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平成事件簿(4) カネボウTOB事件最決 

Ⅰ 日本のTOBは事業再編を阻害する可能性があると最高裁が判断したのだろうか?
 法曹界が、"全てのM&A実務家に震撼を与えた"と表現した(注1)「カネボウTOB事件(注2)東京高裁判決(注3)」(以下、高決)を、 最高裁は破棄した(注4)(以下、最決)。議決権割合で2/3以上を占めるカネボウC種類株式を、投資ビークルが相対取引で取得したディールについて、東京高裁は 「そもそも論」を展開し、「公開買付け(TOB)規制の趣旨に反している」と判示したと考えられる。
 つまり、高裁は、「TOBにおいてはプレミアムを少数株主にも平等に分配する」ことが「法の趣旨である」と主張したのであろう。 理由は後述するが、当社も、(一般的な)株主平等原則は堅持されることが望ましいと考えている(が、高裁決のロジックを支持 するわけではない)。
 最高裁は、「趣旨に反している」か否かについて、真逆の判断を下している(注5)。まず、旧・施行令(注6)が導入された目的について、
   ◇ 事業再編の迅速化及び手続きの簡素化を図るため
であり、
   ◇ 25名未満要件を特定の種類株式の株主に限定しなければ、その目的が果たされない
と説示。さらには、<裁判官・須藤正彦の補足意見>なるものが付け加えられていて、
 『本件に即していうならば、経営難に陥った企業の事業再編等の成就のためには(中略)資金投入がしばしば必要とされるところ、 (中略)原審のような解釈は、出資者をして(中略) 出資を控えさせることにもなりかねないから、避けねばならないのである。
とした。
 最高裁は、「(少なくとも)資本再構成を要する再生案件では、種類株式を利用した支配権の移動と(それに続く)スクイーズ・アウト が可能でなければ、意味がない」という考えを明確にした、と解釈できるだろう。つまり、少数株主にも平等にプレミアムの分配を強要する日本のTOBは、事業再編を阻害する可能性があり、緩和されて然るべき との立場であろう。

Ⅱ スイングするTOBルール
 TOBルールを規定する「証券取引法・金融商品取引法」(並びに、「証券取引法・金融商品取引法施行令」、「内閣府令」)は度々改正されて いるが、規制強化と規制緩和が繰り返されている。
            強化                 緩和
 1990年改正  強制公開買付規制導入
 1994年改正
 2003年改正                      適用除外規定整備
 2004年改正
 2005年改正  立会外取引も規制対象に
 2006年改正  全部勧誘・買付義務
         スピード規制
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      2005年 (産業再生機構、カネボウC種類株式を譲渡/12月16日)
      2006年 (カネボウ化粧品、カネボウC種類株式を譲渡/2月21日)
----------------
 2007年                        (東京地決5月29日)
 2008年     (高決7月9日)
 2010年     更に規制強化の動き          (最決10月22日)

 周知の通り、2006年証券取引法が改正され、買付け等の後の株券等所有割合が2/3以上の場合に「全部勧誘義務及び全部買付義務」が 課された。合わせて、新しい政令(平成18年内閣府令第86号)も施行された(施行12月13日)。
 同政令による改正後の「発行者以外の者による株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令」=新・他社株府令2条の5第2項(注7)によれば、 「支配権の移動を伴う場合は、他の株主の同意も必要である」ことが明確にされている。
 資本再構成を要する再生案件であっても、種類株式を利用した支配権の移動と(それに続く)スクイーズ・アウトを可能にするには、他の 株主の同意が必要ということである。
 経産省や金融庁は、TOBルールを更に強化することを考えているようであるが、今回の最決は、その動きに対しても、真っ向から反対 していると捉えることも可能かもしれない(注8)。施行令・他社株府令が、緩和方向に改正されることになるのであろうか?

Ⅲ 日本はもっとフェア(フェアネス)の意味を考えるべき
 前述の通り当社は、一般的な株主平等原則を堅持することが望ましいと考えている。つまり、支配権(議決権割合2/3以上)の移動を伴う 場合は、プレミアムを平等に分け合うべきと考えている。その理由は、日本の市場やM&A周辺の仕組みやルール等が、幅広くフェアでない と認識しているからである。
 フェアとは、
   ・ 手続きが透明
   ・ 恣意的あるいは裁量的判断が最小化されている
   ・ 情報は公開が原則
   ・ 抜け道がない(少ない)
等を意味する。
 日本は、幅広く(!)フェアでない以上、次善の策として、幅広く平等を堅持すべきというのが当社の考えである(注9)。別の言い方を すれば、フェアでありさえすれば、「平等」は、必ずしも保証されなくて構わないと考えている。
 かつてはオタクの専権事項であったITが、今では立派な経営事項(イシュー)になったように、法務イシューも経営イシューになりつつ ある。そういった環境下で経営者は、法務の実務家にも、経営的な大局観を求める。
 細かな法解釈や法令構造の分析を超えて、例えばフェアネスの議論がなされても良いのではないかと考える。

Appendix 8.5%の株式リスクプレミアム
 下記2件・7点を勘案すれば、8.5%という株式リスクプレミアムを採用するという判断はなされなかったと思われる。
【1】定量的な疑問
 8.5%というERPに対して”神学論争”するのではなく、定量的な分析を行いたい。トピックスは次の4点である。
1⃣ (単純な)計算間違いか?
 鑑定人による計算が、他の専門家による計算値とズレている。なぜだろう、というのが最初の疑問である。データは「できるだけ」過去に遡り、鑑定人同様に算術平均を使ってみよう。
 米国は過去データが豊富に蓄積されているので、1802年から計算することが可能であるが、日本はそういうわけにはいかない。日本で遡れる最古のデータの日付は1952年1月ということになっている(注A-1)。
 鈴木(2004)は、(1952年のデータは異常な-収益率が50%を超える-ため除外して)1953~2002年のデータを用いて約6%(算術平均)というERPを算出している。山口(2007)は、(1952年のデータを除外せず)1952~2004年のデータから7.3%(算術平均)という結果を得ている(幾何平均では5.6%(注A-2))。52年のデータは収益率50%超であり、50余年の算術平均であれば、それだけで1%程度かさ上げされるから、鈴木氏と山口氏の計算結果は整合的である。
 これに対して、鑑定人は1955~2005年のデータでERP8.5%としている。鈴木氏や山口氏と2~3年のズレでそんなに違いが生じるだろうか。鑑定人の計算自体に疑問が生じる。
 また鑑定人は、より長期が好ましいと主張しているが、そうであるならば、50という区切りの良い?数字に拘らず、(実質的に最も古い)1953年から(取引が行われた)2005年までの数字を使うべきであろう。

2⃣ ERPの上限値
 裁判所は、鑑定人の算出プロセスやロジックが十分合理的であるとしたが、サプライサイド・アプローチを適用して、合理性を検証してみよう。
 山口(2007)では、ERPの上限を定める不等式を見つけることができる。そのロジックは単純である。一般的に認められている関係式として株式のトータルリターンrを、サステイナブル成長率+配当利回り、と分解すれば、rとROEの関係式(不等式)
          ROE ≧ r
が導出される(ただし、PBR ≧ 1)。この不等式をマーケット全体に適用すると、市場平均ROE ≧ 市場の株式期待収益率E(rm)であり、両辺から無リスク金利rfを引くと、
          ROE-rf ≧ ERP
が得られる(ERP=E(rm)-rf)。
 この関係式は、一つの目安として十分に使えると思われる。東証1部企業の平均ROEは、2005年時点で、およそ8~9%程度であり、鑑定人が使った無リスク金利は1.875%である。これらの値を代入すると、ERPの上限は、6.1~7.1%となる。つまり、8.5%は上限値を超えることになる。
 サプライサイドアプローチを実行するには、ROEや配当性向の推定が必要なため、不等式で上限値を押さえる以上のことを要求するのは酷かもしれないが、敢えてその先に進んでみると、次のような結果が得られる。
 過去30年間の東証一部企業の平均配当利回り1.2%(注A-3)を用い、配当性向30%、及びROE8~9%を仮定すると、E(rm)は6.8~7.5%となる。鑑定人が使った無リスク金利1.875%を引くと、
          ERP = 4.9~5.6%
が得られる。この値は、市場でコンセンサスを得られた値と整合的である。

3⃣ ERPへの調整
 ERPは、マーケットの株式期待収益率から無リスク金利を控除して求めるが、この無リスク金利を短期金利(米国であれば、財務省短期証券金利)としている教科書も多々ある。
 鑑定人が参照しているブリーリー他(2007)は、“ERPは市場収益率と短期財務省証券金利との差で定義され、測定される”と書いている。鑑定人も無リスク金利として、日本の短期金利を使用した可能性がある。
 実は、ブリーリー他(2007)には『(WACCを計算する際の)無リスク金利は長期国債の金利であるべきで、その場合はERPも定義し直す必要がある』とも書かれている(注A-4)。
 鑑定人がこの調整を実行したか? について疑問がある。

4⃣ 株価を整合的に算出できない
 ERPは、全てのValuationにおいて等しく適用される。つまり、全ての企業のValuationで同じ値が使われるものである。仮に8.5%のERPを使って、上場企業のValuationをやったらどうなるか。間違いなく株価(市場価格)と不整合な結果しかでない。それは、日々マーケットをウォッチしている市場参加者であれば、自明であろう。
 本件では、価値評価業務を生業とする某コンサルティング企業が裁判所の鑑定補助人として株価を算定したようである。そのコンサルティング企業に、8.5%のERPで上場会社の株価を算出させた場合、非合理的な仮定を置かなければ、まともな結果は出ないと思われる。

【2】より合理的な判断
 より合理的な判断をするために、裁判所は以下の点に留意すべきであったと思われる。
1⃣ 重要性
 まずは、ERPが8.5%であるということが、価格にどれだけ大きな影響を与えるか?という判断、つまり重要性の判断を、すべきであったと考えられる。
 カネボウの中期事業計画がなくても、該事件のValuationは極めて単純に行われているから、(エクセルのゴールシーク機能を使うと)ERPのインパクトは試算できる。
 撤収事業を除く主要3事業の予測期間は8年であるが、後半4年間(平成22年~平成26年)の営業利益は、平成21年の値をそのまま使用している。減価償却と設備投資の金額は、後半4年間は同額であり、運転資本の変化分は平成22年以降の成長率を0%とおいているため、ゼロである。なお、本件のFCFは持分法投資利益が反映されている。投融資は、非連結子会社及び関連会社に対する投資及び融資であるが、この数値も平成22年以降はゼロと仮定されている(出資金は非事業用資産)。Valuation用語で言うと「その他営業資産」の変化分がゼロとなり、平成22年以降、同額の持分法投資利益が税引き後利益に加えられることになる。また、判決文には記述されていないが、継続的引当金の変化分も売上成長率を0%としたことによって、必然的にゼロとなる。
 まとめると、後半4年間のFCFは同一であり、継続価値CV算出用のFCFとも同一である。前半4年間の各年度のFCFは中期事業計画がないため不明だが、判決文に各事業部門のβ(注A-5)、WACC、事業価値EV、有利子負債、非事業用資産、発行済株式数が記載されている。事業価値に占めるCVの割合を仮定すれば、事業価値算出のプロセスは再現可能である。
 当該ケースは、実質的に予測期間が4年間である。このような場合、CV/EVは80%程度と考えて良い(注A-6)。もちろん幅を考えて、例えば60~80%としても良いだろう。もっとも、60%とした場合、前半4年間の平均FCFは、各事業部門とも後半4年間の2倍以上となり、明らかに不自然である。一方80%とすると、ずいぶん座りが良くなる。
 試算結果は、以下の通りであるが、専門家の裁量でこれだけの差が生じて良いわけがない。
              CV/EV=80%       CV/EV=60%
  ERP=4%        672円           602円
  ERP=5%        575円           527円

2⃣ 総合的な判断
 ERPに関して、(国内外含めて)これまでどのような議論が行われてきたのか、を正しく把握して総合的に判断することも重要であろう。ERPに関しては、米国では20年以上前(1985年)に、生データから機械的に算出した結果は高すぎる(理論と合致しない)、という問題が提起されている(注A-7)。
 その他にも過去のERPは高すぎたという実証研究は数多くあるし、マッキンゼー・アンド・カンパニー(2006)では、「過去の実績から推定して、(ERP)が8%に近いとするファイナンスの教科書が多いが、これは企業価値評価に用いるには高すぎる値である。」と明確に述べている(注A-8)。加えて、今後ERPは低下していくという議論もある。
 こういった議論は、決して無視できない。機械的な算出結果のみを信じることは危険である。さらに言えば、機械的な算出を論じる前に、そもそも日本の株式市場のデータは怪しい。
 古くから広く指摘されているように、日本の株式市場は、需給関係を基本とするマーケット・メカニズムに従っているのか疑問がある。TOPIXが2005年に、時価加重平均から浮動株基準に変更した理由の一つである株式持ち合いは、流動性の低下を生じさせ、公正価値が株価に反映されない要因となっている(注A-9)。買収防衛には極めて強力な「意図的に経済不合理な行動を採る」投資家の存在が、株式市場を歪めている可能性は高い。
 総合的に判断すれば、このようなマーケットでデータを取得し、「機械的に算出した結果がマーケットのコンセンサスを得た結果に優る」と考えることは明らかに無理がある。

3⃣ ベスト・プラクティス
 重要性を鑑み、最新の情報を含めて総合的に判断すると、“ベストプラクティスに倣え”ということになるだろう。
 ところで、当該事件でも同様であるが、極端に言えばERPに関する議論は、次のような論理展開となる。「いろいろな意見、アプローチがあるのだから、どれを採用しても良いのでは?」しかし、この論理は誤りである。
❶ 母集団の平均値を算出する際に外れ値があった場合、その値を除外して平均値を算出するということが一般的である。当該事件のERP算出でも、1952年のデータが異常値と判断して除外しているが、それと同じことである。ERP8.5%は「外れ値」に相当し、コンセンサスを得た値ではない。
❷ すべからく物事には、ベストプラクティスというものがある。近年、ビジネスに限らず多くの分野で、ベストプラクティスを採用すべしという傾向が強まっていると思われる。市場のコンセンサスを得ているERPを取得することは、間違いなく、ERP算出のベストプラクティスの一つである。具体的には、Valuationを行う専門家(投資銀行・証券会社)に加えて、株式投資に一定のリターンを期待する機関投資家や年金基金から、聞き取り調査をすれば良い。
 さらに言うと、この場合のバリュエーションの専門家は、国内企業同士のM&A取引に携わっている実務家であるべきと考えられる。国内M&Aに携わっていなければ、仮に適当なERPを提示したとしても実害を被ることがないためである。なお、コンセンサスを得た値は、2008年であれば、5%ということになるだろう。

【フォローアップ】
 ミカサ株式売買価格決定申立事件(注A-10)では、8%の株式リスクプレミアム(注A-11)が認定された。
 カネボウ株式買取価格決定申立抗告事件(注A-12)は、地裁決定を支持し、8.5%の株式リスクプレミアムを、"著しく不合理であるとはいえない"として容認した。
 石綿学弁護士は、「(裁判所は、鑑定の前提資料の合理性についても)著しく合理性を欠かなければよいなどと割り切るべきではない」と述べている(注A-13)が、全く同感である。

【尾注】
注1 カネボウ事件東京高裁判決とTOB規制(スクランブル)、商事法務、1846号、p.62
注2 投資ファンドが組成した投資ビークル「トリニティイン・ベストメント」が、産業再生機構とカネボウ化粧品からカネボウが発行したC種類株式を公開買付けによらず、相対で買付けたことについて、違法性が争われた事件。一審(東京地裁2007年5月29日)では適法とされていた。
注3 判決は2008年7月9日。
注4 判決は2010年10月22日。企業法務に携わる弁護士が選ぶ、2010年の「注目法務案件」で1位を獲得した事案(2010年12月24日付、日経新聞朝刊13面)であるにも関わらず、マスコミの扱いが異常に少ない気がするのは、気のせいだろうか?
注5 ソースは、www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20101022160227.pdf
注6 2006年政令377号による改正前の証券取引法施行令。
注7 買付け後の株券等所有割合が、A.2/3以上になる場合は、①買付けの対象となる株券等の所有者の書面による全ての同意と、②-1)買付けの対象とならない株券等について種類株主総会で公開買付けを行わないことに同意する決議がなされるか、②-2)買付けの対象とならない株券等の所有者が25名未満の場合であれば、その所有者の全てが書面で同意していることを要件とし、B.2/3以上にならない場合は、買付けの対象となる株券等の所有者の書面による全ての同意で足りる。
注8 2010年12月24日付、日経新聞朝刊13面には、「高裁の判断が、経済界の反対にあって、最高裁で覆された」との記述を見ることができる。この意見には、十分な真実が含まれているように思える。
注9 米国は、日本に比べてTOBルールは"緩い"、というのは事実である。プレミアムを株主に平等に強制分配させるルールはない。しかし、米国の市場やルールは日本よりも、遥かにフェアと思われる。従って、単純に「米国の方が緩い」と表現することには無理(違和感)がある。
 なお、米国では、ウィリアムズ法も監督官庁のSECもTOBを定義していない。(Wellman対Dickison事件で確立された)いわゆるウェルマン・テストと呼ばれる8つの基準で、判断しているに過ぎない。参考文献:秋山真也、米国M&A法概説、商事法務、2009
 ① 一般株主に対する活発で広範な勧誘
 ② 発行者の株式のかなりの部分に対する勧誘
 ③ 流布している市場価格を超えるプレミアムの支払い
 ④ 買付の条件が、交渉次第というよりも固定的であること
 ⑤ 最低買付株数が条件づけられていること
 ⑥ 一定の期間、申し込みがオープンになっていること
 ⑦ 被勧誘者が、提供圧力を受けていること
 ⑧ 株式の買い集めに先立ち、または同時に、購入計画が公表されていること

注A-1 1952年1月~89年1月までは日本証券経済研究所の「株式投資収益率」、89年2月からは東京証券取引所の「配当込みTOPIX」
注A-2 山口氏は幾何平均により計算したERPが適当であるとしている。
注A-3 保田(2008)、p.329
注A-4 ブリーリー他、p.263、脚注8
注A-5 なお鑑定人のValuationにおいて、βの推定がどのようなプロセスで行われたか不明であるが、申立人はアンレバード化に際してハマダ公式が使用されていないか、類似企業の負債比率を計算する際に非事業用資産が適切に控除されているか、を確認すべきであろう。
注A-6 トム・コープランド他(2002)によれば、予測期間5年でCV/EV=79%。マッキンゼー・アンド・カンパニー(2006)でも同様。
注A-7 いわゆるERPパズル。
注A-8 この8%というERPは、無リスク金利を短期金利として計算した値であり、サバイバーシップ・バイアスも控除されていない。
注A-9 山口(2007)は、株式の持合が低いERPをもたらしており、機械的算出ERPとの乖離を生じさせていると述べている。
注A-10 平成21・4・22広島地裁民事第4部決定。
注A-11 金融・商事判例1320号、p.56によれば、1955年1月~2007年12月までのデータを使用して、「ZEC00パートナーズ共同事務所」が算出。なお、無リスク金利は、10年物国債のレートのようである。
注A-12 平成22・5・24東京高裁決定。
注A-13 金融・商事判例1345号、p.1。

【参考資料】 鈴木一功、企業価値評価【実践編】、ダイヤモンド社、2004
山口勝業、日本経済のリスク・プレミアム―「見えざるリターン」を長期データから読み解く、東洋経済新報社、2007
保田隆明、実況LIVE 企業ファイナンス入門講座―ビジネスの意思決定に役立つ財務戦略の基本、ダイヤモンド社、2008
R.ブリーリー、S.マイヤーズ、F.アレン(藤井眞理子・国枝繁樹 監訳)、コーポレートファイナンス(第8版)上、日経BP社、2007
トム・コープランド他、企業価値評価―バリュエーション;価値創造の理論と実践、ダイヤモンド社、2002
マッキンゼー・アンド・カンパニー(本田桂子 監訳)、企業価値評価(第4版)上、ダイヤモンド社、2006

  
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