Wベンダーとしては、Classiq(イスラエル)とsuper.tech(ColdQuataが買収した)が参画する。※Super.techの主要製品は、次の2つ。①SuperstaQ:任意のソース言語(Cirq、Qiskit等)で量子プログラムを作成し、任意の量子コンピューター(IBM、Rigetti、IonQ、AQT)をターゲットにすることができる。量子スタック全体にわたって最適化されているので、一般的な量子プログラムのエラーを半減できる。高度な量子誤り緩和技術のライブラリが含まれている。②SupermarQ:アプリケーション・ベンチマーク・スイート。
❷ 独Qruiseとの戦略的パートナーシップ締結を発表(24年9月10日)[*71]。↑Qruiseの項を参照。
❸ 量子コンピュータの校正(キャリブレーション)のためのオープンソース・フレームワーク「QUAlibrate」のリリースを発表した(25年5月19日)[*110]。100量子ビットの超伝導量子コンピュータをゼロから校正するには最大2日かかることがあるらしい。この所要時間は、100万量子ビットを目指す姿と考えると非現実的(線形で推移させても2万日=54年以上)。100量子ビットの校正(最大2日)を、どの程度で終了できるかは、具体的には示されていない。
➍ ユーザーがあらゆる古典プロセッサ(XPU)🐾1を量子制御スタックに統合できるフレームワーク「Open Acceleration Stack」を発表(26年3月16日)[*184]。該社独自のOPNIC(OPXネットワークインターフェースカード)とNVIDIA NVQLinkを使用することで、独自のパルス処理ユニットとXPUとの間で、μ秒レベルの超低遅延リンクを実現する。低遅延リンクは、(量子誤り訂正における)リアルタイム復号や、回路キャリブレーションといった重要なタスクに、不可欠と考えられている。
🐾1 GPU、CPU、FPGA、ASIC。
❺ ソフトウェア・プラットフォームの強化と欧州における事業拡大のため、蘭QHarbor(蘭デルフト工科大学発スタートアップ)を買収すると発表(26年5月5日)[*200]。QHarborは、物理学研究者及びデータ駆動型科学者向けデータ・ストレージ及び可視化ソフトウェア・プラットフォームを設計している。
2⃣ Classiq
❶ 東芝デジタルソリューションズ㈱と提携したと発表した(23年6月)[*10]。ゲート型量子コンピューティングのユースケースを探索すること、が提携目的(目標?)のようである。
❷ BMWグループ(及びNVIDIA)と提携して、メカトロニクス・システムを最適化することを発表(24年6月20日)[*54]。具体的には→Classiqの技術を使って、課題†1に応じた量子回路を設計。当該量子回路の実装を、NVIDIA GPU+NVIDIA CUDA-Q プラットフォームでシミュレート。課題の解決を高速化する。
(下記表にもある通り)製造業に対するソリューションとしては、既に、英ロールスロイスと協力して、計算流体力学シミュレーションの量子アルゴリズムを実装することを発表している(22年10月)[*55]。
†1 自動車における各種電装品の最適な組み合わせ問題。量子アルゴリズムとしては、QAOAやHHLを使う。
❸ 米QuEra(中性原子方式量子H/Wスタートアップ)との戦略的提携を発表(24年7月23日)[*63]。ClassiqのプラットフォームとQuEraのH/Wを統合する。
❹ 初の量子コーディング用高級言語(HLL)、Qmod(Quantum Modeling Language)の一般提供を発表(24年7月23日)[*64]。
❺ 米ウルフラム・リサーチ†2と共に、CERN†3のOpen Quantum Institute(OQI)†4への参加に(25年4月22日付けで)選定されたことを発表(25年5月5日)[*108]。発電機起動停止計画問題(Unit Commitment Problem:UCP)を解くための量子・古典ハイブリッド最適化手法の開発に重点的に取り組む。UCPとは、「時間帯ごとに与えられた電力需要を満たすように、各設備の起動停止スケジュール及び出力を求めるスケジューリング問題」†5である。UCPはNP完全であり、解法として、「動的計画法、分枝限定法、ラグランジュ緩和法、メタヒューリスティックス」などが適用されている†6。再生可能エネルギー源の系統接続が進むにつれ、「従来の計算手法では効率的なスケーリングが困難になっている」とされる。
†2 科学技術計算用の総合ソフトウェア・Mathematica(マセマティカ)の開発元として有名。創業者スティーブン・ウルフラムは、物理学者・コンピューター科学者であり、セル・オートマトンの研究等で知られている。
†3 Conseil Européen pour la Recherche Nucléaire:欧州原子核研究機構。
†4 量子コンピューティングへのグローバルかつ包括的なアクセスと、人類の利益となるアプリケーションの開発を促進する多国間ガバナンス・イニシアティブ(https://open-quantum-institute.cern/who-we-are/)。パイロット期間中(2024-2026年)、CERNがホスト役を務める。UBS(スイスのユニバーサル・バンク)の支援を受けて、ジュネーブ科学外交先見財団(GESDA)によって設立された。GESDAは、「スイス連邦議会、ジュネーブ州、ジュネーブ市によって2019年に設立された独立した財団」で、「未来の科学的ブレークスルーを予測するための、中立的で信頼できるプラットフォーム」らしい(https://portal.gesda.global/jp/)。
†5 出典:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jasmin/2013f/0/2013f_167/_pdf/-char/ja
†6 出典:https://www.iee.jp/pes/termb_090/
❻ インドの量子S/WスタートアップBQP†7は自社ブログ[*144]で、Classiqの量子回路最適化ツール†8について、以下のように評価している:Classiqの量子回路最適化ツールは、構造化行列に対して、「ハードウェア効率の高い低深度†9」のブロック符号化†10を生成する。これは、一般的な偏微分方程式†11を量子コンピューターで解く†12場合、Classiqのツールを使うことで、要求されるハードウェアのリソースを実用的なレベルに留められることを意味している†13。
†7 旧社名BosonQ Psi
†8 Qmodという理解で良い?
†9 Qiskitの回路最適化と比較して、回路深度を最大100倍削減する、と主張する。
†10 ブロック符号化とは、「一般的な=ユニタリではない」行列(演算子)Aを、より大きなユニタリ行列内に埋め込むことを可能にする、数学的及び量子回路レベルの手法である→†11を、さらに参照。
†11 具体的に言うと[*144]では、2次元ポアソン方程式を扱っている。
†12 量子コンピューターは、線形かつユニタリな問題でなければ扱えない。線形性・非線形性への対処(例えば、カールマン線形化など)は、ここでは触れない。非ユニタリ性(しばしば散逸性とも呼ばれる)を量子コンピューターで扱うアプローチは、3種類あるとされる。㊀ブロック符号化、㊁warp phase変換、㊂ユニタリ線形結合(LCU)/ハミルトニアン・シミュレーションの線形結合(LCHS)。つまり[*144]では、㊀を扱っている(採用している)ということになる。
†13 ちなみに[*144]は、NVIDIA CUDA-Qシミュレーション・プラットフォーム上で実行された(つまり実機を使っていない)。
❼ 自然言語で量子プログラムを生成できる量子AIエージェントを発表した(26年4月23日)[*194]。
❽ 南米チリのチリ・カトリック大学と、生体医用画像解析のための量子古典ハイブリッド・アルゴリズム開発に関する共同研究プロジェクトを発表した(26年6月4日)[*209]。臓器としては(まず最初に?)、腎臓に取り組む。腎臓病変の分類、糸球体領域の自動検出†14などに注力する。モデル・アーキテクチャとしては、量子CNN、変分量子分類器、量子カーネル法が想定されている。NVIDIAのCUDA-Qでシミュレーションを行った後、米IonQ(モダリティ:トラップイオン)の実機で検証する。最終的に、古典機械学習モデルと比較される。
†14 腎臓の疾患診断において、腎糸球体の病変を正確に分類することは、「診断、治療方針の決定、予後判断」に不可欠とされる。糸球体の病変を正確に分類する以前に、糸球体領域自体を正確に認識することが困難とされる。それは、そもそも糸球体の立体構造が複雑である一方、生検・病理診断は2次元の切片で行わざるを得ず、切片の質によっては他の組織構造(血管や尿細管)との区別が困難になるから、という理由からである。なお、糸球体内の部位を正確に同定するためには、専門的な知識や経験が必要とされている。そのような状況であるから、機械学習モデルに必要なラベル付き正解データは、極めて少ないとされる。量子機械学習モデルは、正解データが少ないケースで「量子有用性を実現する」と期待されているから、ぴったりフィットするユースケースと言えるだろう。
❾ 26年6月15日付け該社ブログ[*213]にて、「量子CFD(計算流体力学解析)に、完璧なソルバーは必要ない」と主張した。この主張を噛み砕くと、「量子CFDに課される厳しい精度要件は、緩和される可能性あり。故に、CFDは、最初の実用的な誤り耐性量子アプリケーションに成り得る」†15。英ロールスロイスとの共著である、26年5月31日にarXixにて公開した論文[*214]が礎になっている。両者は従前から緊密に連携している。
量子コンピューティングの文脈でCFDを切り取ると主に、4つの断面がある:㊀量子変分アプローチ(→QubitSolve)、㊁ハミルトニアン・シミュレーション(→Haiqu他)、㊂量子線形ソルバー(QLS。量子線形システム・アルゴリズム(QLSA)とも呼ばれる)、㊃量子格子ボルツマン法(→Quanscient他)。ちなみに、量子PINNs(Physics-Informed NN)は、㊀に含まれる。Classiqとロールスロイスは、(HHLアルゴリズムを使わない)㊂を嗜好(指向?試行?)している。[*214]は、QLSにおける近似が、CFDにおける反復の収束にどのように影響するかを分析している。シミュレーション†16結果として、以下㈠及び㈡が示されている:
㈠ 多項式近似ベースのQLSでは、多項式の次数が低くても=近似誤差がそこそこあっても、収束には十分であることを示した。次数(の高さ)は、量子回路の深さ及び量子リソース・コストに直接対応する(から、低次で良ければ、回路を浅く出来る)。なお、次数には、「高周波成分†17を正確に解像できる程度の次数」という要件が課される。
㈡ QSVT(量子特異値分解)の代わりに、チェビシェフ多項式を使ったアプローチ(CLCU†18)により、量子リソースをさらに削減できる†19。具体的かつ定量的に言うと、必要な1量子ビット回転を(QSVTと比較して)1桁以上削減できる。
〖補遺〗以下は、特殊なケースではなく、一般的なケースを想定する。QSVTベースQLSの計算複雑性は、O(κ×polylog(n)×poly(1/ε))。ここでκ=条件数、n=問題サイズ(格子点n×nのイメージ)、ε=計算精度。一方、量子格子ボルツマン法(QLBM)の計算複雑性は、O(polylog(n)×poly(1/ε))。線形化手法として、(カールマン線形化より効率的な)クープマン・フォン・ノイマン線形化を考えている。QLSとQLBMとの優劣は、κとεの関係性次第である†20:{κ大,εそこまで小さくない}=QLBMの勝ち、{κ小さい,εめっちゃ小さい}=QLSの勝ち。
†15 ただし、条件数は100に過ぎない。現実的な CFD 問題では、条件数は >10⁶に達する可能性がある。次数~条件数×log(条件数/精度)であり、スケーリングするかは非自明(精度~10-12)。下手すると、誇大宣伝の可能性も・・・。また、測定誤差は考慮されていない(アルゴリズム誤差だけが考慮されている)。入力問題及び出力問題に関しても、基本的にノータッチ。
†16 衝撃波を伴う遷音速流を含む、1次元ノズルを通過する定常流がシミュレートされている。
†17 流体方程式(偏微分方程式)を線形方程式系で表現したときの係数行列における最大固有値付近が、高周波成分である。
†18 CLCUは、簡略のためココでのみ使った表記。[*214]では、Cheb-LCUと表記されている。LCU=Linear Combination of Unitaries(ユニタリ演算子の線形結合)である。
†19 QSVTもCLCUも、次数dの多項式を適用するためにd個の1量子ビット回転を必要とするが、CLCUでは「多項式係数の状態準備」に使われる。[*214]では更に、正確な係数をより効率的にロードできる”近似値”に置き換えて、量子リソースが削減させている。
†20 2つの計算複雑性を見比べると、QLBMの方が優位に見えるが実のところ、これは表記が悪い。QLBMでは、非線形項の線形化にかかるコストがεに含まれる。つまり、O(κ×polylog(n)×poly(1/ε))のεと、O(polylog(n)×poly(1/ε))のεは同じではない。QLSとQLBMの競争は、流体方程式の非線形性の強さに左右されるし、QLBMでの線形化手法の性能にも左右される。
❿ PRが上手いということで・・・AWSのブログ(26年6月22日)[*216]にて、Classiqプラットフォーム上で開発された、以下のような量子古典ワークフロー・ライブラリが紹介された:㊀変分量子固有値ソルバー(VQE)を使った基底状態エネルギー計算†21、㊁近似的量子最適化アルゴリズム(QAOA)を使ったアミノ酸鎖の三次元構造決定(タンパク質のフォールディング)、㊂連続時間量子ウォークを使用したFMO複合体†22内におけるエネルギー移動への量子コヒーレンスの寄与†23をシミュレートする。
†21 もっとも[*216]で紹介されている事例は、シンガポールのイノベーションセンターHatchが主催したオープンイノベーション・チャレンジ「Dimension X」の一環として実施された検証プロジェクト。具体的には、DFTとVQEのハイブリッドアルゴリズムで、リガンドとタンパク質の結合エネルギーを推定するという問題。分子系全体を、a)化学的に活性なフラグメント+b)それを取り巻く環境、という2領域に分割。a)にはVQE、b)にDFTを適用することで、コストと精度のバランスを採る(というNISQに定番の手法)。
†22 フェナ–マシューズ–オルソン複合体。
†23 植物(や一部のバクテリア)が光合成を行うときFMO複合体内で、量子コヒーレンスが、光合成の高いエネルギー移動効率に寄与しているという仮説がある。正確には、百家争鳴状態のようである(出典:https://research.smeai.org/photosynthesis-quantum-coherence-decoherence/)。
3⃣ Qedma
Qedmaは、量子誤り抑制・量子誤り緩和ソフトウェアを開発・提供する量子S/Wスタートアップ。
❶ イスラエル・イノベーション・オーソリティ(IIA)🐾1およびデンマーク・イノベーション基金🐾2の支援を受け、Eurekaネットワーク🐾3の一部として、デンマーク工科大学、コペンハーゲン大学、Molecular Quantum Solutions🐾4、Oxford Ionics🐾5と提携することを発表した(25年6月3日)[*115]。光化学、創薬、材料科学といった分野における重要な課題である「強相関電子系のシミュレーション」を支援するフルスタック量子ソリューションの開発を目指す。
❷ シリーズAでUS$26milを調達したと報道(25年7月3日)[*117]。IBMベンチャーズ(IBMのCVC)も参加している。シードラウンド(2020年)でUS$4.7milを調達済らしい。
🐾1 1984年に設置された首席科学官オフィスを組織改編し、2015年に設立。IIAは、「新ビジネスの構想を有する起業家、新製品開発を進めているスタートアップ、イスラエル国内企業との連携に関心のあるグローバル企業」に、補助金及び公的支援プログラムを提供する独立行政機関。出典:https://www.affrc.maff.go.jp/docs/innovate/attach/pdf/R5_seika_6.pdf
🐾2 デンマーク戦略的研究会議、デンマーク国家高等技術基金およびデンマーク技術・イノベーション評議会が合併して2013年に設立された(14年から投資を開始)。国際的な社会的課題から生まれる新たな社会イノベーションパートナーシップを後押しするとともに、デンマークの企業における新たなソリューションに関するニーズを支援する。出典:https://crds.jst.go.jp/dw/20131113/201311131042/。╏為参考╏日本のQunaSysは同基金から、1,900万デンマーク・クローネ(約4億円)の助成金を獲得している(25年3月)。
🐾3 研究開発とイノベーションにおける国際協力のための世界最大の公的ネットワーク。世界45カ国以上に拠点を置いているが欧州が中心。残念ながら、日本に拠点はない。アジアでは、韓国とシンガポールに拠点あり。
🐾4 2019年に設立されたデンマークの量子S/Wスタートアップ。製薬企業/バイオテック企業/化学企業が研究開発を加速できるように、スパコン及び量子コンピューター上で稼働する、物性計算ツ-ルを提供している。
🐾5 Oxford Ionicsは、米IonQに買収された(25年6月9日)。この影響は、あるだろうか?
❸ 米クオンティニュアムのプラットフォームとの連携を発表(26年7月23日)[*229]。該社の量子誤り抑制および誤り緩和ソフトウェアが、クオンティニュアムのH/W上で使用できるようになる。
4⃣ Quantum X Labs
❶ 米NASDAQ上場企業Viewbixによる買収が成立した(過半数の株主から、書面による同意を得た)とメディアで報道された(26年1月5日。例えば、[*155])。26年1月5日に、PRE14Cファイル✡1が米SEC(米国証券取引委員会)に提出されている[*156]➡26年3月4日クロージング。なお本買収案件は、アーンアウト・ディール。Viewbixは、イスラエルに拠点を置く動画分析・技術企業らしいが、良く分からない。Viewbixは、Quantum X Labs買収後、改めてQuantum X Labsに社名を変更している。
Quantum X Labsもイスラエル企業である。事業内容は分かり難いが、量子技術に関するIPを開発して管理することのようである。該当する量子技術は多岐にわたる:㊀量子誤り訂正符号✡2における「機械学習ベース」の復号器、㊁臨床試験データの分析✡3、㊂核磁気共鳴(NMR)ジャイロスコープ✡4、㊃セキュリティ✡5。IPの社会実装は、子会社に任せるというビジネス・モデルのようである。
❷ 事業ポートフォリオはさらに増えている:㊄中性原子方式の量子コンピューター開発、㊅原子時計の開発、㊆原子炉設計の量子シミュレーション
✡1 株主に議決権行使を求めないケースにおいて、株主に情報を提供する目的で提出される情報開示書類らしい。
✡2 表面符号を明確に否定している(ところが素晴らしい)。ただし、該社の機械学習ベース復号器は、量子誤り訂正符号の符号形式を問わない。言わずもがなであるが、機械学習ベースなので(ノイズモデルを脱分極ノイズに限定する等の非現実的な仮定は置かずに)、実機の現実的なノイズを考慮できる。
✡3 米国特許を申請(25年12月24日)(例えばhttps://techtime.news/2025/12/24/quantum-x-labs/)。特許出願のタイトルは「連続分布関数のための量子マルコフ連鎖モンテカルロ(量子MCMC)サンプリング・ポイントの生成」。臨床データが、ある母集団からのサンプル・データであると見做し、臨床データが従う確率分布関数を量子MCMCで、ロバストに推定するという話であろう。
✡4 NMRジャイロスコープは、核磁気モーメントが印加磁場の周りを回転する際のラーモア周波数のシフトとして回転を感知する。固有技術により、該社のジャイロスコープは、精度が高く(バイアス並びにドリフトが小さい)、消費電力と装置サイズを大幅に削減できる、と主張。26年1月6日に「技術的なブレークスルーを達成した」と発表(https://www.globenewswire.com/news-release/2026/01/06/3213609/0/en/Viewbix-Quantum-X-Labs-Announces-Breakthrough-in-the-Development-of-a-Quantum-Gyroscope-Chip-Technology.html)。
✡5 詳細は開示されていない。
(2) シンガポール
1⃣ Entropica Labs
再帰的QAOAの適応版という「Ada-RQAOA」を開発し、計算コストを比較指標として、QAOAを凌駕したと主張している。具体的には、❶最小頂点被覆問題、❷最大独立集合問題、❸最大クリーク問題、の3つのNP困難問題にAda-RQAOAを適用した。「Ada-RQAOAは、複数回の再帰的実行の中で最も信頼できると思われる情報のみを用いて解を構成するため」QAOAを凌駕する、としている。
また、中性原子方式の米Atom Computingとの協業を発表している(23年6月)。これは中性原子方式が、❶~❸を解くのに有利[*11]であるためであろう。
2⃣ Horizon Quantum
❶ 量子コンピューターを所有・運用する初の量子ソフトウェア企業となったことを発表(25年12月3日)[*145]。量子コンピューターは、「米Maybell Quantumの極低温プラットフォーム、イスラエルQuantum Machinesの制御エレクトロニクス、そして米Rigettiの超伝導量子プロセッサ」を組み合わせて自作した。
ちなみに富士通は、生成AIが自動でコーディングする時代における競争優位の源泉として、量子コンピューターを製造できることをあげている(らしい)。しかし上記例からも分かるように、単なる製造では、それが例え量子コンピューターであっても、競争優位の源泉とはなり得ない。ハードウェア原理主義的な思想・発想に留まるのであれば、量子時代における成長は難しいと思われる。
❷ ハードウェア非依存型高水準オブジェクト指向言語「Beryllium」のリリースを発表(25年12月9日)[*148]。該社の統合開発環境(IDE)であるTriple Alphaを通じて、Berylliumにアクセスできる。Berylliumは、Triple Alphaにおける既存の(チューリング完全である)プログラミング言語Helium(≈BASIC言語)とHydrogen(≈アセンブリ言語)に加わる。
❸ 仏量子H/WスタートアップAlice & Bob(モダリティ:超伝導)と、誤り耐性量子コンピューティング・ソフトウェアの開発とデプロイを合理化するための、戦略的提携を発表した(26年1月19日)[*162]。具体的には、Alice & Bob は、エミュレートされた(量子誤り訂正を実行できる)猫量子ビット・システムを、Horizon QuantumのTriple Alpha 開発環境を通じてデプロイできるようにする。
➍ イスラエルのQuantum Machinesとの戦略的提携を発表(26年7月29日)[*231]。Quantum Machinesの量子制御用オーケストレーション・プラットフォームとエンジニアリングの専門知識を活用し、Horizonの(ハードウェア・テストベッド・システムである)モジュール型超伝導量子コンピューター「Ember-1」向け組み込み型キャリブレーション技術を開発する。
(3) インド
1⃣ 「富士通10万ドル量子シミュレータ・チャレンジ」にてQkrishi Quantum PrivateとBloq Quantumが『クレカ不正使用検知に対する量子カーネル法』で第3位を獲得[*28]。
👉 Bloq Quantumは、「ユーザーフレンドリーなローコード・インターフェイスにより、量子コンピューティングの導入を簡素化する」ことをミッションとしているらしい。またプレシード・ラウンドで、1300万インドルピー(およそ15万ドル)を調達した(24年8月)[*65]。
2⃣ 先端コンピューティング開発センター(C-DAC)🍛
❶ 印の電子情報技術省(MeitY)傘下のC-DACは、フィンランドQuantroloxと基本合意書を締結したことを発表(25年9月3日)[*129]。印における量子コンピューティング・エコシステムの構築が目的。具体的には、印独自の量子ソフトウェア・スタックの共同開発、様々な量子コンピューティング・プラットフォーム向けのチューニングおよび特性評価ツール開発に重点を置く。
❷ 蘭Quantware(H/Wベンダー:超伝導)と基本合意書を締結したことを発表(25年9月15日)[*133]。(インド)国産の極低温エレクトロニクス及び超伝導量子ハードウェア(プロセッサ)の開発が目的。
🍛 IT及びエレクトロニクス関連分野の研究開発を行う研究開発機関で守備範囲は広い。印における半導体設計エコシステムを育成することも使命とされている。また、米国の量子コンピューター開発スタートアップであるリゲッティ・コンピューティングとも基本合意書を締結している(25年9月2日)[*130]。量子古典ハイブリッド・コンピューティング・システムの共同開発を目的とする。
3⃣ QπAI
下表も参照。AIと量子コンピューティングの融合を先導する企業を自称する。
量子誤り訂正(QEC)における「復号プラットフォーム」を開発し、約1.5μ秒で復号できると発表した(26年3月25日)[*186]。セットアップは、「超伝導方式量子ビット数64のQPU、符号距離5の回転表面符号🍛1、復号アルゴリズムはUnion-Find🍛2」。測定誤差を訂正するため、QECサイクルあたり、5回のスタビライザー測定(シンドローム抽出)を行う。
🍛1 ザックり説明すると、非回転表面符号(平面表面符号)に比べて、ハードウェア効率が良い表面符号。つまり、QECに必要な物理量子ビット数が少なくて済む。
🍛2 復号時間が量子ビット数の多項式時間であるMWPMアルゴリズムに比べて、Union-Findは量子ビット数の線形時間で済むので、復号が速い。シンドローム頂点の集合が持つ特徴的なデータ構造(Union-Find)を利用するため、高速な探索が可能(=復号が速い)とされる。シンドローム頂点とは、シンドローム測定値が非零の量子ビット(の位置)である。QEC界隈の最重要企業である英リバーレーンの復号アルゴリズムもUnion-Findである(実際には、Union-Findの改良アルゴリズム)。
(4) 豪州
1⃣ Q-CTRL
❶ 英国の中小企業研究イニシアチブ(SBRI)量子触媒ファンド・コンペティションの優勝者として、£1milを獲得した(24年2月5日)[*34]。列車スケジュールにおける量子最適化ソリューションを探索し、英運輸省に提供する。当該ソリューションは、英オックスフォード・クォンタム・サーキット(モダリティ:超伝導方式)のハードウェア上で検証される(予定)。
❑更新❑ Q-CTRLは、列車スケジュールにおける量子最適化ソリューションを探索した結果、「鉄道運行計画🦘1の作成が、特に影響力の大きいユースケースであると特定した」と発表(日付は不明?)[*111]。該社製品Fire Opalの量子誤り抑制技術により、量子コンピューターで解ける「鉄道運行計画作成の規模が、6倍に拡大する」と主張。量子ビット数の増加傾向(具体的には、IBMのロードマップ)を鑑みると、28年には、従来手法(古典的手法)を超えるインパクトを与えられる、と予測している。つまり、「実質的な」量子優位性が28年に実現する、と主張する。
🦘1 鉄道運行計画の主要要素は、駅間経路作成と列車ダイヤ作成である。どちらも、数理的には、最大充足可能性問題(MaxSAT)と呼ばれる最適化問題に変換され(て解かれ)る。
❷ 「ゲート方式量子コンピュータが、離散最適化問題で、量子アニーラよりも優れた性能を発揮した例を初めて示した」論文を発表した(24年6月3日)。詳しくは、こちら。
❸ 該社パフォーマンス管理ソフトウェアFire Opalが、4つの量子コンピューティング・プラットフォームに、ネイティブに統合されることを発表(24年9月10日)[*68]⇒Fire Opalネットワーク。4つ=IBM、米Rigetti、英オックスフォード・クォンタム・サーキッツ、豪Diraq。前3社のモダリティは超伝導。
✚ QCentroidが、Fire Opalネットワークに加わったと発表(24年9月24日)[*72]。QCentroidは、Quantum as a Serviceプラットフォーム提供企業。
➍ ネットワークの異常検出タスクにおいて、従来ソルバーに比べて成功率を3倍にした、と発表(24年12月10日)[*88]。ネットワークの異常検出タスクは、最大カット問題という最適化問題に置き換えられる。セットアップは、Q-CTRLの量子誤り抑制ソフトウェアFire Opalと米IonQのH/W(AWS経由のアクセス)。ボリュームは90分間にネットワーク・パケット180万以上。
❺ 米NVIDIAおよび英Oxford Quantum Circuits(H/W:超伝導)と提携し、NVIDIA GPUと高速ライブラリを活用することで、量子誤り抑制タスクの計算コストを、1/50万に削減できることを実証した、と発表(25年3月20日)[*102]。量子回路を最適化すると忠実度が10倍以上向上する(らしい)。しかし、この最適化計算のコストは量子ビット数に対して指数関数的に増加する。GPUを使った並列計算で、計算コストを劇的に下げたという話。
❻ リソース・オーバーヘッドが大きな量子誤り訂正を使わずに、量子計算の忠実度を高められることを実証した[*112]。仕組み自体はオーソドックスである。補助量子ビットを、量子誤り検出用フラグを立てる量子ビットとして使い、フラグ付量子ビットは破棄するという仕組み。「使用する補助量子ビットが少なく、破棄率も低い」プロトコルを開発・実証した、という論文。長距離CNOTゲート実装並びにGHZ状態準備を、対象として、実証した。
❼ 英Oxford Quantum Circuits🦘2、米NVIDIAとともに、量子回路のコンパイルを約600倍高速化するアルゴリズムを開発した、と発表@arXiv[*132](25年9月1日=ver2)。数学的に言うと、部分グラフ同型性判定アルゴリズムを高速化した。なお、部分グラフ同型性判定は、NP完全問題である。従来、部分グラフ同型性判定アルゴリズムとして使われてきた「バックトラッキング探索を用いたアルゴリズム」🦘3は、並列化が困難であった(のでGPUの恩恵を預かれなかった)。
新しく開発したアルゴリズムΔ-Motifは、驚くべきことに『サブグラフ同型性を、データベース・プリミティブに変換』する。言葉を替えると、Δ-Motifでは、グラフを小さな構成要素(モチーフ)に分解し、(リレーショナル)データベースにおけるデータ操作アルゴリズムを使って、部分グラフ同型性判定を行う。NVIDIA RAPIDS🦘4(及びpandas🦘5)を使用してデータ操作することで、部分グラフ同型性判定を大幅に並列化できた。
🦘2 量子コンピューター開発スタートアップ。モダリティは、超伝導(トランズモン)。
🦘3 代表的には、VF2アルゴリズムが知られている。VF2アルゴリズムの計算量はO(n!)。nは、グラフのノード数。ただし、高度な枝刈りや前処理が組み込まれているため、実際には、十分高速と認識されている。
🦘4 大規模データの高速操作を(も)可能とするオープンソース・ライブラリ。
🦘5 表形式データを効率的に操作できるオープンソース・ライブラリ。
❽ Fire Opalの最適化ソルバーを米IonQ(モダリティ:トラップイオン)の量子プロセッサ(IonQ Quantum Cloud)にネイティブ統合したと発表(26年4月23日)[*192]。
❾ 米・シンガポールAnyon Technologiesと提携し、データセンターへの量子プロセッサ導入において、「起動、キャリブレーション、メンテナンス」の自動化を実現すると発表(26年6月2日)[*208]。
2⃣ Iceberg Quantum
❶ プレシードラウンドでA$2mil(US$1.26mil)を調達した、と発表(25年3月24日)[*104]。Iceberg Quantumは2025年設立で、「量子アーキテクチャ企業」を名乗っている。具体的には、量子低密度パリティ検査(qLDPC)符号を開発するらしい。Psi Quantum(モダリティ:光)とパートナーシップ契約を締結している。
❷ 英オックスフォード・イオニクスとパートナーシップ契約を締結したことを発表(25年7月17日)[*118]。オックスフォード・イオニクスは米IonQにより買収されている(25年6月)。
❸ シードラウンドで$6milを調達した、と発表(26年2月13日)[*169]。該社には、Pinnacleと名付けられた、独自の誤り耐性量子コンピューティング・アーキテクチャがある。Pinnacleは、量子誤り訂正符号として量子低密度パリティ検査(qLDPC)符号を使い、高忠実度の魔法状態蒸留工場に、特色を持つ(らしい)。
➍ RSA2048を解読するために要する物理量子ビット数は、10万で可能と主張する論文[*170](@arXiv、26年2月12日)を発表。物理誤り率は、(控えめで、現時点で達成可能な)10-3を前提としている。
(5) 中国
1⃣ 米NASDAQ上場企業であるWiMi Hologram Cloudは、マルチ・チャネル・データを処理できる量子古典ハイブリッド畳み込みニューラルネットワークのリリースを発表した(26年1月5日)[*157]。浅い量子回路で量子畳み込みを実現したとする。具体的には、{1量子ビット回転ゲート、パラメータ付き制御ゲート、インターリーブ(交互に配置)されたSWAPゲート、弱いエンタングルメント層、データ・チャネル間に相互作用をもたらす量子ゲート}、で量子回路を構成する。ノイズに対する堅牢性を維持しながら、複雑な関数を表現できる、と主張。つまり、より優れた量子特徴量を抽出できる、と主張する。
なお元々、WiMiは拡張現実(AR)技術を開発する企業。
2⃣ 中国メディアは、中国の量子H/Wスタートアップ本源量子(Origin Quantum Computing Technology、モダリティ:超伝導)が、量子コンピュータOS「Origin Pilot」をダウンロード可能にしたと発表した(26年2月25日)[*178]。モダリティは、「超伝導量子ビット、トラップイオン、中性原子」をカバーしているらしい。量子タスクの並列実行と自動量子ビット・キャリブレーション機能を備えているため、量子リソース効率を飛躍的に向上させることができる、と主張。
繰り込み群は、元々場の量子論から発生した概念である。ウィルソンによって物性物理において導入された後、物理学の幅広い分野において、階層構造を説明する重要な概念となった。高エネルギー領域からスタートし、低エネルギー領域の物理を記述する”有効モデル”を導くことが、繰り込み群の行動指針である。
ここで、数学的な定義を行う。「粗視化」と「スケール変換」という二つの操作を、繰り込み変換という。繰り込み変換の成す群(正確には、半群)を、繰り込み群という。尚、ややこしいことに、繰り込み群(RG)には、摂動論におけるRGと非摂動論におけるRGがある。さらに、ややこしいことに、後者の呼び名は様々である:ウィルソン繰り込み群、非摂動繰り込み群、厳密繰り込み群、実空間繰り込み群、そして汎関数繰り込み群。
繰り込み群は「粗視化」を行うことで、低エネルギー領域の有効モデルを得るのであった。粗視化の過程における有効作用の変化は、汎関数微分方程式で記述される。この汎関数微分方程式は、繰り込み群方程式と呼ばれる。繰り込み群方程式の定式化は、3種類が知られている:Wegner-Houghton方程式、Polchinski方程式、そしてWetterich方程式である。前2者は、有効作用にウィルソン有効作用を用いる。一方、Wetterich方程式は、ルジャンドル有効作用(平均有効作用)を用いる。無限小生成子のルジャンドル変換によって作られるためルジャンドル有効作用と呼ばれる。低エネルギー領域では、二つの有効作用は、ニアリーイコールである。
繰り込み群方程式は汎関数微分方程式であるから、そのままでは厳密に解けない。そこで、まずテイラー展開を行って、無限個の結合した方程式「フロー方程式」の形に変換する。その後で、truncationを行って有限個の方程式に縮小させる。(繰り込み群方程式の文脈で言う)truncationとは、a)有効ポテンシャルを低次で打ち切る、b)高次の頂点関数を無視する、c)頂点関数の運動量依存性を無視する、等を一括りにした近似である。フロー方程式を偏微分方程式系ではなく、常微分方程式系に帰着させることを考えると、Wetterich方程式を繰り込み群方程式の定式化として用いると楽である。汎関数繰り込み群は、1993年Wetterichによって導入された解析手法であり、Wetterich方程式を出発点にする。
ここでも、若干ややこしいが、繰り込み群方程式をフロー方程式と呼ぶこともある。テイラー展開した結果をフロー方程式と呼ぶほうが、混乱を避けられるだろう。
冒頭の話題に戻る。ハバードモデルとは、強相関電子系を記述するミニマムモデルである。具体的には、①フェルミ準位近傍(=低エネルギー)にあるd軌道(バンド)のみを取り出して、他のバンドを無視した上で、②本来は長距離である電子間のクーロン相互作用を、短距離に制限して加えた、有効模型である。強相関電子系では、電子間のクーロン斥力が重要であり、最も強く効きそうな最短距離での反発力のみを考慮しているから、ミニマムモデルである。強相関電子系でも、f電子を扱う場合は、周期(的)アンダーソンモデル(アンダーソン格子モデルとも言う)を用いる。不純物模型=アンダーソンモデルにおいて、f電子を周期的に配置した模型が、周期(的)アンダーソンモデルである。
もっともt-t'ハバードモデルは、正確には最近接格子に加えて、第二近接格子からの相互作用も考慮したハバードモデルである。このt-t'ハバードモデルにFRGを適用し、適当なtruncationを施すと、有限個のフロー方程式(常微分方程式系)が得られる。
先にあげた論文[*A-2]は、精度を犠牲にしないt-t'ハバードモデルでは、10万個ほどのフロー方程式が必要と考えられていたが、それを4つに激減したという衝撃的な結果を示した。別の意味で10万個も衝撃的であるが、頂点関数の運動量依存性をフルに取り込むと、計算量が10億倍から1兆倍程度増えるという。10万個でも十分マイルドな動的近似である。今後、このNNでフロー方程式の数を減らすというアプローチが、相互作用を長距離にしても成立するかにチャレンジするようである。
10万が4つに激減したことの、物理的な意味付けは、どのようなものだろうか?・・・AIは、その問題提起まで可能であろう。遠くない将来という時間軸では、物理的な意味まで答えることは、さすがに難しいだろう。
(1) 気候モデリングと天気予報
①課題・・・シミュレーションと予測モデルの複雑さと解像度の増大に、計算ニーズを合致させる。
②QCの利点・・・シミュレーションベースで流体力学を解決するより大きな機能は、モデルの改善を促進し、予想される将来の条件をより明確に理解し、緩和と適応計画を改善することができる。
(2) グリッドの安全性と回復力
①課題・・・未来の発電設備が堅牢で信頼できることを確実にする。
②QCの利点・・・気象モデルと気候モデルの強化により、インフラストラクチャをより安全に配置できる。また、風力発電所などの新しい発電施設の設計を改善するために量子最適化を適用できる。
(3) グリッド管理
①課題・・・需要と供給が一致するように、リソースをスケジュールして、ディスパッチ(給電指令による各発電所の出力制御)を実施する。特に、風力発電と太陽光発電等の再生エネルギー由来の配電が増加するにつれて、重要になっている。
②QCの利点・・・量子最適化は、費用対効果の高い管理ソリューションの作成に役立つ。また、運転条件を改善する(例えば、交流の最適潮流計算問題を解く)ことにより、消費者価格を下げることができる。
‖参 考:グリッド管理への量子アルゴリズム適用事例‖
❚事前整理❚
グリッド管理は、混合整数計画問題(MIP)として定式化される。形式の上では、基数制約(カーディナリティ制約)を課したポートフォリオ最適化と同じである。MIPに対する古典アルゴリズムの第1選択肢は、通常、分枝限定法(ブランチ・バウンド・アプローチ)である。MIPに対する量子アルゴリズムは、計算ステップ数に対して、2次加速を実現できると信じられている。しかし、遅い量子クロック速度をカバーした上で『計算時間で2次加速を実現できるか?』は未解決。加えて、入力(量子状態準備)・出力(読み出し)におけるオーバーヘッド問題も未解決。つまり、エンドツーエンドで量子加速が得られるかは未解決。
❚事 例❚
㊀ 独でQugridsプロジェクト(23年11月1日~)が立ち上がった[*A-15]。再生可能エネルギーの供給を完全にサポートできるように(ディスパッチ)することが目的。ユーリッヒ研究センター、アーヘン工科大学、フラウンホーファー応用情報技術研究所、ミュンスター大学が参加し、ノルトライン=ヴェストファーレン州文化科学省から€3milの資金援助を受ける。
㊁ 英では、リバーレーン(S/W)が主導するエネルギー・グリッド最適化プロジェクトが行われている(フェーズ1:23年10月~12月、フェーズ2:24年1月~)。フェーズ2の契約金額は、£1.2mil。[*35]及び[*36]参照
㊂ 米では、「量子技術が、エネルギー・グリッド近代化に、どのように使用できるか?」を調査するため、オークリッジ国立研究所とIonQ(H/W:トラップイオン)が協力することが発表された(24年4月16日)[*A-20]。ここで言う近代化とは、主に、最適化とセキュリティの強化を指している。
👉 ハイブリッド量子古典コンピューティング・アプローチが、発電機起動停止計画問題(Unit Commitment Problem:UCP)に対処できることを実証した、と発表(25年7月31日)[*A-23]。UCPとは、「時間帯ごとに与えられた電力需要を満たすように、各設備の起動停止スケジュール及び出力を求めるスケジューリング問題」である。UCPはNP完全であり、解法として、「動的計画法、分枝限定法、ラグランジュ緩和法、メタヒューリスティックス」などが適用されている。再生可能エネルギー源の系統接続が進むにつれ、「従来の計算手法では効率的なスケーリングが困難になっている」とされる。今回、「24の時間帯と26の発電機にわたる発電スケジュールに関して、様々なソリューションを発見した」とする。
㊃ 西では、マルチバース(S/W)が、電力網上のバッテリー配置最適化において、量子アルゴリズム・量子インスパイアード・アルゴリズムの優位性を確認したと発表(24年7月11日)[*59(再)]。
㊄ 日本では、グリッド(S/W)と電気通信大学が共同で、グリッド最適化プロジェクトに挑む(24年9月10日[*A-21])。初期仮説検証フェーズの実施期間は2024年7月〜2025年10月で、ステージゲートを通過した場合、1.5年の本格研究フェーズに進む。量子生成モデルでシナリオを大量に(100万通り以上)作り、QAOAアルゴリズムで最適化計算を行う。
㊅ 米インフレクション(旧ColdQuanta、H/W:中性原子)は、量子アルゴリズムを活用することで「グリッド管理の精度と速度を高め、運用コストを削減する」ことを目指すプロジェクトで、US$6.2milを獲得した(25年3月13日)[*A-22]。米エネルギー省のARPA-E(Advanced Research Projects Agency-Energy)が資金を拠出する。米アルゴンヌ国立研究所・米電力研究所(EPRI)・米国立再生可能エネルギー研究所🦅と協力する。
🦅 25年12月1日付けで、国立ロッキーズ研究所に改名。トランプが再生可能という言葉を嫌った、とされる。
(4) 量子化学
①課題・・・テクノロジーの革新を促進するために、膨大な材料の配列に対する分子スケールの特性とプロセスを評価する。
②QCの利点・・・量子コンピューティングは、新エネルギー生産(太陽光電池)、ストレージ(バッテリー)技術の発見と開発を加速し、(例えば、炭素回収で)気候変動緩和のための戦略を改善することができる。
【気象・気候分野2】[*A-9]
マッキンゼーのイノベーション部門シニアエキスパートであるフィリップ・エルンスト(註:現在は量子光方式量子コンピュータ・スタートアップ、米Psi Quantumの事業開発責任者)[*A-10]とマッキンゼー・デュッセルドルフのパートナーであるニコ・モアは、量子コンピュータが地球温暖化に貢献できると主張する。具体的には、以下5つのリューションによって「2035年までに、7ギガトンの二酸化炭素排出量を削減することができる。そして、それは、1.5℃の気温上昇を維持するのに貢献することができる」、と主張する。5は、相当怪しい。
(1) 太陽電池
①課題・・・既存の太陽電池は、コストが高く、変換効率も低い(高めたい)。
②QCの利点・・・低コストのペロブスカイト太陽電池は、変換効率が低い。量子コンピュータを使うことで、ペロブスカイト太陽電池の変換効率を、理論限界である40%にまで高めることができる(フィリップ・エルンスト)。
|補 遺|
米オークリッジ国立研究所(ORNL)は、一重項励起子分裂(英語では、Singlet Fission🍞)を示す効果的な量子シミュレーション方法を考案した[*A-12]と発表した(23年7月28日)[*A-13]。一重項励起子分裂(以下、SF)は、特定の有機分子集合体で生じる、一重項励起子から2 つの三重項励起子が生じる特殊な超高速過程である。励起子増幅過程をうまく応用することで、高効率光電変換セルなどが達成できると提案されている[*A-14]。ORNLの動機も太陽電池の変換効率向上である。
🍞 科学の世界では、Fissionは核分裂を意味することが多いが、ここでは異なる。
❚参考❚
九州大学の研究者が、「キラルな自己組織化が、一重項励起子分裂の効率化につながることを明らかにした」(24年10月9日)[*77]。
(2) グリーン水素及びグリーン・アンモニア
①課題・・・グリーン水素及びグリーン・アンモニアは、製造コストが高い。
②QCの利点・・・量子コンピュータで製造方法を最適化することにより、プロセスを大幅に効率化し、排出ガス以下のコストに抑えることができる。
(3) 二次電池
①課題・・・電池内部の物理及び化学を正確にモデリングできないため、容量増加等の機能向上が難しい(膨大な時間がかかる)。
②QCの利点・・・量子コンピュータを使うと詳細なモデリングを行うことができるため、電池内部の化学反応をより詳細に理解することができる。より詳細な理解は、化学的なブレークスルーを通じて、エネルギー密度を高め、バッテリーで貨物自動車を駆動させ、輸送による排出を削減し、電力網で再生可能エネルギーをサポートすることができるようになる。
(4) 低炭素セメント
①課題・・・セメントは製造時に大量のCO2を排出する。セメントの主原料である石灰石は焼成する際に熱分解し、全体の60%に相当するCO2を排出する。残りの40%は、クリンカの焼成や粉砕に使われるエネルギーに由来する。
②QCの利点・・・低炭素セメントの材料製造のシミュレーションを行うことで、膨大な量の排出源を解決することができる。また、試行錯誤ではなく、正確なモデリングによって、炭素回収のクラッキングが可能になる可能性がある。
(5) メタン
①課題・・・牛のげっぷが主要源であるメタンは、強い温室効果を持つ。100年間で比較したときの温暖化係数で28倍、20年間では約84倍の効果をもつ[*A-11]。
②QCの利点・・・牛から排出されるメタンをワクチンで減らすことができるという研究結果がある。量子コンピューターがあれば、このワクチンに最適な分子を、解明することができるかもしれない。
‖参考‖ 二酸化炭素の分離・回収
PsiQuantumと三菱UFJフィナンシャル・グループは三菱化学グループと共同で、フォトクロミック分子の励起状態をシミュレートする共同プロジェクトを開始すると発表した(24年1月25日)[*A-16]。特に、ジアリールエテンに焦点を当て、励起状態特性の高精度推定が、初期世代の誤り耐性量子コンピューターで実現可能かどうかを判断する。
墺インスブルック大学の研究者は、量子コンピュータの規模拡張性問題を解決する新しい手法を提案した(22年10月27日)。(米物理学会発行の)フィジカルレビューA(及びレビューレターズ)にて発表[*A-5]された論文に基づいて、内容をまとめた。
量子CPU(QPU)はメモリと計算ユニットとして同時に機能するため、チップ上の任意のqubit間の接続が必要となる。ゲート方式量子コンピューターでは、この「任意のqubit間の接続(≒qubitの全接続)」が、規模拡張性を制限している。物理的に接続する場合(代表的には超伝導方式)、高密度配線が必要であるから、コスト的・エンジニアリング的に負荷が高い。加えて、配線自体ノイズ源となる。そして量子情報は、SWAP操作を介してチップ上=qubit間、を移動していく。これは、大きなオーバーヘッドである。
提案された手法とは、量子アニーリング用に設計されたLechner-Hauke-Zoller(LHZ)アーキテクチャに基づいた「パリティベースの量子計算」である。つまり、量子インスパイアード技術とも考えられる。パリティベースの量子計算では、各物理qubitは、複数の論理qubitのパリティを表す。このため、パリティベース量子計算のアーキテクチャでは、物理qubitをパリティqubitと呼称している。パリティベース量子計算では、最近隣qubit間の相互作用のみが必要で、SWAPゲートが不要になる。トポロジカル表面符号が、最近隣のqubitのパリティ・チェック(シンドローム測定)のみで、誤りを判別できることのアナロジーと考えれば、腹に落ち易いかもしれない。
(2)①パリティ・マッピング、②ゲート・シーケンス
①パリティベース量子計算では、n 個の論理qubitのヒルベルト空間を、K=n(n-1)/2個のパリティqubitのヒルベルト空間に拡張し、論理qubitペアのパリティを符号化する。n個の全結合論理qubitは、K=n(n+1)/2 個のパリティqubitと、K −n個のパリティ制約で表される。パリティ制約は、符号空間のスタビライザーを生成する。ゆえにパリティ制約は、ビット反転エラーの検出が使用することが可能である。
②パリティベース量子計算では、ゲート・シーケンスも当然変わる。例えば、Rzはそのままだが、Rxは1量子ゲート操作に加えてCNOTゲート操作が必要になる。これは、デメリットになりそうだが、そうてはないという。CZシーケンスが、並列化した1量子ゲート操作3回で事足りるからである。つまり量子フーリエ変換(QFT)計算が軽くなる。故に、量子位相推定、HHLアルゴリズム、さらにショアのアルゴリズムを実行する場合に有利であると主張している。
(3)量子誤り訂正
トポロジカル表面符号を使うスタイルとは、異なる。猫符号によるボソニック符号で量子誤り訂正を実施する、仏Alice&Bobのスタイルと似ている。Alice&Bobは、2階建て方式である。そもそもビット反転エラーが抑制されるようにして、位相反転エラーのみを訂正する。そして魔法状態蒸留が不要なため、計算リソース効率が高い。パリティベース量子計算では、位相反転エラーに対してロバストな「物理」qubitを使うという建付けにする(実際、どうするかは不明)。ビット反転エラーは、スタビライザを生成するパリティ制約を測定することで判別するが、一度に複数のエラーを修正することができるため、効率的ということらしい。魔法状態蒸留も不要と思われる(全操作は、単体回転操作とCNOT操作で行い、Tゲートは使用しないため)。
(4)パリティベース量子計算のまとめ
メリット・・・高密度の配線不要。SWAPゲート不要。QFT計算が軽い。複数のビット反転エラーの同時訂正可能。魔法状態蒸留は不要(そもそも魔法状態が不要)。測定型量子計算に必要なリソース状態を容易に準備できる。
デメリット・・・パリティベースでない場合に比べて、初期状態の準備に手間を要する(ただし、過大な手間ではないと思われる)。
不明点・・・位相反転エラーに対するロバストな物理qubitを用意できるのか。一般に頻出するのは位相反転エラーなので、その対処法は重要であろう。
米シカゴ大学のロバート・ランド准教授は、空軍科学研究所から、3年間で45万ドルの助成金を受けた[*A-6]。その対象は、量子プログラムを表現するためのグラフィカルなシステムであるZX-calculus(ZX計算)の形式的検証に関する研究である。形式的検証とは、あるアルゴリズムが意図したとおりに間違いなく実行されることを数学的に証明するプロセスである。量子コンピューティングのソフトウェア開発者は、すでにPythonベースのZX計算ツールであるPyZXを使っているが、このツールの有効性に、数学的証明は行われていない。
(1) ZX図とZX計算[*A-7]
ZX計算を説明する前に、ZX-diagram(ZX図)を説明する。ZX-図は、量子回路をグラフィカルに表現したもので、テンソルネットワークの一種である。ZX-図は、量子回路ではなく、任意の線形写像を表現することができ、有用な書き換え規則が備わっている。これらの書き換え規則を総称してZX計算と呼ぶ。
(2) ZX計算の利点
先に述べた「書き換え」を上手く行うことで、量子回路の最適化を行えることが、ZX計算の(最大の)利点である。つまり一言で言えば、ZX計算ツールは、量子計算の最適化を支援することができる(そして、それは計算規模の拡大につながる)。
さらには、測定型量子計算や格子手術(表面符号で保護された論理量子ビットを用いて、量子計算を行う枠組み)のような非ユニタリー計算モデルについても、扱うことが可能である。
(3) VyZX
ランド准教授は、既に、定理証明支援系(Coq)で証明可能なZX計算ツール、VyZXを開発している[*A-8]。LEAN(別の定理証明支援系)とCoqに、ZX計算の基礎となる圏論的量子力学とを結びつける形式化した証明を追加する予定。そうすることで、「より信頼性が高く、エレガントで、効率的な量子ソフトウェアを書くことを可能にする検証済み最適化が実現できる」とランド准教授は考えている。
コンピューティング・コミュニティ・コンソーシアム(CCC)は2018年11月に、量子コンピューティングに関するレポート[*A-17]を発表した。それから5年が経過したため、同レポートは、2023年5月にアップデートされ、24年1月に新レポート[*A-18]が公開された。
CCCは、米国国立科学財団(NSF)が、2006年9月、コンピューティング研究協会(CRA)に設立を発注した組織である。CCCは、「(コンピューティング分野における)潜在的に大きな機会の特定、優先事項の設定、そしてコンピューティング分野の大きな課題の設定を念頭に設計されるビジョニング活動をサポートする」ことを目的に設立された[*A-19]。
(1) 構成
[*A-18]の構成(目次)は、1緒言、2アプリケーションとアルゴリズム、3誤り耐性と誤り緩和、4ハイブリッド量子古典システム、5ツールとプログラミング言語、6結言、である。
2は方針を示している(に過ぎない)。3では、誤り訂正について現在地を知らせる内容となっている。タイトルとは対照的に誤り緩和について、特に技術的な情報はない(誤り訂正と組み合わせることの意義などは有り)。LDPC(低密度パリティ検査)符号や、消失量子誤り訂正符号、について言及がある(詳しくは、触れていない)。
4では、様々なトピックスが議論されているが、「古典的処理に指数関数的な投資をしても、全体コストが下がるのならば、不毛な台地は問題にならないのでは」という”開き直り”は、斬新な感じ。また、量子誤り訂正符号の復号に関して、注意喚起しているところも、5年間の進歩を感じさせる。
(2) ツールとプログラミング言語
本稿では、 5ツールとプログラミング言語に焦点を当てたい。いくつかのトピックスが議論されている(例えば、5.1は、高級言語の必要性というタイトルであり、誤り耐性量子コンピューター向けの言語のみならず、NISQ用の言語も必要である、と主張されている)が、以下の3点について、主張を整理した。
1⃣ マルチレベル量子中間表現(Intermediate Representation:IR)
5.2では、マルチレベルIRが、量子プログラミング言語のコンパイラ(トランスパイラ)でも必要である、と主張されている。そして、マルチレベル量子IR(MLQIR)を活用するための設計哲学が紹介されている。
㊀ 表現力・・・まず、表現力が重要である。IR は、冗長な行列を明示的に記述する必要なく、量子コンピューティング用の大規模な計算ブロックを、効率的に符号化できなければならない。
㊁ 柔軟性・・・IR は汎用性があり、あらゆる量子プログラムをサポートでき、表現できる計算の種類に柔軟性を持たせる必要がある。
㊂ シームレスなコンパイルを容易にするために、高レベルの IR から低レベルの IR への簡単な低レベル化(lowering)プロセスが必要である。
そして、古典的なコンパイラ・フレームワークであるLLVM(Low Level Virtual Machine)の成功を再現することを期待している。LLVMの成功は、学術開発と産業開発の間の相互協力と整理されており、「MLQIRフレームワークは研究を同様にサポートし、産業用途向けに強化されたフォークまたはブランチ(※)を持たなければならない」と主張している。
※ ソフトウェア開発における「フォーク」とは、あるプロジェクトの成果やソフトウェア・パッケージのソースコードから分岐して、別の独立したプロジェクトやソフトウェアを開発することを指す。ブランチは、フォークの1種で、「バグ修正版と、新機能開発版とを分けて開発する」ことを指す。
2⃣ 検証
量子コンパイラとツールは、量子プログラムにバグを引き起こす可能性があるとして、バグ回避に形式的検証の実施を提案している。
証明支援系から SMT(Satisfiable Modulo Theories)ソルバー([*A-17]では、背景理論付きSATと訳されている)までのツールを使用して、プログラムが特定の仕様に一致することを数学的に(形式化数学に基づいて)証明できる。これを、形式的検証と呼んでいる。
さらに、「現状、量子コンピューティングに形式的検証を適用するアプローチは、主に、回路レベルのツールに焦点を当てている」が、他にも重要な検証対象があると問題提起する。それは、量子パルスを制御する制御ソフトウェアである。当該制御システムは、量子デバイスごとにゼロから設計される傾向があり、バグ、特に同時実行性のバグが頻繁に発生する(ので、検証はより重要である)。
3⃣ ツール設計の重要原則
量子コンピューティングの分野に利益をもたらすための長期使用可能なツールの設計を導くための、重要な原則が提示されている。
❶ 階層的多粒度
階層的な多粒度とは、量子コンピューティング・システムのさまざまなレベルの抽象化をモデル化し、シミュレートする機能を指す。たとえば、より低い粒度レベルでは、量子ビット エンジニアリングをガイドするために電子設計自動化(EDA)ツールが必要になる場合がある。より高い粒度では、(シミュレーション)ツールは、ハードウェアの結合グラフとノイズ モデルを考慮して、量子回路全体のハードウェアへのマッピングと実行をモデル化できる必要がある。
❷ モジュール性
モジュール性とは、さまざまな量子ハードウェアおよびテクノロジ間でコンポーネントを再利用できる性質を指している。 現状の量子コンピューティングは、さまざまな符号化(例: qubit、qudit、qumodeなど)、モダリティ(例: 超伝導、イオントラップ、中性原子)、プログラミング・パラダイム (例: ゲートベース、測定ベース)を含む多様なハードウェア・タイプによって特徴付けられる。この多様性により、この幅広い可能性に対応して最適化できる、モジュール式で柔軟なシミュレーション ツールの開発が必要となる。モジュール性は、量子コンピューティングを実用化に向けて前進させるために不可欠である。
【尾 注】
*0 矢のパートナー、弓に張る弦のストレージである弦巻を意味している。弦巻は、箙に隣接している。
*1 ①量子アニーリング法とQAOA(近似的量子最適化アルゴリズム)とで、ポートフォリオ最適化の比較をBBVA(ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行)と共同で行ったところ、QAOAが勝ったと報告している。BBVAはスペインの大手商業銀行で、競合他社と比べて、量子技術への関心は高い。②自動車部品メーカー最大手である独ボッシュの工場で、量子ベースの最適化アルゴリズムを実装し、エネルギー管理・廃棄物管理を含む、全体効率を向上させるPoC(Proof of Concept)を22年7月に終了させたと発表。③自動車部品の良品・不良品を画像判別するケースで、量子アルゴリズムが古典アルゴリズムを上回ったと発表(22年8月9日)。量子アルゴリズムは、量子サポートベクターマシン(QSVM)とQBoost。比較対象とした古典アルゴリズムは、サポートベクターマシンとAdaBoost。指標は適合率(Precision)、再現率(Recall)、F1スコア。スペインIKERLANとの共同研究。なお、QSVMはIBMのNISQマシンを、QBoostはD-Waveのマシンを使用。参照:https://arxiv.org/pdf/2208.04988.pdf ④フィンランドの量子コンピュータ・ベンダーIQMと「金融、エネルギー、化学、物流における量子ベース・アプリケーション向けの統合ソリューションを開発する」ためにパートナーシップを締結したことを発表(22年8月18日)。⑤総合化学メーカーBASF(独)の外国為替取引最適化プロジェクトのパートナーに選ばれたと発表(22年8月23日)。
⑥ルノーが主導するスペインの自動車産業コンソーシアムに参加すると発表(22年9月6日)。⑦投資資産数の上限制約(基数制約,Cardinality Constraint)を課した、(インデックス追従)ポートフォリオ最適化問題を量子アニーラで解くハイブリッド量子古典的アプローチを開発したと発表した(22年8月24日)[参照:https://arxiv.org/abs/2208.11380]。インデックスは、Nasdaq100とS&P500である。Nasdaq100は、従来の1/4の株式数で、S&P500は従来の1/10で、同じリターンを得られたとする。⑧加モントリオールに拠点を置く人工知能研究機関Milaと量子機械学習分野でパートナーシップを開始(22年10月25日)。対象セクターは、バイオテクノロジーと製薬からスタートする。⑨印テック・マヒンドラ(DXやビジネス・エンジニアリング・サービスのプロバイダー)と「最先端の量子コンピューティング・ソフトウェアを、テック・マヒンドラの顧客に提供する」ため、パートナーシップを締結したと発表(23年8月8日)。
*2 https://www.nature.com/articles/s42256-022-00509-0
*3 Observing ground-state properties of the Fermi-Hubbard model using a scalable algorithm on a quantum computer https://www.nature.com/articles/s41467-022-33335-4
*4 https://parityqc.com/universal-parity-quantum-computing
*5 Qubitization of Arbitrary Basis Quantum Chemistry Leveraging Sparsity and Low Rank Factorization https://quantum-journal.org/papers/q-2019-12-02-208/
*6 Simulating key properties of lithium-ion batteries with a fault-tolerant quantum computer https://journals.aps.org/pra/abstract/10.1103/PhysRevA.106.032428
*7 Strongly Contracted N-Electron Valence State Perturbation Theory Using Reduced Density Matrices from a Quantum Computer https://arxiv.org/pdf/2210.05702.pdf
*8 Pranav Chandarana et al.、Digitized-Counterdiabatic Quantum Algorithm for Protein Folding、https://arxiv.org/pdf/2212.13511.pdf
*9 arXivにて22年10月公開された論文(Pablo Bermejo et al.、Variational Quantum Continuous Optimization:a Cornerstone of Quantum Mathematical Analysis https://arxiv.org/pdf/2210.03136.pdf)では「NISQで有用な問題を探索した結果、連続変数の関数を最適化するというタスクが見つかった」と主張。該タスクは、有限個で打ち切った場合の級数展開近似誤差を最小化するというタスクに転用できる。近似誤差が最小である級数展開を行えば、積分計算や微分方程式の求解を、単純な計算で実行することが可能となる。なお計算性能は「標準的な古典的計算ソフトに匹敵する」とのこと。量子状態トモグラフィーを適用して、量子ビットのパラメータを推定する点が面白い。
*10 https://www.global.toshiba/jp/company/digitalsolution/news/2023/0612.html
*11 Jonathan Wurtz et al.、Industry applications of neutral-atom quantum computing solving independent set problems、https://arxiv.org/pdf/2205.08500.pdf
*12 https://www.riverlane.com/blog/introducing-the-riverlane-roadmap-three-basic-steps-to-decoder-success
*13 Ben Barber et al.、A real-time, scalable, fast and highly resource efficient decoder for a quantum computer、https://arxiv.org/pdf/2309.05558.pdf
*14 https://co-design.t.u-tokyo.ac.jp/research/quantum-error-correction/
*15 濵村一航、ニューラルネットワークを用いた量子誤り訂正の復号器の開発、https://www.cc.u-tokyo.ac.jp/public/VOL20/No3/15.201805wakate-hamamura.pdf
*16 https://quantinuum.co.jp/n20230914/
*17 ISMAIL YUNUS AKHALWAYA et al.、A MODULAR ENGINE FOR QUANTUM MONTE CARLO INTEGRATION、https://arxiv.org/pdf/2308.06081.pdf
*18 https://terraquantum.swiss/news/hsbc-and-terra-quantum-explore-real-world-applications-of-hybrid-quantum-technologies-in-financial-services
*19 https://terraquantum.swiss/news/terra-quantum-and-cirdan-capital
*20 Nathan Haboury et al.、A supervised hybrid quantum machine learning solution to the emergency escape routing problem、https://arxiv.org/pdf/2307.15682.pdf
*21 Anita Weidinger et al.、Error Mitigation for Quantum Approximate Optimization、https://arxiv.org/pdf/2301.05042.pdf
*22 https://multiversecomputing.com/resources/multiverse-computing-deploys-quantum-technology-to-predict-floods
*23 https://terraquantum.swiss/news/terra-quantum-nvidia-collaborate-to-unlock-unprecedented-business-performance-with-hybrid-quantum-computing
*24 例えば、https://intelligencecommunitynews.com/sandboxaq-unveils-ai-simulation-collaboration-with-nvidia/
*25 https://kipu-quantum.com/kipu-quantum-joins-the-dlr-qci-project-basiq/
*26 https://multiversecomputing.com/resources/multiverse-computing-pioneers-quantum-digital-twin-project-to-boost-green-hydrogen-production
*27 https://www.riverlane.com/press-release/nqcc-rolls-royce-and-riverlane-partner-to-accelerate-materials-discovery
*28 https://www.fujitsu.com/global/about/resources/news/press-releases/2024/0125-01.html
*29 https://kipu-quantum.com/r-cinfo-and-kipu-quantum-design-an-algorithm-for-optimizing-telecommunication-networks-on-quantum-computers/
*30 https://www.riverlane.com/news/riverlane-and-mit-collaborate-for-u-s-department-of-energy-program
*31 ドイツのコンサルティング・ファーム。従業員の90%が、物理学・数学・コンピュータ サイエンス分野(いわゆるSTEM)出身で、50%が博士号を取得している。
*32 https://www.planqc.eu/news/20240129-planqc_and_dfine_remote_access_platform/
*33 https://qci.dlr.de/en/multiverse-computing-and-single-quantum-support-alqu-quantum-sensor-technology/
*34 https://q-ctrl.com/blog/q-ctrl-awarded-ps1-million-funding-in-uk-quantum-catalyst-competition
*35 例えば、https://industrialnews.co.uk/phasecraft-to-develop-quantum-algorithms-to-optimise-energy-grids/
*36 https://www.phasecraft.io/news/phasecraft-quantum-catalyst
*37 https://www.riverlane.com/news/riverlane-and-rigetti-computing-partner-with-oak-ridge-national-laboratory-to-work-to-improve-hpc-quantum-integration
*38 欠番
*39 https://www.riverlane.com/news/rolls-royce-riverlane-and-xanadu-partner-to-win-canada-uk-quantum-computing-bid
*40 QC Ware社のPromethium用ニュース等サイトhttps://www.promethium.qcware.com/blogから、外部サイトhttps://www.prnewswire.com/news-releases/accelerating-the-development-of-new-molecules---promethium-to-empower-ml-models-for-drug-discovery-using-nvidia-quantum-cloud-302090961.htmlに移動する
*41 https://www.softwareq.ca/news
*42 Borja Aizpurua et al.、Tensor Networks for Explainable Machine Learning in Cybersecurity、https://arxiv.org/pdf/2401.00867.pdf
*43 the 57th Hawaii International Conference on System Sciences 2024
*44 Sascha Xu et al.、Quantum Feature Embeddings for Graph Neural Networks、https://www.quasim-project.de/wp-content/uploads/2023/09/Quantum-Feature-Embeddings-for-Graph-Neural-Networks_HICSS2024.pdf
*45 遅すぎて実用性がないという結論は、量子コンピュータに対する「超高速性の期待」に反している。尤もらしい反論は、「量子コンピュータの高速性は漸近的、つまり、問題のサイズが大きくならないと発揮されない」であるが、それが、どのレベルなのか(そして、本当に古典コンピュータが勝てないのか)不明である。機械学習・深層学習の範疇に、存在する保証は無い。
*46 正確には、Physics-Informed量子グラフ・ニューラルネットワークを使用する(らしい)。Zurana Mehrin Ruhi et al.、A Proposal for Physics-Informed Quantum Graph Neural Networks for Simulating Laser Cutting Processes、https://www.quasim-project.de/wp-content/uploads/2023/09/A-Proposal-for-Physics-Informed-Quantum-Graph-Neural-Networks-for-Simulating-Laser-Cutting-Processes_INFORMATIK-2023.pdf
*47 御手洗光祐、最近の展望|量子コンピュータを用いた機械学習、応用物理 第93巻 第1号(2024)、pp.19-23、https://www.jstage.jst.go.jp/article/oubutsu/93/1/93_19/_pdf
*48 https://www.riverlane.com/news/riverlane-awarded-2-1m-by-horizon-europe-to-develop-the-next-generation-of-its-quantum-error-correction-decoder
*49 https://www.riverlane.com/news/riverlane-awarded-darpa-quantum-benchmarking-program-grant
*50 https://www.nict.go.jp/press/2024/05/09-1.html
*51 https://www.riverlane.com/news/riverlane-and-alice-bob-join-forces-to-accelerate-quantum-error-correction
*52 https://www.francequantum.fr/session/49e02406-4909-ef11-96f5-000d3a29980a/aqadoc-distributed-quantum-algorithms-for-the-energy-sector
*53 https://www.quantumherald.com/news/qblox-funding
*54 https://ja.classiq.io/insights/classiq-collaborates-with-bmw-and-nvidia
*55 https://ja.classiq.io/insights/nvidia-rolls-royce-and-classiq-announce-quantum-computing-breakthrough-for-computational-fluid-dynamics-in-jet-engines
*56 https://multiversecomputing.com/resources/eu-funded-ai-boost-project-selects-multiverse-computing-to-develop-and-train-large-scale-ai
*57 https://qunasys.com/news/posts/g5fr1tgucdd
*58 https://www.linkedin.com/pulse/major-breakthrough-quantum-algorithms-qubit-pharmaceuticals-p5tvf ←Qubit Pharmaceuticalsのサイトから直接飛ぶ。
*59 https://multiversecomputing.com/resources/iberdrola-and-multiverse-computing-announce-pilot-project-success-to-optimize-battery
*60 https://kipu-quantum.com/kipu-quantum-acquires-quantum-computing-platform-built-by-anaqor-ag-to-accelerate-development-of-industrially-relevant-quantum-solutions/
*61 https://www.riverlane.com/press-release/riverlane-partners-with-atlantic-quantum-to-advance-quantum-error-correction-on-fluxonium-architecture?types=press
*62 https://www.technologyreview.jp/s/340318/
*63 https://ja.classiq.io/insights/classiq-and-quera-announce-integration-of-neutral-atom-quantum-computers-into-classiq-platform
*64 https://ja.classiq.io/insights/classiq-transforms-quantum-computing-with-qmod-the-first-high-level-language-for-quantum-programming
*65 https://indianstartupnews.com/funding/ai-quantum-software-startup-bloq-quantum-raises-funding-in-a-pre-seed-round-6792165
*66 https://financialpost.com/globe-newswire/infinityq-announces-collaborative-initiative-with-siemens-energy-ventures-to-leverage-quantum-inspired-computing-solutions
*67 https://www.bluequbit.io/bluequbit-quantum-art-receive-bird-foundation-grant
*68 https://q-ctrl.com/blog/q-ctrl-integrates-fire-opal-with-four-leading-quantum-computing-hardware-platforms-to-deliver-unprecedented-capabilities-to-end-users
*69 https://www.ibm.com/quantum/blog/qiskit-functions-catalog
*70 https://qmill.com/en/qmill-raises-4m-in-seed-funding-to-deliver-near-term-industrial-quantum-advantage-via-cutting-edge-algorithms
*71 https://www.qruise.com/news-and-events/news/QM-co-selling
*72 https://q-ctrl.com/blog/q-ctrl-integrates-with-qcentroid-to-enhance-quantum-optimization-workflows-for-customers
*73 https://terraquantum.swiss/news/terra-quantum-and-unilever-collaborate-to-advance-skin-microbiome-research
*74 https://quantumcomputinginc.com/news/press-releases/quantum-computing-inc.-extends-collaborative-agreement-with-los-alamos-national-laboratory
*75 Devanshu Brahmbhatt et al.、An Open-Source Data Storage and Visualization Platform for Collaborative Qubit Control、https://arxiv.org/pdf/2403.14672
*76 https://kipu-quantum.com/quera-computing-and-kipu-quantum-collaborate-to-deliver-cutting-edge-industrial-quantum-solutions-via-planqk-platform/
*77 https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/1160
*78 https://multiversecomputing.com/resources/multiverse-computing-selected-by-airbus-to-build-gesture-recognition-software-for-fighter-pilots
*79 https://ir.zapata.ai/node/7701/html
*80 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000022.000117406.html
*81 https://qunasys.com/news/posts/fundraising2024jp
*82 https://ionq.com/news/ansys-and-ionq-are-bringing-the-power-of-quantum-to-the-usd10-billion-dollar
*83 https://multiversecomputing.com/resources/multiverse-computing-launches-singularity-machine-learning-classification-function-in-ibm-s
*84 https://www.nqcc.ac.uk/collaborative-research/
*85 https://qci.dlr.de/en/iqm-germany-supports-qci-quanticom-in-the-simulation-of-strongly-correlated-systems/
*86 Vladyslav Bohun et al.、Scalable and shallow quantum circuits encoding probability distributions informed by asymptotic entanglement analysis、https://arxiv.org/pdf/2412.05202
arXiv版はver2が25年1月10付け、ver3が25年4月15日付け。ver3から論文タイトルがEntanglement scaling in matrix product state representation of smooth functions and their shallow quantum circuit approximationsに変更され、Physical Review Researchにも継承されている。
Vladyslav Bohun et al.、Entanglement scaling in matrix product state representation of smooth functions and their shallow quantum circuit approximations、https://journals.aps.org/prresearch/pdf/10.1103/yyvr-dtsb
*87 https://www.riverlane.com/press-release/pasqal-and-riverlane-join-forces-to-achieve-fault-tolerant-quantum-computing
*88 https://q-ctrl.com/blog/enhancing-network-security-with-accenture-federal-services-using-quantum-optimization
*89 https://multiversecomputing.com/resources/multiverse-computing-and-bundesdruckerei-use-quantum-for-data-privacy-and-fraud-detection
*90 https://www.bluequbit.io/seed-funding-for-quantum-advantage
*91 Bernhard Jobst et al.、Efficient MPS representations and quantum circuits from the Fourier modes of classical image data、https://arxiv.org/pdf/2311.07666
この論文は、第1版が23年11月13日。最新版の第3版が24年11月26日。
*92 https://parityqc.com/parityqc-and-the-university-of-hamburg-launch-project-to-develop-new-quantum-computing-framework-for-personalized-medicine
*93 三宅裕樹、ドイツ各州における政策金融機関の変遷と現状、京都府立大学学術報告(公共政策)第13号(2021年12月)、pp.209~280、https://kpu.repo.nii.ac.jp/record/6286/files/k_13_011.pdf
*94 https://quantrolox.com/news-automated-2-qubit-gate-tuning-in-under-25-minutes/
*95 https://parityqc.com/parity-twine-quantum-algorithm-synthesis-reaching-world-record-efficiency
論文は、Florian Dreier et al.、Connectivity-aware Synthesis of Quantum Algorithms、https://arxiv.org/pdf/2501.14020
*96 https://www.meetiqm.com/newsroom/blog/iqm-riverlane-and-zurich-instruments-join-forces-to-launch-worlds-first-quantum-error-correction-platform
*97 https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2025/20250204_1
*98 とりあえず、ニュースサイト:https://quantumcomputingreport.com/kipu-quantum-and-ibm-introduce-new-optimization-function-in-qiskit-functions-catalog/
*99 https://qunasys.com/en/news/posts/fullmap_en/
*100 https://www.vub.be/en/news/launch-full-map-project-pioneering-future-sus
*101 https://qunasys.com/news/posts/hypertenq_jp/
*102 https://q-ctrl.com/blog/accelerating-quantum-advantage-by-scaling-error-suppression-with-nvidia-and-oqc
*103 https://pr.fujitsu.com/jp/news/2025/03/24.html
*104 https://icebergquantum.substack.com/p/introducing-iceberg-quantum
*105 https://quminex.com/2025/04/15/quminex-uplink/ 下の方に、Pre-seed Investment from QV Studio, and Quantacet, Quantonation.がある。
*106 Unlocking Quantum Advantage with Digital-Analog Quantum Computing(DAQC)、https://kipu-quantum.com/knowledge-hub/blog/unlocking-quantum-advantage-with-digital-analog-quantum-computing-daqc/
*107 https://www.riverlane.com/press-release/riverlane-joins-uk-s-quantum-missions-pilot-to-advance-quantum-error-correction
*108 https://www.classiq.io/insights/classiq-and-wolfram-join-cerns-open-quantum-institute-to-develop-quantum-optimization-for-smart-power-grids
*109 https://www.keysight.com/us/en/about/newsroom/news-releases/2025/0515-pr25-073-keysight-quantum-control-system-embedded-within-fujitsu-and-rikens-world-leading-256-qubit-quantum-computer.html
*110 https://www.prnewswire.com/news-releases/quantum-machines-launches-qualibrate-an-open-source-framework-that-cuts-quantum-computer-calibration-from-hours-to-minutes-302458926.html
*111 https://q-ctrl.com/case-study/accelerating-the-schedule-for-quantum-enhanced-rail
*112 Haoran Liao et al.、Achieving Computational Gains with Quantum Error-Correction Primitives: Generation of Long-Range Entanglement Enhanced by Error Detection、https://journals.aps.org/prxquantum/pdf/10.1103/PRXQuantum.6.020331
*113 https://qunovacomputing.com/news/123
*114 https://www.colibritd.com/blogs-posts/quick-pde
*115 https://www.linkedin.com/posts/qedma_hqc2-quantumcomputing-quantumchemistry-activity-7335645345189629953--1ZB/
*116 https://www.ibm.com/quantum/blog/application-functions-pf2025及びhttps://www.globaldataquantum.com/en/press-release-quantum-computing-to-investment-portfolio-optimization/
*117 https://www.prnewswire.com/news-releases/qedma-raises-26m-with-participation-from-ibm-to-tackle-quantum-computing-errors-and-accelerate-pace-to-quantum-advantage-302497701.html
*118 https://www.iceberg-quantum.com/blog/oxford-ionics-partnership
*119 https://www.riverlane.com/press-release/riverlane-and-oqc-move-toward-ftqc-with-qec-integration
*120 https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2025/20250728_1
*121 https://newsroom.kddi.com/news/detail/kddi_nr-680_4047.html
*122 https://www.mitsui.com/jp/ja/topics/2025/1251846_14877.html
*123 https://strangeworks.com/press/strangeworks-acquires-quantagonia-to-create-global-leader-in-applied-ai-optimization-and-quantum-computing
*124 https://kotharcomputing.com/#/press-release
*125 So Hirata、Automated symbolic algebra for quantum chemistry、https://iopscience.iop.org/article/10.1088/1742-6596/46/1/036/pdf
*126 https://qci.dlr.de/en/d-fine-planqc-partner-support-qcmobility-for-more-efficient-and-reliable-rail-transport/
*127 https://qt.eu/news/2025/2025-08-28_eu-gives-unprecedented-access-to-quantum-computers
*128 https://finance.yahoo.com/news/zapata-quantum-completes-first-phase-130000742.html
*129 https://quantrolox.com/news-quantrolox-and-cdac-announce-loi/
*130 https://investors.rigetti.com/news-releases/news-release-details/rigetti-and-indias-centre-development-advanced-computing
*131 https://www.riverlane.com/press-release/riverlane-to-deploy-quantum-error-correction-at-oak-ridge-national-laboratory
*132 Yulun Wang et al.、Δ-Motif: Subgraph Isomorphism at Scale via Data-Centric Parallelism、https://arxiv.org/pdf/2508.21287
*133 https://www.quantware.com/press/quantware-and-c-dac-announce-loi-to-explore-co-development-of-hybrid-quantum-computing-technologies
*134 https://www.qbraid.com/blog-posts/qbraid-awarded-nsf-grant-to-advance-open-source-quantum-software-ecosystem
*135 https://global.fujitsu/ja-jp/pr/news/2025/09/25-02
*136 https://www.phasecraft.io/news/phasecraft-launches-mondrian-quantum-enhanced-optimisation-software-platform
*137 https://qmill.com/en/blog-by-clayton-leite-qmill-sets-a-world-record-in-quantum-circuit-compression
*138 https://www.hpcwire.com/off-the-wire/quantum-elements-launches-ai-native-platform-for-quantum-software-and-hardware-development/#QuantumComputing%20#HPC
*139 https://kotharcomputing.com/#/news/nano-kothar
*140 https://www.keysight.com/us/en/about/newsroom/news-releases/2025/1029_pr25-129-keysight-advances-quantum-engineering-with-new-system-level-simulation-solution.html
*141 https://github.com/Qinara-Inc/Qronos-Benchmark
*142 https://qmill.com/en/another-record-circuit-compression
*143 https://multiversecomputing.com/resources/deepseek-r1-uncensored-full-power-fraction-of-the-size
*144 https://www.bqpsim.com/blogs/vqls-hpc-qc
*145 https://www.horizonquantum.com/updates/news/horizon-quantum-becomes-first-quantum-software-company-to-own-and-operate-a-quantum-computer
*146 https://parityqc.com/parityqc-awarded-contract-by-dlr-to-integrate-quantum-computing-for-next-generation-mobility-solutions
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*153 https://global.fujitsu/ja-jp/technology/research/article/topics/202512-quantum-simulator-challenge
*154 https://qunasys.com/news/posts/quneais_j/
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*156 https://app.quotemedia.com/data/downloadFiling?webmasterId=90423&ref=319683925&type=HTML&symbol=VBIX&cdn=3cde755bf944ca688a4d38853ec3d451&companyName=Viewbix+Inc.&formType=PRE+14C&formDescription=Other+preliminary+information+statements&dateFiled=2026-01-05
*157 http://ir.wimiar.com/index.php/News/release_view/id/68
*158 https://investors.zapataquantum.com/news-releases/news-release-details/zapata-and-university-maryland-collaborate-advance-new-paradigm
*159 https://www.haiqu.ai/insights/raise
*160 https://www.fujitsu.com/uk/news/pr/2026/01/fujitsu-and-sc-ventures-announce-roadmap-for-qubitra-technologies.html
*161 https://qci.dlr.de/en/tensor-ai-supports-qcmineral-quadrant-in-the-quantum-assisted-development-of-metal-oxides-with-redox-function/
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*163 https://qmill.com/en/press-release-qmill-announces-a-six-fold-leap-in-reaching-quantum-advantage-
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*165 Hrant Gharibyan et al.、Heuristic Quantum Advantage with Peaked Circuits、https://arxiv.org/pdf/2510.25838v1
*166 https://app.bluequbit.io/hackathons/GFgHTGbTylwmMsCp
*167 https://investors.zapataquantum.com/news-releases/news-release-details/zapata-secures-foundational-patent-interoperable-quantum
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*170 Paul Webster et al.、The Pinnacle Architecture: Reducing the cost of breaking RSA-2048 to 100 000 physical qubits using quantum LDPC codes、https://arxiv.org/pdf/2602.11457
*171 https://www.softbank.jp/corp/set/data/technology/research/topics/183/img/shared/pdf/on_the_limits_and_oppotunities_of_quantum_computers_for_industrial_applications.pdf
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*173 https://parityqc.com/qudora-and-parityqc-partner-to-optimize-quantum-algorithms-for-trapped-ion-systemss
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*177 https://www.kvantify.com/news/kvantify-joins-dkk-174-million-project
*178 https://www.globaltimes.cn/page/202602/1355718.shtml
*179 https://newsnetwork.mayoclinic.org/discussion/mayo-clinic-team-takes-quantum-leap-to-win-global-competition-with-brain-signal-model/
*180 https://www.j-ij.com/en/news/20260213
*181 https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2026/20260312_2
*182 https://www.kvantify.com/news/Quantum-Computing-to-Solve-Core-Challenges-In-Drug-Discovery
*183 Seyyed Mehdi Hosseini Jenab et al.、Parallel iQCC Enables 200 Qubit Scale Quantum Chemistry on Accelerated Computing Platforms Surpassing Classical Benchmarks in Ruthenium Catalysts、https://arxiv.org/pdf/2603.08883
*184 https://www.quantum-machines.co/press-release/open-acceleration-stack/
*185 https://planqc.eu/news/2-3m-funding-for-hybrid-quantum-classical-solutions-in-industry-optimization
*186 https://qpiai.tech/pressreleases/2026-03-25-qpiai-achieves-high-speed-quantum-error-correction-on-superconducting-systems-with-new-decoder-platform
*187 https://qmatter.xyz/qmatter-raises-pre-seed-funding/
*188 https://www.qc.design/news/eicaccelerator
*189 https://www.qc.design/news/quantum-source-pilots-plaquette
*190 https://www.qc.design/news/gpu-acceleration-nvidia
*191 https://www.qc.design/news/gauge-launch
*192 https://q-ctrl.com/blog/ionq-and-q-ctrl-partner-to-unlock-the-full-potential-of-quantum-optimization-with-fire-opal-on-forte-quantum-processors
*193 https://investors.zapataquantum.com/news-releases/news-release-details/zapata-quantum-completes-oversubscribed-15-million-strategic
*194 https://www.classiq.io/insights/classiq-certifies-expert-level-quantum-ai-agents-for-real-world-applications
*195 https://www.marubeni.com/jp/news/2026/info/00009.html
*196 https://www.cqt.sg/highlight/2026-04-collaboration-qubit-pharmaceuticals/
*197 Baptiste Claudon et al.、Experimental Realization of the Markov Chain Monte Carlo Algorithm on a Quantum Computer、https://arxiv.org/pdf/2603.08395
*198 https://www.llnl.gov/article/54276/llnl-harness-quantum-computing-next-generation-magnets
*199 Jaroslav Kysela et al.、YZ-plane measurement-based quantum computation: Universality and Parity Architecture implementation、https://arxiv.org/pdf/2603.29379
*200 https://www.quantum-machines.co/press-release/quantum-machines-acquires-qharbor-software-platform-europe-expansion/
*201 https://quantumelements.ai/news (ダイレクトに飛ばない! →26/4/23付けQuantum Elements Partners with Rigetti to Explore Digital Twin Simulation for Quantum Hardware)
*202 https://www.unite.ai/haiqu-launches-agentic-quantum-operating-system-to-accelerate-enterprise-quantum-rd/
*203 Konstantin Tiurev et al.、Parity-unfolded distillation architecture for noise-biased platforms、https://arxiv.org/pdf/2604.15436
*204 https://qmill.com/en/press-release-esl-shipping-and-qmill-explore-quantum-computing
*205 Anton Simen et al.、Classical Surrogates for Quantum-Advantage Feature Extraction、https://kipu-quantum.com/blog/classical-surrogates-for-quantum-feature-extraction
*206 Carlos Flores-Garrigós et al.、Off-line quantum-advantage feature extraction for industrial production、https://arxiv.org/pdf/2605.19801
*207 https://imperagen.com/resources/imperagen-raises-5m-seed-funding-to-power-next-gen-enzyme-engineering
*208 https://www.anyoncomputing.com/post/anyon-q-ctrl-self-calibrating-hybrid-quantum-supercomputers-data-centers
*209 https://www.classiq.io/insights/classiq-and-uc-chile-launch-quantum-ai-research-for-biomedical-image
*210 https://www.juntendo.ac.jp/news/27250.html
*211 https://www.startupticker.ch/en/news/qendra-obtains-chf-150-000-from-venture-kick
*212 https://www.phasecraft.io/journal/journal/phasecraft-tapped-by-arpa-e-to-develop-and-apply-quantum-algorithms-for-catalyst-discover
*213 https://www.classiq.io/insights/quantum-linear-solvers-for-cfd-from-algorithmic-promise-to-practical-performance
*214 Tomer Goldfriend et al.、Approximate Quantum Linear Solvers for Hybrid CFD: End-to-End Analysis with a Chebyshev-LCU Approach、https://arxiv.org/pdf/2606.01067
*215 https://investors.zapataquantum.com/news-releases/news-release-details/zapata-quantum-teams-nvidia-apply-agentic-ai-accelerate-quantum
*216 https://aws.amazon.com/jp/blogs/quantum-computing/classiq-and-aws-power-quantum-classical-chemistry-innovation-in-singapore-with-hatch/
*217 https://quantrolox.com/news-aqsolotl-and-quantrolox-partner-to-automate-quantum-control-targeting-scalable-production-ready-systems/
*218 https://www.j-ij.com/ja/news/20260702
*219 https://www.linkedin.com/feed/update/urn:li:activity:7479812056460959744/
*220 https://lumolabs.io/magiqware-raises-e500k-pre-seed-investment-to-accelerate-fault-tolerant-quantum-computing/
*221 https://msqc.cgi-host6.rz.uni-frankfurt.de/news/(独フランクフルト・ゲーテ大学のサイト。故に、TruQuaCで検索しないと直接は飛ばない。)より直接的には、XeedQのリンクトインへの投稿(https://www.linkedin.com/posts/xeedq_xeedq-quantumcomputing-truquac-activity-7471092841163894784-5rfu)あるいは、BMFTRのサイト(https://www.forschung-it-sicherheit-kommunikationssysteme.de/projekte/truquac、独語!)。
*222 https://research.google/programs-and-events/google-academic-research-awards/
*223 https://research.google/programs-and-events/early-fault-tolerant-quantum-algorithms-applications/
*224 Raul Conchello Vendrellet al.、Plaquette: A hardware-aware design platform for fault-tolerant quantum computers、https://arxiv.org/pdf/2607.08767
*225 https://www.riverlane.com/press-release/quantinuum-rolls-royce-riverlane-and-university-of-edinburgh-partner
*226 https://www.planckian.co/2026/07/quantum-elements-and-planckian-announce-partnership-to-improve-new-superconducting-system-design/
*227 https://www.digicatapult.org.uk/about/press-releases/post/sector-leaders-join-quantum-innovation-programme-to-drive-uk-industrial-transformation/
*228 https://www.qperfect.io/btq-qperfect-aqcess-collaboration/
*229 https://www.qedma.com/qedma-integrates-its-advanced-error-mitigation-software-with-quantinuums-quantum-computing-platform/
*230 https://quantumelements.ai/news?article=37
*231 https://www.horizonquantum.com/resources/newsroom/horizon-quantum-and-quantum-machines-announce-strategic-collaboration-to-increase-efficiency-of-quantum-systems
*232 https://www.j-ij.com/ja/news/20260804
*233 https://quantrolox.com/quantrolox-and-uc-berkeley-sign-an-mou/
*a クランチベース等の2次情報には、誤りが散見されるので、該当組織のWebサイト等で可能な限り確認した。As of 26年8月(適宜アップデートする)
*b フランス国立工芸院, フランス国立科学研究センター, テキサス大オ-スチン校, ソルボンヌ大、ワシントン大
*c https://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/2204/05/news02.html
*d 格子ボルツマン法は、ボルツマン方程式を粗視化したナヴィエ・ストークス方程式ではなく、ボルツマン方程式を直接、離散的に解く手法。ボルツマン・マシンと直接の関係はない。
*e https://arstechnica.com/science/2023/01/companies-are-relying-on-quantum-annealers-for-useful-computations/
*f https://www.entropicalabs.com/post/implementing-real-world-optimisation-use-cases-in-state-of-the-art-quantum-devices
*g https://www.extremetech.com/computing/nvidia-gpus-are-now-running-quantum-jet-engine-simulations
*A-1 "最も賢い億万長者"チャールズ・サイモン(と妻)が設立したサイモンズ財団が設立した研究所。
*A-2 Domenico Di Sante et al.、Deep Learning the Functional Renormalization Group、Phys.Rev.Lett.129,136402 –Published 21 September 2022 (https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.129.136402)
*A-3 https://www.simonsfoundation.org/2022/09/26/artificial-intelligence-reduces-a-100000-equation-quantum-physics-problem-to-only-four-equations/
*A-4 https://eos.org/features/how-quantum-computing-can-tackle-climate-and-energy-challenges
*A-5 M.Fellner et al.、Universal Parity Quantum Computing、PHYSICAL REVIEW LETTERS 129,180503(2022) https://journals.aps.org/prl/pdf/10.1103/PhysRevLett.129.180503
*A-6 https://www.eurekalert.org/news-releases/975028
*A-7 https://pyzx.readthedocs.io/en/latest/faq.html
*A-8 https://arxiv.org/abs/2205.05781
*A-9 https://www.itpro.co.uk/technology/369845/how-quantum-computing-can-fight-climate-change
*A-10 リンクトインのプロフィールを見ると、日本が大好きらしい。独ハンブルク大学で博士号取得(実験物理学)。Psi Quantumは、Qlimateという気候変動に特化した量子ソリューションを提供する子会社を設立しているから、プロモーション臭が、やや漂うか。
*A-11 https://www.nies.go.jp/whatsnew/20200806/20200806.html
*A-12 Daniel Claudino et al.、Modeling Singlet Fission on a Quantum Computer、https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.jpclett.3c01106?ref=pdf
なお、上記論文で重要な役割を果たしているPeeters–Devreese–Soldatovエネルギー汎関数については、Daniel Claudino et al.、Improving the accuracy and efficiency of quantum connected moments expansions、https://iopscience.iop.org/article/10.1088/2058-9565/ac0292/ampdfを参照。
*A-13 https://www.ornl.gov/news/researchers-use-commercial-quantum-computer-identify-molecular-candidate-development-more
*A-14 宮田潔志、特集|支部発 話題欄 7| 一重項励起子分裂研究の現状と課題 基礎分子科学と応用可能性の観点から、化学と工業 Vol.75-4 April 2022、https://www.chemistry.or.jp/journal/ci22p274.pdf
*A-15 https://www.fz-juelich.de/en/news/archive/announcements/2023/nrw-researchers-to-exploit-quantum-technologies-for-energy-grids
*A-16 https://www.hpcwire.com/off-the-wire/psiquantum-leads-the-way-in-quantum-computing-for-climate-tech-with-new-partnership-with-mitsubishi-groups/
*A-17 ”公式”和訳版が公開されている。https://www.qmedia.jp/next-step-of-qc/
*A-18 5 Year Update to the Next Steps in Quantum Computing Report、https://cccblog.org/wp-content/uploads/2024/01/5-Year-Update-to-the-Next-Steps-in-Quantum-Computing.pdf
*A-19 NICT(情報通信研究機構)ワシントン事務所、アメリカ合衆国における新世代ネットワークに関する研究開発動向および連邦政府におけるICT 研究開発動向に関する調査、2010年3月、https://www.nict.go.jp/global/lde9n2000000bmhf-att/re1003_2.pdf
*A-20 https://ionq.com/news/oak-ridge-national-laboratory-collaborates-with-ionq-to-drive-critical
*A-21 https://gridpredict.jp/news/20240910
*A-22 https://www.infleqtion.com/news/infleqtion-secures-62m-arpa-e-award-to-advance-quantum-powered-energy-grid-optimization
*A-23 https://ionq.com/news/ionq-partners-with-oak-ridge-national-laboratory-demonstrating-quantum-power
◆参考資料◆
高島宏和、静的近似を超えた汎関数くりこみ群法と2次元ハバード模型への応用
奥西巧一、Wilson の数値くりこみ群とエネルギースケールの選択性、数理解析研究所講究録第1705巻 2010年 203-211
青木健一、場の理論における非摂動くりこみ群、数理解析研究所講究録1134巻2000年61-69
住淳一、「量子場の理論の新しい展開」 非摂動くりこみ群の異なる定式化の間の関係について
田崎晴明、くりこみ群とはなにか
藤井啓祐、教養としての量子コンピュータ、ダイヤモンド社、2025