MerchantBank Consulting
サブページ画像

エキゾチック量子ビット。そしてφビット、nビット・・・

 量子コンピュータの論理量子ビットは、いくつかの種類がある。超伝導、イオントラップ、光量子、中性原子(冷却原子)、シリコン(スピン)量子ビット、ダイヤモンドNV、が代表的である。なお核磁気共鳴(NMR)で操作される原子核スピンは、スケールアップが見込めないという理由で、ほぼ圏外である。
 先にあげた種類以外にも、exoticな量子ビットが研究されているので、以下にまとめた。さらに、量子ビットではなく、量子ビットの古典アナロジーたる論理素子も、いくつか研究されているので、併せてまとめた。もちろん、網羅性は保証の限りではない。
 なお、東北大学電気通信研究所が研究している、確率論的コンピュータ・pビットは、タイプが異なるので、ここでは取り上げていない[*0]。

 【1】時間結晶[*1]、[*2]、[*3]
 ランカスター大学(英)、ロンドン大学ロイヤル・ホロウェイ校、ランダウ研究所(露)、アールト大学(フィンランド)の国際研究チームは、マグノンからなる 2 つの結合された時間結晶(フロケ時間結晶、あるいは離散時間結晶)を使って、巨視的な 2体系を形成させた、と発表した(22年6月2日)。時間結晶をエンタングルすることは可能となったが、量子ビットとして利用されるかは不明。もちろんCNOTゲートの実装、という動きも、見受けられない。
 Quantinuum及びフラットアイアン研究所の研究者は、イッテルビウム・イオンの配列にフィボナッチ・パターンのレーザーを照射することで、離散時間時間準結晶が形成されることを示した(22年7月)[*20]。この時間準結晶は、制御エラー、クロストーク・エラーに対して堅牢であるという。フラットアイアン研究所は、"最も賢い億万長者"チャールズ・サイモン(とその妻)が設立したサイモン財団が運営する研究所の一つ。

【時間結晶とは】
 時間結晶とは、「強い相互作用における漸近的自由性の理論的発見」で2004年にノーベル物理学賞を(共同)受賞したフランク・ウィルチェックが、2012年に予言した、物理的平衡状態である。ちなみに、ウィルチェックは、エニオンの名付け親でもある。2015年に、そのような平衡状態は存在しないことが数学的に証明された(証明したのは日本人)。
 もともと、時間結晶は、空間方向に適用されていた、並進対称性の自発的破れを空間方向に拡張するというアイデアであった。先にあげた証明は、「連続的時間並進対称性が自発的に破れて、離散的時間並進対称性に移行することはない」ことの証明であった。したがって、(高い)離散的並進対称性が自発的破れて、(低い)離散的並進対称性に移行することは、可能である。多体局在を示す系では、安定的に実現可能であることも示された。この時間結晶は、フロケ時間結晶と呼ばれる。
 2017年に2つの独立なグループが、時間結晶を実現したと雑誌(nature)に投稿した。ハーバード大を中心とする日米独のグループ(NVセンターを使用)と、メリーランド大のグループ(イオントラップを使用)である。2020年には、離散時間準結晶が存在することが、東京大学の研究により明らかになった。Googleは2021年8月、量子コンピュータ(NISQマシン)内に、離散時間結晶を観察できる環境を作ったと発表した[*4]。同年9月、独ハンブルグ大は、開放量子系で初めて(離散)時間結晶を実現した。
‖参考‖
 離散時間結晶(フロケ時間結晶)を使って保護することで、忠実度0.59超・最大60量子ビットのGHZ(Greenberger-Horne-Zeilinger)状態(典型的な2成分のシュレーディンガーの猫状態)を生成ことが、報告された(2024年1月16日@arXiv[*44])。浙江大学他の成果。

 【2】分子量子ビット
 一般に、分子材料を用いた量子ビット(分子量子ビット)は、以下のような優位性を持つと考えられている:㊀特定の量子ビット構造を精密に作成できる、㊁化学構造を変化させることで量子ビットの特性を制御できる、㊂多数の量子ビットを集積化できるスケーラビリティがある。
(1) カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のアナスタシア・アレクサンドロワ教授は、ハーバード大などと協力して、量子官能基と呼ばれる”分子ベース”の量子ビット(分子量子ビット)を研究している。この研究に、米国国立科学財団(NSF)は3年間で、US$1.8milを提供した。米陸軍研究局(the Army Research Office)、米空軍科学研究局(AFOSR)の支援も受けている[*5],[*6]。
 化学において、官能基は、母体分子に結合し、化学的特性や化学的反応性を付加する原子団(基、グループ)である。量子官能基はエンタングルした原子団(主構造は、カルシウム-酸素構造)であり、母体分子に結合しても、エンタングルメントを失わない(レーザー冷却にも耐える)。そのため、母体分子に量子官能基が結合して生成される”分子量子ビット”は、数兆個にまでスケーリングできる、とアレクサンドロワ教授は考えている。
 CNOTゲートの実装は、今後の課題となる。
(2) 東北大学は、分子スピン量子ビットのスケーラビリティを阻害する要因を解決する技術を開発したと発表した(23年1月24日)[*24]。分子スピン量子ビットの優位性は、電子スピン共鳴(ESR)測定技術の精度の高さに基づく。しかし、従来手法では十分なESR検出感度を得るため10億個もの分子のスピン集団が必要とされ、スケーラビリティの障害となっていた。今回、単一分子ESRに成功し、障害の一端を克服したとする。
(3) シカゴ大学は、量子超化学を実験的に確認したと発表した(論文[*32]掲載が23年7月24日)。量子超化学は、同じ量子状態にある粒子が集合的に加速反応を起こす現象。ボーズアインシュタイン凝縮状態のセシウム原子で確認した。量子超化学の結果生成される分子は、同じ分子状態(量子状態)を共有するので、量子ビットとして使える可能性はあるだろう。
(4) ハーバード大[*39]、プリンストン大[*40]の研究者は、それぞれ別に、極低温分子の量子もつれを作成したと発表した(23年12月7日)。フッ化カルシウム分子を光ピンセット・アレイで補足し、分子間の双極子相互作用を使って、ベル状態を生成した。分子量子ビットによる演算は、一般に低速である、と言われている。一方、分子量子ビットは、自然にqutritを構成することができる。このため、量子ゲートの数は少なくて済む(ハードウェア効率は高い)と考えられている。
(5) 九州大学の研究者は、室温で分子量子ビットを生成したと発表した(24年1月3日)[*45]。有機金属構造体(MOF)に発色団分子を閉じ込めることで実現した。分子量子ビットは、1重項分裂(singlet fission)を介して生成される5重項多重励起子で、いわゆる"qudit"である。qubit(量子ビット)の代わりにqudit(多重量子ビット)を使うことで、量子ゲートの数を減らすことができる。つまりハードウェア効率が高くなるので、誤り耐性汎用量子コンピュータ実現を近づけると期待される。今回、分子量子ビットの量子コヒーレンスは、室温で100ナノ秒以上観測された、としている。

 【3】量子ビットを古典回路で模擬する1・・・φビット
 2021年12月、(米ミシガン州にある)ウェイン州立大学とアリゾナ大学の研究者が、非線形音響波が量子ビットの古典アナロジーとなりうるという論文(scientific report)を発表した[*7]。電磁波や音響波などの古典的な波は、量子エンタングルメントを連想させる属性を持つことができる。
 もちろん、古典的なエンタングルメントは、量子系特有の「非局所性」を示さない。また、次のような”好ましい”違いもある:「古典的エンタングルメントの重ね合わせは、量子エンタングルメントの重ね合わせとは対照的に、直接測定可能な複素係数を伴う。その結果、古典的エンタングルメントの重ね合わせは、デコヒーレンスの影響を受けない」。
 このような差異にもかかわらず、音響波の指数関数的に複雑な非分離・非線形重ね合わせは、量子エンタングルメントの重ね合わせの古典アナロジーとなる可能性がある。ちなみに、線形系では、テンソル積ヒルベルト空間の次元は制限されてしまうので、ダメである。非線形古典的系であれば、次元が指数関数的にスケーリングするケースがある。その具体的な一つのケースが、以下のφビットである。
 非線形音響波による量子ビットの古典アナロジー(以後、φビットと呼ぶ)は、結合された音響導波路の外部駆動アレイにおける、非線形音響場のスペクトル分割から生じる。各φビットは、2状態自由度を持つ非線形振動モードであり、その状態は、周波数と導波路間の2つの独立した相対位相によって特徴付けられる。非線形系である多重φビットシステムは、指数関数的にスケーリングするテンソル積構造を与えることができる。
 同じ研究グループは、2022年8月、φビットでCNOTゲート実現したと論文(scientific report)で発表した[*8]。今後、どのように進展するか楽しみである。
 理論研究は、着実に進んでるようである:外部駆動型音響導波路アレイからなる物理系における、Φビットの振る舞いの起源を明らかにする論文が、Scientific Reportsで公開された(23年1月12日)[*23]。

 【4】量子ビットを古典回路で模擬する2・・・LC共振器ビット
 東京大学の江澤講師(及び共同研究者)は、LC共振器のキャパシタンスやインダクタンスを時間的に制御する事により、CNOTゲート等を具体的に構成する事により、電気回路を用いたユニバーサル量子計算を実行する方法を提唱している[*9]、[*10]。
   2020年12月、arXivに投稿した論文[*11]で、1組の LC 共振器によって、 1つの量子ビットをシミュレートすることを提案している。LC 共振器の静電容量とインダクタンスを調整することで、CNOTゲートを構築している(位相シフトゲート、アダマールゲートは、言わずもがな構築済)。量子機械学習が物理学の進展に大きく貢献するという前提の下で、量子計算を古典回路で再現することにより、FTQCなどを待たずに物理学を進展させることに、研究者の興味はあると思われる。今後、どのように進展するか(どういう方向に展開していくのか)楽しみである。

 【5】量子ビットを古典回路で模擬する3・・・nビット
 MITの応用数学者は、ネマティック液晶のトポロジー欠陥(以後、nビットと呼ぶ)の挙動が、量子ビットの挙動に「数学的」に類似していることを示した[*12]。つまり数学的には、n ビット(ネマティック・ビット)を量子ビットのように扱い、nビットを使用して量子コンピューティング・アルゴリズムを実行することができる。
 前者2つとは異なり、物理的にはヒヨコ段階である。少なくとも、数学的類似性を示すための前提が、物理的に合理的であるかを実験で確かめるステップが控えている。それをクリアして、予算がつけば、CNOTゲートの構築というステップに移行するだろう。

 【6】固体ネオン表面の電子
 米アルゴンヌ国立研究所が率いる研究チームは、固体ネオン表面に(フィラメントから)電子を吹き付けることによって形成される新しい量子ビット(プラットフォーム)の作成を発表した(22年5月)[*13]。ネオンは不活性ガスであり、電磁ノイズが低い堅牢な環境を提供する。超伝導共振器を使って、マイクロ波で量子ビットを制御する。T2は200ナノ秒以上。CNOTゲート(つまりは、非クリフォード・2量子ビット・ゲート)構築には至っていない。
👉 この量子ビットに対して、新しい成果が発表された(arXivにて23年2月、論文[*37]公開)。T2とT2で、ともに0.1msを達成した。次の3つの進歩により、達成されたとする:❶最高の表面品質を追求するために固体Neをアニーリング(焼き鈍し)した、❷背景ノイズを10Hz以下にするために電子捕獲ポテンシャルを安定させた、❸電荷ノイズに影響されない(スイート)スポットで、量子ビットを操作した。
 98.1%の読み出し忠実度(シングルショット読み出し)、1量子ビットゲート平均忠実度99.97%(クリフォード・ゲート・ベースのランダム化ベンチマーク)を達成した。2量子ビットゲートは未構築ながら、2つの1量子ビットを同じ共振器に、同時に強結合することに成功した。

 【7】飛行量子ビット
 固定量子ビットに対する表現として、飛行量子ビットという文言が使われる場合がある。その場合の飛行量子ビットは単に、「光を使った量子ビット」を意味する。下記で扱う飛行量子ビットは、その意味ではない。
(1) 理化学研究所や産業技術総合研究所(らによる国際共同研究グループ)は、表面弾性波(SAW)によって、伝搬する単一電子の量子状態を制御することで、量子ビットの電気的操作を初めて実現したと発表(21年2月)[*14]。SAWを使って飛行量子ビットを実現するアプローチは"クラシカル"である。当該量子ビットは、アーサーDリトルのレポート[*15]にもある通り実証研究の段階であるが、この量子ビットを用いて量子コンピュータを構成すると、他に比べてシステム構築に必要なハードウエアが小さくなるというメリットがある。
(2) 東京大学は、22年9月30日「電磁場により真空中に浮遊する電子の運動状態を、観測・制御する手法を発明した」と発表した。超伝導量子回路若しくは、トラップイオンを媒介にして行う。2量子ビットゲートの構築まで、どのくらい要するだろうか?
(3) 韓国科学技術院は、冷却したルビジウム原子を0.65m/秒という速度で4.2μm投げた、ことを報告した(23年3月)[*27]。現状の成功確率は、94%。
(4) NTT他は、電子による飛行量子ビットの動作を実証した、と発表した(プレスリリース[*41]は24年1月16日、論文[*42]公開は23年12月14日)。実証したとは、量子重ね合わせ状態を確認した、という意味である。マッハ・ツェンダー干渉計は、グラフェン,六方晶窒化ホウ素(hBN)及び金属電極を積層して、作製した。単一電子は、ローレンツ波形の電圧パルスを電極に印可することにより、生成させる。電圧パルスがローレンツ波形を持てば、クリーンな(電子のみ励起させ、正孔を励起させない態様で)単一電子を発生可能であることは、Levitovにより発見された(故に、この電子をレビトンと呼ぶらしい)。また、この単一電子源は、仏原子力庁サクレー研究所で、2013年に実現されている[*43]。
† 仏原子力庁サクレー研究所、物質・材料研究機構、韓国科学技術院。
[参考] 米ワシントン大の研究者は、(遷移金属ジカルコゲナイドである)2セレン化タングステンの2層薄膜を使って、単一光子とフォノンの相互作用エネルギーを電圧で制御できることを示した(23年6月)[*29]。つまり、フォノンを媒介して、離れた量子ビットを制御する(結合する)可能性を示した。

 【8】qunit
(1) 光子も、軌道角運動量を持つ。しかも、軌道角運動量はスピン角運動量と異なり、ℏの自然数(=n)倍であれば、どんな値でも可能。その意味で、軌道角運動量をエンタングルさせて作成する量子ビットは、qunitとも呼ばれる。ただし、制御性の問題等により、軌道角運動量同士のエンタングルメントではなく、スピン角運動量と軌道角運動量でエンタングルさせることが想定されている。また、量子計算ではなく、量子通信で関心を持たれている。
【光子の軌道角運動量】[*16]
 電子が、スピン角運動量と軌道角運動量という2つの角運動量を持つことは広く知られている。実は、光子もスピン角運動量に加えて、軌道角運動量を持つ。光子のスピン角運動量は、偏光回転に由来する一方、軌道角運動量は、電磁場振動の位相の回転に由来している。1992年に指摘され(横モードがラゲール・ガウス・モードの光は、偏光に由来しない角運動量を持つ)、2002年に計測された。スピン角運動量は、左回り・右回りに対応して2値しかとれない(故に、量子ビットになる)が、軌道角運動量は無限値である。なお、中性子のような重い粒子にも、軌道角運動量を持たせることができる[*17]。
(2) 伊・仏の研究者は、①(光の)軌道角運動量を運ぶ単一光子を『ほぼ決定論的に』生成する光子源、及び②スピン角運動量と軌道角運動量をもつれさせた「2光子エンタングルメント状態」を生成できるプラットフォームを、実験的に実装したと発表した(23年8月30日、論文[*35])。

 【9】立方晶窒化ホウ素
 六方晶窒化ホウ素(hBN)のカラーセンターは、ダイヤモンドのカラーセンターよりもさらに明るい色を発する。しかし、決められた場所に欠陥を生成することは難しく、カラーセンターのオンとオフを切り替える信頼できる方法もなかった。このため、実用化への道は遠かった。米エネルギー省傘下のローレンス・バークレー国立研究所はhBNに対して、3つのブレークスルーを成した[*18],[*19]。①結晶界面をねじることで、カラーセンターを確実に活性化することに成功。②単純な印加電圧によって。オンオフ制御に成功。③電子ビーム処理により、カラーセンターを正確に空間的に配置することに成功。制御性を向上させたことにより、量子ビットの候補となれるかもしれない。

 【10】コロイド状量子ドット
 ダイヤモンドNVセンターより、大量生産に勝るという主張。2量子ゲートといった話は、遠い。
 中国科学院大連化学物理研究所のWu Kaifeng教授が率いる研究チームは、 溶液成長させた量子ドットを用いて、室温でスピンの初期化、コヒーレント量子状態制御、読み出しに成功したことをNature Nanotechnologyにて報告した(22年12月19日)[*21]。
 近年、ダイヤモンドNVセンターなどの、固体物質中の点欠陥によって、室温でのスピン・量子ビット操作が可能になった。ただ、こうした点欠陥のスケールアップ生産は、困難とも言われている。
 一方で、溶液中で作られる微小な半導体ナノ粒子「コロイド量子ドット(QD)」は、以下のような特徴を持つ:❶溶液中で大量に合成できる、❷低コスト、❸サイズや形状を精密に制御することができる、❹室温で長寿命のスピンコヒーレンスを実現できる可能性がある。しかし、コロイドQDにおいて、室温での「スピンの初期化、回転、読み出し」を同時に行うことができる、量子ドットシステムは、存在していなかった。
 中国研究者は、溶液成長させたCsPbBr3ペロブスカイトQDによって、上記課題を以下のように、クリアした。
(1) 円偏光フェムト秒パルス励起の後、表面に固定した分子アクセプターにサブピコ秒電子捕捉を行い、正孔スピンを初期化する。
(2) 横磁場により、正孔スピンのコヒーレントなラーモア歳差運動が誘起される。
(3) ペロブスカイトQDの非常に強い光-物質相互作用により、2回目のオフ共鳴フェムト秒パルスが光学的シュタルク効果によって、スピンをコヒーレントに回転させる。

 【11】トランズモン人工分子withダブル導波路
 2つ以上の原子の集合体(分子)は、光に対して完全に透明な状態で存在することができる。これは、光を放出も吸収もしない、暗黒状態と呼ばれる特定の重ね合わせ状態である。
 スウェーデンのチャルマース工科大学の研究者らは、(互いに結合したトランズモン量子ビットからなる)人工分子と2本の導波路を結合させた(22年9月)[*22]。光子を導波路を通して原子に送り込むと、2つの異なる対称性をもつエネルギー準位と相互作用することができる。それゆえに、暗黒状態と明るい状態の2つの状態に対して、独立した操作や制御が可能となった。つまり、量子ビットとして使える。エンタングルメントの生成も確認済である。導波路を伝播する、空間的に分離したベル状態(つまりは、2準位系量子ビットの最大エンタングルメント状態)を生成することができる。
 重要なポイントは、異なる対称性を持った2つの状態で2準位系を構成している、という箇所である。対称性が異なるため、混じり合うことがレアな事象となることが期待できる。つまり、量子ビットがロバスト(コヒーレンス時間が長い)であることが期待できる。もちろん、コヒーレンス時間だけで量子ビットの優劣は決まらない。ゲート速度が速いこと、高い忠実度も必要となる。
 現状、量子ゲートの議論ができる段階にはないようである。

 【12】シリコンでマヨラナ粒子!
 南方科技大(中国)・テネシー大学(米国)他の研究者は、シリコンの基板上にスズ原子の単層を1/3だけ成長させ、シリコン層にはホウ素原子を埋め込んだ。スズ層はホウ素原子から電子を奪われて金属化し、高い温度で超伝導を示した[*25]。高温超伝導(非従来型超伝導)は、時空間対称性が破れているケースがある。本ケースでは、スズ層の超伝導波動関数は、時間反転対称性が破れていた。いわゆるカイラル超伝導体である。
 カイラル(p波)超伝導体では、トポロジカル不変量で特徴付けられる量子状態が現れる。直截的に言えば、マヨラナ粒子の発現が期待される。トポロジカル絶縁体を用意すれば、(クーパー対による一番プレーンな)s波超伝導体あるいは、(銅酸化物等の超伝導体である)d波超伝導体との接合系で、マヨラナ粒子の発現を期待できる。また、強いスピン軌道相互作用の下では、s波超伝導体にマヨラナ粒子の発現が期待できる。それらと比べて、今回の系は極めてシンプルであり、みんな大好きシリコンを使っているところに、(あくまで)可能性を感じる。

[マヨラナ粒子に関する参考㈠]理研は、23年7月25日、2次元トポロジカル絶縁体「2テルル化タングステン(WTe2)」を使ったジョセフソン接合デバイスの作製に成功したが、マヨラナ粒子の観測には至らなかった[*31]。
[マヨラナ粒子に関する参考㈡]阪大・東大・学習院大は、23年12月6日、マヨラナ粒子を検出可能とする手法を提示した[*38]。具体的には、磁性絶縁体において、マヨラナ粒子の量子テレポーテーションを検出することによって、存在が検出可能であることを数値シミュレーションで示した。量子テレポーテーションは、走査型トンネル顕微鏡を使った電気伝導度測定で検出する。
[マヨラナ粒子に関する参考㈢]東大・京大・東北大は、マヨラナ粒子の決定的証拠を得た、と発表した(24年3月11日[*47])。(キタエフ)量子スピン液体状態を示すと考えられている磁性絶縁体α-RuCl3(塩化ルテニウム)に対して、確認した。(キタエフ量子スピン液体における)マヨラナ粒子の磁場下でのトポロジカルな性質は、印加する磁場の方向により変化させることができると理論的に知られている(らしい)。変化するトポロジカルな性質は、エッジ状態の変化(比熱)及びバルク状態の変化(熱ホール伝導度)を通して測定した。測定結果は、マヨラナ粒子が存在することを強く示していた。

 【13】核スピン
(1) 冒頭で「核磁気共鳴(NMR)で操作される原子核スピンは、スケールアップが見込めないという理由で、ほぼ圏外」と書いた。MITの研究者は、光で核スピンを操作することで、この桎梏から逃れた。Physical Review Xに投稿された論文[*26](以下、本論文)が23年2月14日に公開(Open Access)された。
 核スピンと光は固有振動数が6~9桁異なる(核スピン106~ 109Hzに対して、光1015Hz)ため、核スピンを光で直接制御することは困難と考えられてきた。このため、電子スピンを媒介した制御が行われてきた(核スピンは、超微細相互作用を通じて、電子スピンにより制御される)。この従来の制御法には、いくつもの欠点があることを本論文では、指摘している:①電子スピンのコヒーレンス時間は通常、核スピンのコヒーレンス時間よりもはるかに短いため、高速な操作が必要となる。②不対電子スピンの存在は、核スピンのコヒーレンス時間を短縮してしまう。③超微細相互作用の強さは距離とともに減衰するため、電子スピンは比較的小さな核スピン集団しか制御できない。④電子スピンと光子の相互作用は環境に敏感であり、リモートスピン間のエンタングルメント忠実度を大幅に制限する。そこで、局在電子スピンを媒介せずに核スピンを直接光で制御できる手法を提案している。
 具体的なアイデアは、「(一部の)原子核が電気四重極を持っているという事実を利用して、核スピンに直接結合する、2次の非線形光学効果(光核四極子効果、ONQ)を誘発する」ことである。ONQは、電気四極子相互作用によって媒介される、電場と核スピンの非線形効果である。2つの周波数ω1とω2を持つ光子を使って、核四極子相互作用を周波数ω12で振動させる。ω12を核スピン共鳴周波数に一致するように調整することで、核スピン遷移をトリガーすることができる。
 量子ゲートの議論には遠いが、量子コンピュータより、量子メモリ(量子中継器)に適用する意向が強いかもしれない。核スピンは、ゼーマン相互作用を介してマイクロ波および無線周波数光子にも結合できる。
(2) ほぼ同じMITの研究グループは、核スピン量子ビットのコヒーレンス時間を20倍にした、という論文[*34]をPhysical Review Lettersにて発表した(同日、つまり23年2月14日)。特定のノイズ源(具体的には熱)が、核四極子相互作用にどのような影響を与えるかを特徴付けることで『同じノイズ源』を使用して、核スピン・電子スピン相互作用を相殺することができた。その結果、コヒーレンス時間を150μ秒から最長3m秒に(20倍)延長することができた。
 ポイントは、「ある物理的相互作用によるスペクトルドリフトを、"別の異なる"物理的相互作用を使用して相殺」できると実証したことであろう。

 【14】アンドレーエフ・スピン量子ビット
 半導体のスピン量子ビットにおいて、長距離にわたるマルチ量子ビット相互作用を実現する目途がたった(かもしれない)。蘭QuTechの研究者は、スピンを直接操作できるように、アンドレーエフ・スピン量子ビットを改良したことを発表(23年5月22日[*28])。
 アンドレーエフ・スピン量子ビットは、2003年に提案されている。アンドレーエフ・スピン量子ビットは、アンドレーエフ準位に捉えられた電子準粒子のスピン(自由度)を用いた量子ビットである。アンドレーエフ準位とは、(ジョセフソン接合のような)弱く結合した2つの超伝導体間に現れる、フェルミオン・モードである。初期のアンドレーエフ・スピン量子ビットは、弱く結合した半導体の励起状態で量子ビットが符号化されており、計算空間からの頻繁な減衰(すなわちデコヒーレンス)をもたらした。さらに、量子ビットの直接操作は、難しかった。
 今回、超伝導回路の電磁モードと半導体量子ドットにトラップされた電子のスピンを融合した量子ビット(改良アンドレーエフ・スピン量子ビット)が提示されている。改良アンドレーエフ・スピン量子ビットを詳細に言えば、半導体ナノワイヤで作られたジョセフソン接合に閉じ込められた個々の超伝導準粒子のスピンで構成された量子ビットである。ナノワイヤ内のスピン軌道結合により、ナノワイヤを流れる超電流(超伝導電流)は、準粒子のスピン状態に依存する。改良アンドレーエフ・スピン量子ビットは、このスピン状態依存超電流を利用して、コヒーレントなスピン操作を達成する。これは、超電流ベースの結合を利用して、長距離にわたるマルチ量子ビット相互作用を実現することにつながる。もう少し俯瞰的に見ると、共振器量子電磁力学(共振器QED)を使った、量子ビットの制御という見方ができる。この場合は、超伝導回路による共振器QEDなので、回路QEDあるいはcQEDと呼ばれる。cはcircuit(回路)のcである。超伝導回路を、「量子バス」と捉えることも可能だろう。共振器QEDは近年、弱結合から強結合→超強結合→深強結合へと進んでいる。本件は遷移周波数~10GHzであり、超強結合領域に該当する。
 スピン反転時間17μ秒、スピン・コヒーレンス時間52n秒を達成している(スピンの直接操作には、スピン反転ラマン遷移を用いている)。ただし、2量子ゲートの忠実度を議論するような段階ではない。
 なお、アンドレーエフ準位は、マヨラナゼロモードの「親状態」であり、トポロジカル量子計算を視野に入れていると思われる。トポロジカル量子計算は、ほぼオランダ(QuTech・デルフト工科大学)の独壇場と思える。
[参 考]マイクロソフト、マヨラナ・ゼロモードを召喚
 マイクロソフトは、インジウムヒ素(InAs)とアルミニウム(Al)によるヘテロ構造デバイスを作成し、このデバイスが"トポロジカル・ギャップ・プロトコル"に合格した、と発表した(論文[*36]は23年6月21日付け)。プロトコルに合格=マヨラナ・ゼロモードをホストするトポロジカル位相が検出される可能性が高い、である。

 【15】フォノン量子ビット
 シカゴ大学プリツカー分子工学大学院(PME)の研究者他は、「線形機械式量子コンピュータ」を構築する要素技術を有している旨を主張した(23年6月)[*30]。量子ビットには、(ニオブ酸リチウムの表面を伝わる)表面弾性波フォノンを使う。ホン・オウ・マンデル(HOM)干渉を使って、フォノン間に量子もつれを生成させた。
 線形機械式量子コンピュータとは、もちろん、線形光量子コンピュータを意識した言葉である。線形光量子コンピュータは、2001年に発見されたKLM(Knill,Laflame,Milbur)スキームに則った光量子コンピュータである。つまり、線形光学素子、オンデマンドで決定論的に単一光子を生成できる光源、光子検出器のみで、(万能計算可能な)光量子コンピュータを構築することができる。ただし(少なくとも)現状は、オンデマンドで決定論的に単一光子を生成することは困難であり、”非線形”光学効果を用いて、確率的に光子を生成している(ので、光量子コンピュータ苦労している/いた)。
 その点、フォノンは決定論的にオンデマンドで生成することが可能である(確率的に生成することが、難しい)。今後は、論理ゲートを作成するステップに移行する(ので、道のりは遠い)。

 【16】半導体ナノ構造内の量子ビット
 コヒーレント駆動される半導体量子ドットは、量子論理ゲートにとって有望なプラットフォームと期待されている。しかし、量子ドット内の単一電荷キャリアのコヒーレント操作は、基底状態に限定されていた(重ね合わせ状態を作るに至っていなかった)。
 中国・浙江大学と独ルール大学ボーフムの研究者は、半導体ナノ構造内に量子重ね合わせ状態を作り出すことに成功したと発表した(論文[*33]は、23年7月24日発表)。絶妙に調整された2つの短波長光レーザーパルスを使用して、正孔による基底状態と励起状態との重ね合わせ状態を(量子ドット内に)作り出した。これまでは、大規模な自由電子レーザーを使用していた。同レーザーでは波長が長すぎて、ビームを量子ドットに正確に集束させることができなかった、という。

 【17】二層グラフェン・量子ドットのバレー量子ビット
 スイス連邦工科大学チューリッヒ校及び(日本の)物質・材料研究機構の研究者は、二層グラフェン(BLG)・量子ドットの谷(バレー)が、有望な量子ビット候補であることを、論文[*46]で指摘した(24年1月17日)。量子ドットは、単一または少数の電子を閉じ込めることができるナノメートルスケールの箱である。個々の電子の制御に優れているため、量子ドットは、スピン量子ビットの重要なプラットフォームとなっている。グラフェン(や他の炭素系材料)は、スピン軌道相互作用と超微細相互作用の両方が弱い。スピン軌道相互作用は、電子スピンと格子振動との結合をもたらし、デコヒーレンスの原因となる。超微細相互作用は、電子スピンと核スピンとの間の相互作用であり、同じくデコヒーレンスの原因となる。量子ビットにデコヒーレンスをもたらす主因が「弱い」ため、BLG量子ドットはスピン量子ビットに、特に適していると考えられている。
 さらに[*46]では、量子ビットとして、スピンではなく、バレーを使用することを検討した。これはバレーが、(BLG量子ドットでは、そもそも「弱い」)スピン軌道相互作用や超微細相互作用の影響を、受けない可能性があるからである。バレー(谷)の名前は、運動量空間で自由電子が極値に存在することに由来する。バレーはシリコンにも存在するし、BLGにおける存在も知られていたが、量子ビットとしての適性は不明であった。
 今回の成果は、㊀99%以上の忠実度で異なる谷状態を区別できたこと、㊁バレーの緩和時間は500ミリ秒を超え、スピンよりも1桁以上長いとわかったこと、である。

【尾注】
*0 Pコンピュータ
1⃣ 2019年、東北大学と米パデュー大学の国際共同研究チームは、「磁気トンネル接合で、エネルギー障壁が低い場合は、0と1との2状態間の確率的な遷移を、短い時間周期で繰り返すという性質が、量子ビットと類似している」点に着目し、量子ビットを模した確率ビット(pビット)の開発に成功した。参考:https://news.mynavi.jp/techplus/article/20210319-1816395/ 
2⃣ 22年12月(3~7日)に開催された第68回国際電子デバイス会議(IEDM)で、進展を発表した(6日)。❶確率動作スピントロニクス素子からなる高性能PビットとFPGAを組み合わせたPコンピュータを作成、❷因数分解に対して、古典コンピュータ(GPU及びTPU)と比べて、演算性能と低消費電力の両立を実証。出所:https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20221202_02web_spin.pdf 例えば、GoogleのTPUは速いが消費電力が膨大。
3⃣ 以下2点を発表した(23年12月13日):❶順伝播型ニューラルネットワークに基づく計算を行うための新技術を開発した。❷Pコンピュータの動作速度を3桁向上する新素子技術を開発した。出所:https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2023/12/press20231213-02-ai.html
4⃣ 「pビットを使った並列処理演算において、正答率が大幅に低下する問題」を解消したと発表(24年2月6日)[https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2024/02/press20240206-02-algorithm.html]。p ビット同士の相互干渉が問題であることを特定し、相互干渉を効率的に防ぐアルゴリズムを開発した。その結果、正答率は大幅に向上し、並列処理による高速化も達成した(論文は、https://www.nature.com/articles/s41598-024-51639-x)。
-----------------------------------------------------------------
*1 https://www.eurekalert.org/news-releases/954258
*2 https://www.nature.com/articles/s41467-022-30783-w
*3 時間結晶を巡る論争、日経サイエンス2020年4月号、pp.38-45
*4 https://arxiv.org/pdf/2107.13571.pdf
*5 https://newsroom.ucla.edu/dept/faculty/nsf-funds-ucla-center-to-develop-chemical-qubits-for-quantum-computing
*6 https://www.nature.com/articles/s41557-022-00998-x
*7 https://www.nature.com/articles/s41598-021-03789-5
*8 https://www.nature.com/articles/s41598-022-18314-5
*9 https://www.jst.go.jp/kisoken/crest/evaluation/nenpou/r02/JST_1111101_20347089_2020_PYR.pdf 
*10 http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/nagaosa-lab/ezawa/Quantum.html 
*11 https://arxiv.org/pdf/2012.06124.pdf 
*12 https://physicsworld.com/a/topological-defects-in-liquid-crystals-resemble-quantum-bits-say-mathematicians 
*13 https://www.nature.com/articles/s41586-022-04539-x
*14 https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.126.070501
*15 UNLEASHING THE BUSINESS POTENTIAL OF QUANTUM COMPUTING (https://www.adlittle.com/en/insights/report/unleashing-business-potential-quantum-computing)
*16 https://annex.jsap.or.jp/photonics/kogaku/public/33-05-kaisetsu2.pdf
*17 https://www.natureasia.com/ja-jp/nature/highlights/67978
*18 https://www.newswise.com/doescience/boron-nitride-with-a-twist-could-lead-to-new-way-to-make-qubits/?article_id=779425
*19 Tuning colour centres at a twisted hexagonal boron nitride interface https://www.nature.com/articles/s41563-022-01303-4
*20 Dynamical topological phase realized in a trapped-ion quantum simulator https://www.nature.com/articles/s41586-022-04853-4
*21 Kaifeng Wu et al.、Room-temperature coherent optical manipulation of hole spins in solution-grown perovskite quantum dots https://www.nature.com/articles/s41565-022-01279-x
*22 Mohammed Ali Aamir et al.、Engineering Symmetry-Selective Couplings of a Superconducting Artificial Molecule to Microwave Waveguides https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.129.123604
*23 https://www.nature.com/articles/s41598-023-27427-4#ref-CR1
*24 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2023/01/press20230124-01-spin.html
*25 https://www.nature.com/articles/s41567-022-01889-1
*26 Haowei Xu et al.、Two-Photon Interface of Nuclear Spins Based on the Optonuclear Quadrupolar Effect https://journals.aps.org/prx/pdf/10.1103/PhysRevX.13.011017
*27 Hansub Hwang et al.、Optical tweezers throw and catch single atoms https://opg.optica.org/optica/fulltext.cfm?uri=optica-10-3-401&id=528082
*28 Marta Pita-Vidal et al.、Direct manipulation of a superconducting spin qubit strongly coupled to a transmon qubit、https://www.nature.com/articles/s41567-023-02071-x
*29 Adina Ripin et al.、Tunable phononic coupling in excitonic quantum emitters、https://www.nature.com/articles/s41565-023-01410-6
*30 H.Qiao et al.、Splitting phonons: Building a platform for linear mechanical quantum computing、https://www.science.org/doi/10.1126/science.adg8715
*31 https://www.riken.jp/press/2023/20230725_1/index.html
*32 Zhendong Zhang et al.、Many-body chemical reactions in a quantum degenerate gas、https://www.nature.com/articles/s41567-023-02139-8。論文のセカンドオーサーは日本人(永田修氏)
*33 Jun-Yong Yan et al.、Coherent control of a high-orbital hole in a semiconductor quantum dot、https://www.nature.com/articles/s41565-023-01442-y
*34 Guoqing Wang et al.、Characterizing Temperature and Strain Variations with Qubit Ensembles for Their Robust Coherence Protection、https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.131.043602
*35 Alessia Suprano et al.、Orbital angular momentum based intra- and interparticle entangled states generated via a quantum dot source、https://www.spiedigitallibrary.org/journals/advanced-photonics/volume-5/issue-04/046008/Orbital-angular-momentum-based-intra--and-interparticle-entangled-states/10.1117/1.AP.5.4.046008.full
*36 Morteza Aghaee et al.、InAs-Al hybrid devices passing the topological gap protocol、Phys.Rev.B 107,245423(2023)、https://journals.aps.org/prb/abstract/10.1103/PhysRevB.107.245423
*37 Xianjing Zhou et al.、Electron charge qubit with 0.1 millisecond coherence time、https://arxiv.org/pdf/2210.12337.pdf
*38 https://www.jst.go.jp/pr/announce/20231206-2/pdf/20231206-2.pdf
*39 YICHENG BAO et al.、Dipolar spin-exchange and entanglement between molecules in an optical tweezer array、https://www.science.org/doi/10.1126/science.adf8999
*40 CONNOR M. HOLLAND et al.、On-demand entanglement of molecules in a reconfigurable optical tweezer array、https://www.science.org/doi/10.1126/science.adf4272
*41 https://group.ntt/jp/newsrelease/2024/01/16/240116a.html
*42 A.ASSOULINE et al.、Emission and coherent control of Levitons in graphene、https://www.science.org/doi/10.1126/science.adf9887
*43 D.Christian Glattli & Preden S. Roulleau、Preden S. Roulleau、https://arxiv.org/pdf/1610.04354.pdf
*44 Zehang Bao et al.、Schrodinger cats growing up to 60 qubits and dancing in a cat scar enforced discrete time crystal、https://arxiv.org/pdf/2401.08284.pdf
*45 AKIO YAMAUCHI et al.、Room-temperature quantum coherence of entangled multiexcitons in a metal-organic framework、https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.adi3147
*46 Rebekka Garreis et al.、Long-lived valley states in bilayer graphene quantum dots、https://www.nature.com/articles/s41567-023-02334-7
*47 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv_press0314_01web_Majorana.pdf

【参考文献】
設楽智洋・越野和樹、超強結合~深強結合領域における共振器量子電磁力学、日本物理学会誌 Vol.78 No.3,2003、pp.125-134
M. Hays et al.、Coherent manipulation of an Andreev spin qubit、https://arxiv.org/pdf/2101.06701.pdf


お問い合わせ
  

TOP